Eighter -Scarlet Nocturne-
37ther 〜双虎は世界を巡る B〜



#3
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)銀號懺月(ぎんこうざんげつ)!」
 ゴガアッ
毛衛環(えいわ)「無駄無駄、無駄なのじゃ!」
 虎の咆哮の如き衝撃波を放つ梶太郎(かぢだろう)だが、衛環(えいわ)はそれすらもアッサリと回避して見せる。
梶太郎(かぢだろう)「チッ、ちょこまかと……だが、いつまでも逃げ切れると思うなよ!」
梓與鷹(よたか)「おい、待て、やめろ!」
 Q:ワンピースを着ている人を捕まえるにはどうすればいいでしょうか?
 A:スカートを掴む。
※回答には個人差があります。
梶太郎(かぢだろう)「おらぁっ!」
 ドゴオンッ
 ビリビリビリッ
 そして、與鷹(よたか)が危惧した通りに、梶太郎(かぢだろう)衛環(えいわ)の履いているスカートを地面に縫い付ける感じで拳を繰り出す。
 梶太郎(かぢだろう)のような拳法家が衣服を掴むとどうなるか……その答えはビリビリに破ける。である。
 公衆の面前で少女の衣服をビリビリに破くなんてのは絵的にマズいというか最早事案である。更にここにはSRAP(警察)(かみ)総介がいる。
 梶太郎(かぢだろう)の現行犯逮捕は免れないだろうと、思わず顔を覆う與鷹(よたか)(かみ)総介「いや、大丈夫だ。見ろ!」
 しかし、ポンと與鷹(よたか)の肩を叩く総介。
與鷹(よたか)「なっ、なんだあれ!?」
 ひとまず衛環(えいわ)の方を見てみると、彼女はワンピースの下にスクール水着を装備していた。
 ただ、どういったわけかそのスク水には「6年 よろこび組 せいたいごう」と書かれたゼッケンが縫い付けら
れていた。
與鷹(よたか)「突っ込みどころしかねぇ!」
※喜び組って中国じゃねぇだろ……
梶太郎(かぢだろう)「チッ、逃したか……だが、次はこうはいかねぇぞ!」
與鷹(よたか)「いや、次同じことやったら逮捕だから……」
梶太郎(かぢだろう)「うるせぇ!流石に俺だって裸にひん剥こうだなんて思ってねぇよ!そういう意気込みだよ!意気込み!」
衛環(えいわ)「戦いの最中に談笑とは、随分と余裕なのじゃ!」
 そんな隙を逃す程衛環(えいわ)は馬鹿ではなく。一瞬で梶太郎(かぢだろう)の背後を取る。
衛環(えいわ)「これで終わりなのじゃ!極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
梶太郎(かぢだろう)「甘いのじゃ!極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
 ゴガガガガガガガガッ
 そして繰り出される拳の嵐。しかし、梶太郎(かぢだろう)も負けじと拳を振るって応戦。
與鷹(よたか)「互角……か……」
 毛沢東の女体化の完成形とかいう巫山戯(ふざけ)た存在の割に強い!と驚きを隠せない與鷹(よたか)。
 いや、相手が少女であるということを考えると、もし、同じ体格だった場合、衛環(えいわ)の方が強いのではないか……
という疑念さえ出てくる。

#4
衛環(えいわ)「ならば、これでどうじゃ!双虎王天撃(そうこおうてんげき)!」
梶太郎(かぢだろう)「受けて立つぜ!双虎漣天殺(そうこれんてんさつ)!」
 衛環(えいわ)が虎の前足と後ろ足で引き裂きにかかれば梶太郎(かぢだろう)は薙ぎ払うような拳撃を放ちそれを弾き飛ばす
 衛環(えいわ)が尻尾で繋がった二匹の虎をヌンチャクのように扱い打撃を繰り出せば梶太郎(かぢだろう)はそれを抜き手で砕く
 衛環(えいわ)が偃月刀と見紛うばかりの牙を生やした虎で貫きにかかれば梶太郎(かぢだろう)はそれを食いちぎるかの如く拳打で止め
る
 衛環(えいわ)が虎の顔をドリルのように回転させつつ貫きにかかれば梶太郎(かぢだろう)は刳るような拳打でそれを止める。
 総じて互角……しかし、双虎王天撃(そうこおうてんげき)はここで終わりだが、双虎漣天殺(そうこれんてんさつ)にはまだ続きがある。
梶太郎(かぢだろう)「これで、ヒート・エンドだぁ!」
 トドメとばかりに至近距離から虎の咆哮の如き衝撃波を繰り出す梶太郎(かぢだろう)※ちなみにヒート・エンドと叫んでいますが、別に握りつぶしたりはしません。
衛環(えいわ)「何のぉ、まだ、じゃあ!くらえぇ!双虎拳、真・究極秘奥義!双虎残心陸功(そうこざんしんろっこう)!」
 だが、衛環(えいわ)の攻撃もそこで終わりではなかった。
 上段に掲げた手刀を一気に振り下ろす衛環(えいわ)。その鋭い手刀はあらゆるものを一刀両断する。
梶太郎(かぢだろう)「な、何ぃ!?」
※タイ〇ントオーバーブレイクのパクりの次は、虎王斬神〇甲剣(こおうざんしん〇っこうけん)のパクりであった。それでいいのか中国四千年の
 歴史
 衛環(えいわ)が繰り出す手刀に袈裟斬りにされた梶太郎(かぢだろう)はそのまま血を噴き出しながら派手に吹き飛び、地面に激突。
衛環(えいわ)「双虎拳破れたりなのじゃ!」
與鷹(よたか)「いや、だからお前の使う拳も双虎拳だろ!」
 またしても與鷹(よたか)の適格な突っ込みが炸裂した瞬間であった。
梶太郎(かぢだろう)「ぐっ、てめぇ……やるじゃねぇか……」
衛環(えいわ)「なっ、馬鹿な……なのじゃ!?……流し斬りが完全に入ったはずなのじゃ……」
 いや、流し斬りじゃ……なくはないけど、その言い回しは何なのか!?
 既に傷が塞がっている梶太郎(かぢだろう)に驚きを隠せない衛環(えいわ)。無論、ウェルのおかげであるが、彼女が知る由はない。
梶太郎(かぢだろう)「まだ勝負はついてない!勝負はまだ、ここからよぉ!」
衛環(えいわ)「くっ、きっ、今日はここまでにしておくのじゃ……」
 梶太郎(かぢだろう)の気迫に圧され、衛環(えいわ)はひとまず撤退を選択するのであった。

#5
梶太郎(かぢだろう)「あ、待て、逃げるな……」
 しかし、衛環(えいわ)の逃げ足は尋常ではなく、すぐさま彼女を見失う梶太郎(かぢだろう)。
総介「まぁいい、当初の目的は達成できたんだ」
與鷹(よたか)「それは……確かに……」
 ただ、梶太郎(かぢだろう)と毛沢東のクローンとの因縁は終わったわけではないので、これから先も、奴らは梶太郎(かぢだろう)を倒そう
と襲い掛かってくるのだろう……
 そう考えるとやっぱ梶太郎(かぢだろう)に助っ人を頼むより、出音(でおん)に助っ人を頼む方がいいかもしれないなんて事を考える
與鷹(よたか)なのであった。

梶太郎(かぢだろう)「っしゃあ!双虎拳を極めた今なら、俺は双狼拳を超えられる……気がする!」
 唐突にそんな宣言をする梶太郎(かぢだろう)。強気何だか弱気なんだかよく分からない宣言である。
與鷹(よたか)「……じゃあ、試してみるか?」
 與鷹(よたか)もとりあえず天狼甲ショロトルを装備して梶太郎(かぢだろう)と対峙。
梶太郎(かぢだろう)「行くぜ!双虎拳の力、その身で思い知れ!」

 ちなみに、禰魯(ねろ)衛環(えいわ)と連続で死合っていた梶太郎(かぢだろう)が、体力を温存していた與鷹(よたか)に勝てるはずがなかっ
たということだけは報告しておきます。


END

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