Eighter -Scarlet Nocturne-
1ster 〜場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ) B〜



#3
梓與鷹(よたか)「……で、これは一体?」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「俺が知るかッ!」
一同「いやいや、お前が持ち込んだんだろうが!」
 思わず突っ込みを入れざるを得ない一行であった。
梶太郎(かぢだろう)「あ〜〜、その、なんだ……」
 流石に今のは言葉が足りなさ過ぎたと反省し、梶太郎(かぢだろう)は事の顛末を語り始める。
 変な奴らに追われていた漢からコレを貰ったこと、そいつがコレをEighterへと言い残したこと。
與鷹(よたか)「ってことはウチ絡みの依頼だったってことか?」
 で、あるならば、これはオーパーツなのだろうか……
 そうと決まれば與鷹(よたか)がウキウキしないわけがない
※いや、流石に今回は人一人死んでいるのでウキウキしちゃマズいだろ……
 ふぉんっ
梶太郎(かぢだろう)「うぉう!?びっくりした!」
 と、その時、突如空間スクリーンが出現、ルシャーティーが顔を出す
ルシャーティー・エィユゥミス「みなさん、3日と10時間28分32秒ぶりですね」
與鷹(よたか)「丁度良かった。これを鑑定してくれるか?」
ルシャーティー「はい、お任せください」
梶太郎(かぢだろう)「おい、あいつは誰だ?……つ〜〜か、なんだこれ!?」
 突然出てきた空間スクリーンにルシャ。梶太郎(かぢだろう)にとっては驚きの連続だ。
與鷹(よたか)「分かったわかった、後で説明してやるから……」
 随分と投げやりだった。
※それ、絶対に説明しないヤツだ。
 與鷹(よたか)にしてみればオーパーツ(とまだ決まったわけではないが……)とそれ以外とでは態度がまるっきり違うの
だ。
 悪い癖である。

 そして、暫くして……
ルシャーティー「はい。これは……おそらくオーパーツ、でしょうね」
與鷹(よたか)「なんだか随分と歯切れが悪いなぁ……」
 珍しくそんな弱気ともとれるルシャの発言に與鷹(よたか)は首を傾げる。
 では、少しおさらいをしましょうとルシャは続ける。
 オーパーツのうち、人に益となる……人を助けてくれるのが場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)。そして、人に害なす……人を使
い潰すモノが場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)。
ルシャーティー「その区分から言うと、今回持ち込まれたコレは、場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)ではありません」
與鷹(よたか)「何だって!?」
 じゃあ、と、與鷹(よたか)は問題のオーパーツを見やる。
*「いいや、ソレは場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)ではないわ」
一同「何!?」
 唐突に聞こえる声……それは、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)、その最上位存在のモノだった。

#4
與鷹(よたか)「デミウルゴス……なぜここに!?」
デミウルゴス「クスクスクス……私はいつだって、どこにだって現れる」
 答えになっていない!
 いや、だが、もしかしたら場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)とは本来そういう存在なのかもしれない……
 と、いうことは今はおいといて……
ファルゼシア「どういうことなのでしょうか?」
 場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)でも、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)でもないとするのならば、コレは一体……とみなの疑問を代弁するか
のようにファルが告げる。
デミウルゴス「オーパーツは二種類しかないと誰が決めた?」
一同「え〜〜」
 ずっと前、カオサイトにはカオサイトαと同位体のカオサイトβの二種類があるといったが、スマン、ありゃあ
嘘だった。実はカオサイトγと呼ばれる第三の同位体があった……という話が合った。
 そして時を超えて今、歴史は繰り返されるということだ
※いや、そんな凄まじく時代が流れているわけじゃねぇから!
デミウルゴス「場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ)……初めて見たわ」
與鷹(よたか)場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ)……?」
 それが場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)でも場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)でもない第三のオーパーツ。
與鷹(よたか)「お前は場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ)がどんなものなのか知っているのか?」
デミウルゴス「さぁ?」
與鷹(よたか)「え?!」
 そもそも場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ)は存在する個数が希少であり、それ故にどのような特性を持っているのかその全容は
分からないというのだ。
梶太郎(かぢだろう)「まぁ、なんだっていいぜ……そんなことよりもだ。俺にコレを託したアイツの目的はなんだったんだろう
な?」
一同「……」
 いや、それはもはや誰にも分からないのですが……
※かんなの超運があれば、あるいは……
デミウルゴス「でも、その全容が知られていないのであれば、もしかしたら凄い潜在能力を秘めているのかもしれ
ないわね……クスクスクスクスクス」
 かといって、これ以上の鑑定ができないのであれば、どんな能力を秘めているのかも不明のままだ
デミウルゴス「使ってみるのが一番手っ取り早いんじゃなくて?」
 そして、そんな疑問に代弁すべく、デミウルゴスが呟く。それはまるで悪魔の囁きの様だ。
白拍子かんな「ダメです!」
 次の瞬間、間髪入れずにかんなが叫ぶ。

#5
與鷹(よたか)(ついうっかり奴の口車に乗せられるところだった……ってわけか)
 かんなが止めなければ、迷いもせずソレを使おうとしただろう。
 冷や汗をかきながら與鷹(よたか)は心の中でそんなことを思った。
デミウルゴス「ちぇ……つまらないわね……」
 そう言い残すと、デミウルゴスは自分の影に沈んで消えてゆくのであった
與鷹(よたか)「ったく、好き放題言っていきやがって……」

エスティリオ・アリーフ・ザンスパイン「それで、どうするのであ〜るか?」
與鷹(よたか)「どうするって……」
 そもそもEighter(俺たち)の本分はオーパーツを管理することだ。
 ならば、託されたオーパーツは管理するだけである。
エスティリオ「ワガハイが解析してやらんでもない」
與鷹(よたか)「いや、遠慮する」
エスティリオ「って、ちょっと待つであ〜〜る!少しは考えてから決断してほしいのであ〜〜る」
與鷹(よたか)「いや、考えるまでもないんだが……」
 ショックを受けるエスティリオ……そして、それを慰めるのはファルだ。
與鷹(よたか)(しかし、これは、一波乱起きそうな予感だな……)
 そして、その考えは的中することになるのだが……それは、もう少し先の話である。


END

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