#0
　神崎通……神崎研究所で行われていた死者蘇生プロジェクトの最初の蘇生者……そのプロジェクトは凍結され、
全ては終わったかに思えたが……だが、まだ2つほど蘇生カプセルがあったことをお忘れか……？
　これは、そんな神崎研究所の後日談を綴ったエルアインス
※エ『ルアインス』じゃなく、エ『ピソード』だから！……ってかシャドウミラーによって持ち込まれた「あちら
　側」の世界におけるR-1の量産型かよッ！

#1
　東京都、神崎研究所跡地
　所長たる神崎元(はじめ)が殺され、研究員も散り散りになったその研究所は、今や廃墟……
　そして、その地下の一室で、それはおこった……
　ガタガタッ
　ゴガアアッ
＊「……ここは……」
＊「どこだ！？」
　既に凍結されたはずの死者蘇生プロジェクト……その、最後の2人が……今、目覚める。
※かんならがここを訪れた時、なぜ気付かなかったのか？……そんなことを突っ込んではいけません。
　……しかし、今までと違う点として……今まで黄泉帰った4人は戦国武将であったが、今回の2人は女性であった
……
＊「……何……だ！？……ここは！？」
　辺りを見渡しながら、片方が呟く
＊「……分からない……分からない……が……」
＊「が……？」
＊「……行こう！」
　もう片方が呟く……しかし、どこへ！？
　そんなことを考えて入ると再び彼女は呟く
＊「……同じ気を持つ人を探しに……」
＊「同じ……気！？」
　死者だからこそ分かりあえる……と言うのか……その彼女が言う同じ気を持つものとは……死者蘇生プロジェク
トで真っ先に黄泉帰らされた神崎通こと服部半蔵のことである。

　一方、その頃、その半蔵こと神崎通はというと……
　東京都、某所
神崎通「……ん！？」
　それは、信長が復活した際と似たような……感触……
通「……全ては……終わったと思っていたのだが……」
　そのまま天を仰ぐ通
通（もし、不本意に黄泉帰ってしまったと言うのならば……再び安息を与えるのが俺の仕事……）
　スウゥウウウッ
　かくて、通は闇に消え、行動を開始するのであった。

　そして、話は戻り、神崎研究所、地下
＊「……これは……？」
＊「むぅ……」
　外へ出る……前に、まずは衣装……と思い立った2人はあちこちを探しまわり……そして、見慣れぬ洋装(ブラウス)を片手
に首を捻っていた。
※あれ！？信長とかの時はちゃんと着物が用意されていたような気がするんですが……もう無くなっちゃったので
　しょうか！？

#2
　とりあえず、ブラウスは一旦置いといて、どこからともなく持ってきた包帯をサラシの代わりに巻いてみる2人
　ザッ
通「……なるほど……地下室があったと言うわけか……」
　そこへ、通颯爽と参上す
＊「お主は……」
　突如として現れた漢に咄嗟に身構える彼女
通「……お前たちと同じく、この世に黄泉帰りし者……と言っても分からんか……」
＊「……いや、なるほど……つまり、お主が服部半蔵正成か……」
通「……ほう？自分たちが黄泉帰った存在であると知っている……と？」
通（……しかし、黄泉帰ったのが女……とは……いや、こいつらも、武将だと……！？）
通「……お前らは……？」
＊「葵……だ」
＊「巴……である」
通「葵御前に、巴御前か……いや、待て……何故、貴様の没した後の時代を生きた俺の名を……貴様らが知ってい
る！？」
葵「……それは……」
巴「……しかし、記憶の片隅に……」
通「……」
　つまり、神崎研究所が行った記憶操作……ということである。

葵「……半蔵正成よ……今は一体いつだ？」
通「……お前達の生きた時代からざっと850年後の世界だ……」
巴「……850年……見ぬ間に世界は変わったものだな……」
葵「……人は死をも克服したのか！？」
通「いや、違う……俺達3人は例外だ……ある人の事情で勝手に黄泉帰らされた……というのが正しい」
通（最も……黄泉帰ったのは6人……だが、生き残っているのは3人だがな……）
葵「……」
巴「……」
　……そのまま沈黙が続く……
通「もし、貴様らが不本意に黄泉帰らされ……このまま安息を得たいと言うのならば……」
　すっと腰の刀に手を伸ばす通
葵「……」
巴「いや、生きる！」
通「……そうか……ならば、箱根に行け……そこにある風魔の里がこの世界で唯一残されたお前らの生きた時代と
似た空間だ……」
葵「風魔の里……よもや、まだ残っていようとはな……」
　では、早速風魔の里へ案内してもらおうか……と巴。しかし、それを止める通
通「……出立前に、お前たちが最後であることを確認しなければなるまい……」
巴「……よかろう……手を貸してやる」

　ちなみに、その後、研究所跡地の隅々まで調べ上げたが他に死者蘇生カプセルのようなものは存在しなかった
　……つまり、それはこれで本当に死者蘇生プロジェクトが凍結したことを意味する。
　そして、その後、葵御前と巴御前は風魔の里で2度目の人生を謳歌するのであった……


END