Eighter -Extra Voyage-
2nder 〜斬らねばならぬ炎 B〜



#3
白拍子かんな「……すみませんが、この依頼は受けられません」
一同「かんな!?」
 突如、かんなが言い出す……
 バッ
六見瓦斯機(むいみ・がすき)「それは……どういう!?」
 土下座をしていた瓦斯機(がすき)が起き上がり、叫ぶ
かんな「……この世のありとあらゆる物質を燃料化するものをどう無効化するのか……という命題です」
瓦斯機(がすき)「ぐっ……」
雨水(おぼろ)「そうねぇ……そうよねぇ……この世の物質がダメなんじゃあ、あとはあの世の物質……?」
一同「それは単純すぎる回答だろう……」
 あの世の物質って何!?と一同。
梓與鷹(よたか)「と、言うかどうやってあの世の物質を持って来るんだよ……」
(おぼろ)「……だよね……当然そうなるよね……」
 やっぱりそうだよね……と(おぼろ)は頷く
かんな「……ですので、お引取り願います……」
瓦斯機(がすき)「く……ぐぐぐ……」
 運の女神、かんなが言うのでは、無理としか言いようが無い……
 と、言うわけで、瓦斯機(がすき)は無くなくEighter本部を後にするのであった……

與鷹(よたか)「……かんな……」
依頼人(クライアント)が去ってから、與鷹(よたか)がかんなに呟く。
かんな「……はい。分かっています……アトランティスのデータベースにて枠剤のレシピは入手できるのですが…
…やはり、中和剤を作ることは……不可能に近いです……」
 流石に放っては置けないのだが……やはり、かんなの言う答えは絶望に近い
與鷹(よたか)「……そうか……」
(おぼろ)「ねぇ、その炎、いっそのこと宇宙に放り出したらどうかな?」
 と、そんな時、(おぼろ)が妙案を思いつく
梔曹(くちなし・つかさ)「おお!そういや太陽はあと10億年だか1億年後に燃え尽きるって言うんだから太陽に突っ込めば……寿命を
延ばすことが出来るんじゃないか?」
 乗り気で(つかさ)も便乗するのだが……
かんな「……根本的な解決になりませんよ。第一、枠剤はこの世のありとあらゆる物質を燃料とし、燃え続ける…
…つまり、ゆくゆくはこの宇宙全体が燃料になる……と言うことです」
一同「……」
一同……沈黙……このまま世界は炎に包まれてしまうと言うのか!?
(おぼろ)「……ね、ねぇ、かんな……まさか本当に解決手段がない……ってなわけないわよね……?」
かんな「……」
 沈黙が重い……まさか……外伝っぽいこのシリーズで唐突にEighterが終わってしまうのか!?
 ……と、思いきや……
かんな「……解決する唯一の方法は……」
 そして、かんなは重い口を開くのであった……

#4
 一方……今日も今日とて剣の修行に勤しんでいる(いさむ)はというと……
某敢(それがし・いさむ)「……拙者の心眼も……まだまだ未熟……」
 ブンッブウンッブブンッ
 刀を素振りしながらそう呟く(いさむ)……
(いさむ)「きぇい!」
 シュガッ
 (いさむ)の剣が空を斬る……と、その時……
*(……れ……斬れ……)
(いさむ)「な……なんで……ござるか?」
 突如、(いさむ)の頭の中に、声が聞こえる
*((いさむ)……炎の(しん)を斬れ……さすれば……お前の心眼により一層の磨きがかかるだろう……)
(いさむ)「……この……声は……師匠……!?」
 (いさむ)の頭の中に響く声……それは……紛れも無く剣聖丈太郎のものであった……
(いさむ)「師匠……炎の心を斬れ……とはどいういう!?」
 ぼやあ〜〜〜
(いさむ)「なっ!?こ……これは……何でござるか!?」
 そして、(いさむ)の脳裏にユーズレスラボ大火災の映像が浮かび上がる
*(急げ……(いさむ)……時間は……残り少ない!!)
(いさむ)「師匠……拙者……今、参るでござるよ!」
 だだっ
 かくて、(いさむ)はユーズレスラボへと向かう

 天四斗(あまよと)、ユーズレスラボ
(いさむ)「……ここで……ござるか……」
 ゴウゴウゴウ……
 そこは、炎が猛り、まるで地獄のような暑さ……
※地獄って暑いんですか?……地獄の種類によって暑さ、寒さが違うような……
(いさむ)「……某敢(それがし・いさむ)……参る!」
 ぐっ……
 ー砕(がんさい)に手を構え……じっと炎を見据える(いさむ)
警官「おい、そこのお前……ここは危険だ……下がれ……下がるんだ……」
 巡回していた警官の声……しかし、その声も今の(いさむ)には聞こえず……
警官「おい、聞いているのか……くっ……熱っ……」
 助け出そうにも炎が邪魔して行くに行けない警官……どうしたものか……と悩んでいると……
(いさむ)「見えた!!でござるよ!!……でいやあああ!!!」
 ギャキュイアッ
 (いさむ)、気合の一閃……が炎を斬り裂く
警官「お、おいおい……いくらなんでも……」
 ふおっ……
 と、次の瞬間……あれほど猛っていた炎が嘘のように消失する……
警官「な……何だ……!?何が!!?……」
(いさむ)「師匠……拙者、また一段と剣の道を進めることができたでござる……有り難き幸せにござる」
 (いさむ)、一礼をして去っていく……
警官「……まるで、狸に包まれたみたいだ……」
※×狸に包まれる
 ○狐に(つま)まれる/狸に化かされる
 ……まさか2ヵ所も間違えるなんて……アンタ……
 こうして……ユーズレスラボ化学大火災は終わった……
 だが、しかし……後にユーズレスラボは再建され、ユーズレスラボ・トータリーとなり、更にパワーアップして
役に立たない代物を世間に送り出すのだが、それはまた別の話である。


END

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