Eighter -Scarlet Nocturne-
31ster 〜二人の影法師撤退 B〜



#3
コージル・S・アーサッキ「ジョスィフ……何故お前がここに?」
ジョスィフ・クロード「あぁ、呼ばれたから来た……って感じかな」
 呼ばれた!?……一体何に!?と、その場に居合わせた一行が首を傾げていると、ジョスィフは残っている左腕
で地面を殴る。
新田姜馬(きょうま)「……まさか……この地に眠るヴァルカナとは……」
ジョスィフ「フフフ……フハハハ!」
 そして、左手で掘り当てたヴァルカナを手にして見せびらかすジョスィフ
※いや、掘ってないとか突っ込みは置いといて……
梓與鷹「あれは……」
 それはXVIIIの数値と満月に照らされた荒野に狼が二匹、ザリガニが一匹という構図のヴァルカナ
與鷹「《(ムーン)》のヴァルカナ……」
乾藤葦嵩(いぬいとう・あしたか)「それがなんだ?ヴァルカナが人を呼ぶとか、そんなことがありえるのか?」
ジョスィフ「復〜活!右腕復〜活ッ!」
 カカッ
 ジョスィフがもう一つの《(ムーン)》のヴァルカナを握りしめると、突如眩い閃光が辺りを包み……そして、光が収ま
るころにはなくなっていたはずの右腕が元に戻っていた。
※っていうか、復活の掛け声……
弥如(びぎん)「やれやれ……消耗した上にヴァルカナも掠め取られるとは……正に骨折り損のくたびれ儲け……ここは撤退
するしかありませんねぇ……」
星露(シンルー)・ユピテルメア「クソ兄貴!私から逃げられるとでも思ってるのかッ!」
 いや、アンタも消耗してるから追いかけるのは無理やろ……
 カカッ
一同「がっ!?」
 それでも最後の気力を振り絞って弥如(びぎん)を追おうとすると、弥如(びぎん)は閃光とともに消える
弥如(びぎん)「では、またのお越しをお待ちしております」
 その言葉が捨て台詞であった。
※ってか、どこで待っているというのか?!
星露(シンルー)「くそっ、汚い、流石忍者汚い!」
 いや、お前が言うな……
 地面に拳を叩きつけて星露(シンルー)が叫ぶ。
バーベラエ「次の機会に討てばいいのよ……」
 そして、そんな星露(シンルー)をバーベラエが慰める。
葦嵩(あしたか)「てめぇ、最後の最後で俺の計画の邪魔をしやがってぇ!てめぇは絶対許さねぇ!」
一同「いや、だからお前が言うな!」
 一同が一丸となって突っ込んだ瞬間であった。

#4
ジョスィフ「復帰祝いだ……来いよ、てめぇに俺の幽闘術、月の御手(ムーン・レィス)を見せてやる」
 カモンカモンって感じで葦嵩(あしたか)を挑発するジョスィフ
葦嵩(あしたか)「上等だコラ!俺の幽闘術、祟るの黒き拳(ブラック・カーズ・ナックル)の力、とくと味わえ!()旋風抜剣掌(せんぷうばっけんしょう)」
 ゴギュアアッ
 それは、他の技とは違い飛ばさない拳打。瘴気があふれ出る黒き拳から迸る旋風が相手を穿つ
ジョスィフ「月齢掌(げつれいしょう)・上弦!月齢掌(げつれいしょう)・下弦!」
 カカッ
 左右の拳に輝く半月……と、同時に拳打が葦嵩(あしたか)に襲い掛かる。
葦嵩(あしたか)「なな、何ぃ!?」
 そして、葦嵩(あしたか)が巻き起こした黒い旋風を打ち砕いていく。
ジョスィフ「ハハ……どうした?お前の幽闘術はこの程度か!?……だったら全くの期待外れだな……」
葦嵩(あしたか)「なめるなよ!」
 そういうと葦嵩(あしたか)は黒き拳を天高く掲げる
葦嵩(あしたか)「だったら、これを食らいな!礼・穿砕抜剣掌(せんさいばっけんしょう)!」
 ギュワンギュワンギュワン
 黒い拳が回転し、腕が拳とは逆に回転しだす。そしてそのまま拳を下げ、ジョスィフに打ち出すように黒き衝撃
波の拳を叩きつける。
※モーションがまんまガオ○イガーのブロウ○ンマグナムな件について。違いは葦嵩(あしたか)の場合、腕を戻さなくてもい
 い点。(じゃあ、どちらかというとガイ○ングのパンチャー○ラインドなのでは?!)
ジョスィフ「月齢掌(げつれいしょう)・上弦!月齢掌(げつれいしょう)・下弦!」
 ゴガアアアッ
 左右の拳でそれを受け止めるも、勢いは殺せず吹き飛ばされるジョスィフ
ジョスィフ「……なるほど……先ほどの言葉は訂正してやろう……少しはできるようだな」
葦嵩(あしたか)「はっはっは!俺は天才だ!」
 いや、自信過剰ですよ、それ
ジョスィフ「いいじゃねぇか!楽しくなってきた!」
葦嵩(あしたか)「ケッ、俺は全然楽しくねぇよ!」
 そのまま暫く拳と拳で対話が行われる。
 なお、余談ですが、ジョスィフが登場し、ヴァルカナを回収したことで今回の目的は達成したため、コージルは
さっさと撤退しています。
ジョスィフ「おらあ!」
葦嵩(あしたか)「はあ!」
 ババシッ
一同「な、何!?」
 突如、二人の間に割って入り、双方の拳を受け止めるのは、狐面のメイド
葦嵩(あしたか)「ヴィ……ヴィルヘル・奈美!?」

#5
ヴィルヘル・奈美「今回の任務はここまでですよ」
ジョスィフ「誰だか知らんが、死合に水を差すんじゃねぇ」
 びしびしばしばしげしげしっ
ジョスィフ「痛い痛い、ななな、なんだ!?」
 ちょっと頭に血が上って力任せに殴りかかろうとしたが、しかし、彼女は手にしたモップでジョスィフをタコ殴
りにしてくる。
奈美「次はこちらで行きますよ?」
 仕込みモップを抜刀し、刃を見せつけながら、静かに告げる
ジョスィフ「チッ……てめぇ……」
 ジョスィフもこれ以上の戦闘は易がないと悟り、その場を去るのであった。
奈美「それではみなさん、帰って報告を聞かせてもらいますよ」
天音(あまね)シア「それなら私に任せてほしい。記録はバッチリ」
 何もしてないようにみえてちゃっかり記録係をやっていたシアであった。
姜馬(きょうま)「ちょっと待ってくれ!」
 U(セカンド)シレントワイザードが帰ろうとしたその時、姜馬(きょうま)が一行を呼び止める
奈美「あなたの滅殺はまだ先ですが……」
姜馬(きょうま)「そうじゃない。一つ言い忘れていたことを思い出したんだ」
 それは弥如(びぎん)のこと……シレントワイザードに客将としてやってきた時期を鑑みるに、奴もまたGB(グレートバシャール)殺害を傍観した
に違いないと……
星露(シンルー)「ウフフフ……クソ兄貴、待ってなさい、私が必ず貴方を殺してあげる!」
 新たな決意と修羅が生まれた瞬間であった


END

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