Eighter -Extra Voyage-
44ther 〜防犯マニアの策動 A〜



#0
 度を超えた防犯は時に犯罪の温床となるのか!?……以前ピッキング防止鍵を5つも取り付けたにも関わらずP3(ピーキューブ)
によって突破されてしまった哀しい人物……のその後を綴ったEXAM
※エ『グザム』じゃなく、エ『ピソード』……あなたもEXAMじゃない……

#1
 天四斗(あまよと)櫻屠(おうと)家
 櫻屠鹿玖(おうと・ろっく)……彼は……いや、彼の家族は過去の失敗を反省し、より堅固な警備態勢を築いていた……
そして、そんな彼の邸は人知れず『防犯御殿』と呼ばれていた……
櫻屠鹿玖(おうと・ろっく)「ピッキング防止鍵20個……おっし……今度こそは大丈夫だろう……」
 ピッキング防止鍵を20個ドアにつけて満足げな鹿玖(ろっく)
櫻屠魔太(おうと・まあた)「アマイな……」
鹿玖(ろっく)「オヤジ!?」
 颯爽と登場するは鹿玖(ろっく)の父親、魔太(まあた)……
魔太(まあた)「いいか、同じようなものをいくつもいくつも取り付ければいいってモンじゃねぇ!……それは単なる金の無
駄って言うもんだ……」
鹿玖(ろっく)「ぐっ……確かに……」
 そもそも、前回はピッキング防止鍵を5つもつけていたのに破られたのだ……だからこそ、数で対応してもあま
り意味が無い……と、いうか、前回の失敗が生かされていない……
鹿玖(ろっく)「じゃ……どうすれば……いいんだ!?オヤジ……」
魔太(まあた)「フッフッフッフッフ……電子ロック、カードキー、パスワード、指紋照合、虹彩承認システム!!」
 ドンッ!
 バンッ!
 ガンッ!
 ジャジャ〜〜〜ン!!
 次々と無駄に高性能な防犯システムを取り付ける
鹿玖(ろっく)「おおお……」
 実はこの櫻屠魔太(おうと・まあた)……無双印刷に勤めていたのだが、ピッキング防止鍵を破られた事によって会社を辞め、今で
は総合警備会社白籤(しろくじ)総警に勤めだすというほどの防犯マニアぶりである
魔太(まあた)「しかしな、鹿玖(ろっく)……これだけじゃあまだ防犯とは言えん」
鹿玖(ろっく)「え!?」
 ここまでやっておけば大丈夫……かと思いこんだ矢先の父親の言葉に鹿玖(ろっく)はびっくりする
魔太(まあた)「いいか、最近の犯行の手口は窓を破って侵入というものだ……」
鹿玖(ろっく)「なるほど、じゃ、窓を防弾ガラスに……」
 と、鹿玖(ろっく)が納得して言うと、これだから最近の若い者は……と魔太(まあた)。
 別に、そこに老若男女は関係ないのだが……
魔太(まあた)「甘い甘い、甘い……甘くて糖尿病になりそうだ……」
 指を降りながら語る魔太(まあた)
鹿玖(ろっく)「え!?じゃあ、どうすれば……」
魔太(まあた)「いいか、窓があるからそこを破って侵入するんだ……つまり、窓が無ければ侵入されないんだよ」
鹿玖(ろっく)「なるほどぉ!!逆転の発想ですね」
※いや、それは極論だ……と、言うかそんなことをしたら、湿気のこもる最悪な家になるぞ……

#2
 ……ともかく、やるとなったらとことん、徹底的にやるのがこの一家の凄いところであり……早速窓という窓を
壁で塗り固めるのであった……
鹿玖(ろっく)「オヤジ……これでもうOKだろ?」
魔太(まあた)「まだだ、まだ終わらんよ!!」
鹿玖(ろっく)「ならば見せてもらおうか、オヤジの防犯論の全貌とやらを!」
 何気に、おかしな会話を行う親子……
魔太(まあた)「……斬鉄剣を持った泥棒がいるかもしれん……よって家の壁をこんにゃく……いや、ここはオリジナルメタ
ルで覆う……」
鹿玖(ろっく)「おおう!!」
※『覆う』と『おおう!(感嘆の声)』って……ダジャレではありません。念のため。
 ……と、言うか、流石に斬鉄剣を持った泥棒がそこいらじゅうにいるわけはないのだが……
 いや、そもそも、そんな大量のオリジナルメタルはどこから持ってくるのか……
魔太(まあた)「さらに、屏には高圧電線……警察との直通ベルに……玄関先に木刀!!これで恐いものなしよ!!」
鹿玖(ろっく)「さすがだぜ、オヤジ!!」
魔太(まあた)鹿玖(ろっく)「フフフ……フハハハハ!!!」
櫻屠芽衣留(おうと・めいる)「ちょっとアナタ……一体どこまで改造すれば気がすむのよ!」
 と、そこへ、魔太(まあた)の奥さん登場……
 先ほど、この一家の防犯は異常だ……と言っていたが、奥さんだけはまともなのである……
魔太(まあた)「無論この世から犯罪が消え去るまでだ!!」
芽衣留(めいる)「……はぁ……」
 あんまりな言葉に呆れ果てる奥さん……
魔太(まあた)「そうそう、パスワードは毎回変更されるから、家を出る前には玄関先のパソコンで確認するように」
芽衣留(めいる)「ちょっと……」
※しっかし……そんな改造の資金なんて一体どこにあるんだ!?……謎だな……

 と、言うわけで……防犯御殿は堅固で無駄に凄い防犯システムを導入し泥棒をシャットアウトしていた……
 だが、哀しきかな……人間が作り出すものに完全なものはあり得ない……
魔太(まあた)「まだ……足りんなぁ……」
芽衣留(めいる)「あなた、これ以上何するつもりですか!?」
※ってかよくもまぁ、離婚とか別居されないよなぁ……亭主関白!?
魔太(まあた)「う〜〜〜む、何かいい方法は無いものか……」
芽衣留(めいる)(ああ、もう……ヤだ……こんな生活……)
 だったら離婚しようぜ……と言いたくなるが……なぜ離婚しないんでしょう!?
 と、まぁ、それはそれで、さておいて……防犯御殿……今後、どんな変貌を遂げるというのか!?


続

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