Eighter -Extra Voyage-
29ther 〜呪われし一族の(すえ)



#0
 月見星(やまなし)一族……かつて、遺産欲しさに親を殺したその一族のものは……親を疎ましく思う子供を代々呪い、殺し
てきた……そして、その真実を知った現在の子供は……それをどう活かすのか……
 これは、そんな彼女の……一族の運命から逃れられるかどうかを綴ったエピヘイル
※エピ『ヘイル』じゃなく、エピ『ソード』だからッ!!ってかバスターストライカー!?……もはやソードから
 かけ離れ過ぎているぞ

#1
 東京都、某霊園
月見星(やまなし)智子「……」
 お墓参りをする智子
智子「……お母さん……ご先祖様……」
 ……総介の手により、全てを知った彼女は……変わった……親を疎ましく思っていた彼女は、親が呪い殺されて
からというもの、彼岸にはキッチリとお墓参りをし、先祖らの命日には仏壇に向かい……そして、子供ができたら
きちんと親の大切さを教えよう……と、そう考えたのであった……

 そして、月日は流れ……彼女はSEの小鳥遊田田丁(たかなし・ただち)と結婚、出産をする……
※ちなみに念のためだが、SEは『セカンドエディション』の略じゃなく、『システムエンジニア』の略である。
 (いや、普通は分かるから……)
智子「いい?雫覇人(なはと)……親を大事にしないと……バチがあたるのよ……覚えておきなさい……わかった?」
小鳥遊雫覇人(たかなし・なはと)「うん……わかった……」
※ちなみに、お相手、小鳥遊田田丁(たかなし・ただち)ですが……今回は登場しません。(うぉい!!)
智子「そう。いい子ね……孝行したいときに親はいない……だから、今の内に孝行しておくのよ」
雫覇人(なはと)「うん、分かった……」
 にっこりと笑って答える雫覇人(なはと)
智子(……これで……私は……)
 物分かりの良い子供で良かった……とほっと胸を撫で下ろす智子……ともかく、彼女はこれ以上呪いによって一
族のものが死なないように……懸命に努力してきた……結婚してからも、子供ができてからも、墓参りや命日の事
を忘れたことがなく……また、夫もそんな健気なところが気に入ったのか……何も言わなかったという……
※ちなみに、余談ですが、彼女は自分の家だけでなく、夫の方の墓参りにも欠かさず顔を出したそうです。
智子「ご先祖様……そして……紅l燭壘(グレンデル)」
 私は、一族に懸けられた呪いを超えてみせる……この、呪われた家系も私で終わらせる……
 そう意気込み、彼女は子供に教育を行い……かくて、彼女は悠々自適に49歳へと上り詰め……明日はいよいよ運
命の50歳の誕生日
智子「……」
 ちらりとカレンダーを見て、日付を確認する智子
智子(……良かった……今日を乗り越えれば……私は……一族の呪いを超えられる……ご先祖様……私は……やり
ました……よっ!!?)
 ドクンッ
 だが、突如、彼女は激痛に苛まされる……
智子「うっ……ぐう……な……なん……」
 ガクリッ
 そのまま頽れる智子

#2
智子「どう……して……私は……呪いを……」
 ボウッ
 そして、その傍らにかつて見た鬼……紅l燭壘(グレンデル)が出現する……
智子「話が……違……」
紅l燭壘(グレンデル)「……」
 自分が苦しむさまを何も感じないように見下す紅l燭壘(グレンデル)
智子「……どうしてなの!?……紅l燭壘(グレンデル)!!あの時の約束は……」
 苦しみつつも紅l燭壘(グレンデル)を睨みつける智子
紅l燭壘(グレンデル)(お前は道を間違えた……お前は……本質を正しく伝えなかった……)
 暫くすると、頭の中に紅l燭壘(グレンデル)の声が響き渡る
智子「何を言っているの!?私は……あなたも……どこからか見ていたのなら……分かるでしょ……」
紅l燭壘(グレンデル)(上辺だけの心で親を敬い……心の中では(ないがし)ろにしていた……)
智子「違うわ!!私は……」
紅l燭壘(グレンデル)(お前では無い……その子供だ!)
 お前は確かに、親と先祖を敬って生きてきた……それは認めよう……と紅l燭壘(グレンデル)……だが、お前の子供は違う…
…と続ける
智子「雫覇人(なはと)が!!?……そんな……どうして……私は……ちゃんと、雫覇人(なはと)に……」
 あんなに素直だったのに……だが、しかし、紅l燭壘(グレンデル)は冷たく言い放つ
紅l燭壘(グレンデル)(だから、お前は道を間違えたのだ……お前はただ『親を大事にしないとダメ』としか言わなかった……
無邪気な子供のうちはいいとして……成長すれば……いや、毎日同じことを聞かされれば……誰だって厭になるも
のだ……事実、今の彼は……心の中で親を殺している……)
智子「……そん……な……」
紅l燭壘(グレンデル)(故に我はお前を処刑する……)
智子「ま……待って……最期のチャンスを!!」
紅l燭壘(グレンデル)(もう、遅い……今からいくら頑張ったところで、子供の心は変えられん……)
智子「紅l燭壘(グレンデル)……」
 ガクリ……
 小鳥遊(たかなし)智子(旧姓月見星(やまなし)智子)享年49歳……彼女もまた、一族の呪いからは逃れられなかった……
 そして、呪いは……雫覇人(なはと)へと受け継がれることに……


END

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