Eighter -Grand Harmonise-
31ster 〜相容れぬ漢達の宴 B〜



#3
これは、ある男の復讐を綴ったエピソード……その因縁は今から4年前に遡る……
炎の天然、けいと……水の律儀、しんとの死合は……
天然蛍あましか・けい「……じゃ、とりあえず死んで!」
ゴアッ
瞬時に間合いを侵食するけい
零大辰れいだい・しん(なっ!?速っ……)
予想を超えた加速度に、しんは驚愕……
けい「はああああ!!!炎一文字ほむらいちもんじ!」
ドンッ
炎の剣閃がしんに飛ぶ
しん「炎……だと!?ククククク……水沫滴子すいまつてきし!」
バシュアアアッ
2つの刀から水の剣閃が飛び、炎の剣閃を掻き消す
ジュオアアアッ
けい「……水……嫌いなのに〜〜〜」
あ〜〜もう、とけいはふてくされる
しん「キサマが使うのは炎か……丁度言い……我が水の剣の前に死ぬがいいわ!!」
ゴオオオオオッ
この死合……勝った!と早くも取らぬ狸の皮算用なしんは殺気を吊り上げる
けい「……」
それをぼへ〜〜〜っと見ているけい
しん「ハッ!水龍飛刃すいりゅうひじん」
余裕だなぁ!などと内心思いながらも、確実に殺すべく技を繰り出すしん
けい「……炎飛龍斬ほむらひりゅうざんけいけいで、早くもやる気がな下げになってきた様子だが……それでも、応戦する
ドゴガカカアアアッ
ジュオオッ
水と炎の龍が飛び交い、激突し、相殺される
しん「互角……か!?」
けい「へ〜〜〜、やるじゃん……」
今のを打ち消すなんて……ちょっと本気を出そうかなぁ……などと考えるけい
しん「……少しはできるようだが……そこまでだ!!キサマの実力は全て見切った!……今度はこっちから
 行くぞ!」
ドッ
言い終わるなり飛び掛るしん
けい「……むっ!?」
ガギンッ
ギギギギギッ
そして……猛攻に次ぐ猛攻……流石にこれには手も足も出ないけい……?
しん「うおおおおおあああ!!!水龍飛刃すいりゅうひじん!」
ドドドドドッ
けい「くっ……」
ザザザザザザザザッ
せまりくる水龍を回避しつつ距離を取る

#4
しん「あまいッ!そこだぁッ!」
ドドドドドッ
間髪いれずに飛びかかるしん……このまま一気にけいたおすのか……
※あれ?でも、ここでたおせちゃったら、怨みとか何もないよね……(そんな身も蓋もないことを……)
けい「……ゴメン……」
と、その時、唐突に詫びるけい
しん「ハッ今更無礼を詫びたところで何も変わりはしねぇんだよ!……」
くたばれ!名も知らぬ天然ッ!……とけいに迫る2つの刃……
けい「全力でいく……」
……次の瞬間、死合は一変
ボウッ
しん「ぐ……おあああ!!?!」
突如しんが炎に包まれる
しん「ち……ちい……」
ザザザザザザッ
ジュオオッ
後退しつつ、水の氣で炎を消すしん
しん(な……何!?……今……何が起こった!?……ん!?)
しん「……ヤツは……どこだ!?」
更に、気がつくと、けいが消えていた
けい「こっちこっち〜〜〜」
そして、背後から声が……
しん「ふざ……」
けい「はい、さようなら〜〜〜」
ドゴアアアアアアッ
振り向いた瞬間、さらに背後から斬り飛ばされる
しん「ご……あああ!?」
バキバキバキバキバキッ
当りの木々をなぎ倒し、吹き飛ばされるしん……
しん(こ……コイツは……コイツは!!?)
けい「あり!?……ちょっと力入れすぎちゃったかな〜〜〜……ん〜〜、まぁ、いっか……」
そして……そのままけいはその場を後にする
しん「ま……待ちやがれ!!キサマ!まさ勝負は!!」
ダダッ
俺が出てくると……もうどこにもヤツの姿は無かった……
この俺にあんな屈辱を味わわせたあの天然……俺は絶対にぶち殺さないと気が済まない!
・
・・
・・・
天四斗あまよと、某所
しん「……と、言うわけだ!あのフザけた天然ボケヤロウ!!」
回想を終え、突如思い出して腹が立ったしんは叫びだす……
*「天然……炎……?」
しん「だから、俺はヤツをたおすために力が要るんだ!ヤツを……あの炎を我が水で消し去るために!」
*「……運命と言うべきか……いや……宿命と言ったほうがいいのか……こんなことも……あるの
 だな……」
師匠は師匠でしんを軽く無視して1人呟く
しん「師匠……先ほどから何をぶつぶつと……」
*「おそらく、お前がたおさんとしているものは……儂の弟子の1人……」
そして、驚愕の真実発覚!
しん「なっ!?何をバカなことを!なぜ水の剣術を扱う師匠が炎の剣術を扱う弟子なんか持っているんですか!?」
*「たわけ!いつ、儂の使う流派が流水二刀流のみと言った!」
しん「……何ぃ!?」
その言葉にびっくり仰天!
*「それに、2刀の剣術を習いたいと言い出したのはお前だ!だから儂はお前に流水二刀流を授けたのだぞ」
しん「……くっ……じゃ、そいつの名前は!?」
*「……天然あましか……けい……儂の扱うもう1つの流派、ほむら一刀流の使い手だ……」
しん天然あましか……けい……」
*「炎に勝つのは水……いや、その逆もまた然り……だが、今のお前にはけいたおせまい」
しん「何を!?」
*「……お前の……いや、これは言うまい……実際に戦ったほうが分かるというものだ……」
しん「ふざけるな!俺は絶対に負けん!!師匠!たとえアンタが敵でもだ!!」
*「……」
豪語するしん……果たして……それは本当になるのか……それとも……


続

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