Eighter -Blindness Wizard-
17ther 〜神代の対魔拳覚醒 A〜



#0
 天宮裕(あまみや・ゆたか)……與鷹(よたか)を逆恨みして殺そうと意気込んで返り討ちに合って投獄された悲しい人物。
 だが、今、彼は魔導の力を以て與鷹(よたか)を殺しに舞い戻る。名をウディンと変え、シレントワイザードの魔術師とな
りて……
 果たして、與鷹(よたか)はこのピンチを切り抜けることが出来るのか!?

#1
天宮裕(あまみや・ゆたか)「さぁ、無様に惨めに無残に死ねッ!戮狼戴天(ろくろうたいてん)!」
 まずは黒い気を纏った左手を突き出すと同時に黒い気を飛ばす。打ち出された黒い気が狼の顔を成して與鷹(よたか)に食
らいつく
梓與鷹(よたか)「うぐおっ?」
(ゆたか)「ハッ!虐狼魔覇(ぎゃくろうまは)!」
 続いて上空を舞い、そのまま重力加速をつけて右の拳を叩き付ける。
與鷹(よたか)「かはっ……」
 魔術でブーストされた(ゆたか)の攻撃を前に手も足も出ない與鷹(よたか)
(ゆたか)「まだまだッ!貴様への恨みはこんなもんじゃねぇッ!獄狼砕界天(ごくろうさいかいてん)ッ!」
 両手、頭に黒い気を纏い、ケルベロスのような姿で襲い掛かる(ゆたか)(ゆたか)「これは九星団時代に貴様に負けた分ッ!」
 ドガッ
 左拳を與鷹(よたか)に叩き込みながら叫ぶ(ゆたか)
(ゆたか)「これは貴様の名声を貶めるために奔走した際に負けた分ッ」
 ガドッ
 右拳を與鷹(よたか)に叩き込みながら叫ぶ(ゆたか)
(ゆたか)「そして、これはぁッ……なんだかよくわからんが、くらえッ!」
 ドコバキッ
 ガドゴゴゴゴゴッ
 ここまでくると最早逆恨みも甚だしい……
※ってかお前はどこぞのイタリアンマフィアのボスかッ!
與鷹(よたか)「ぐっ……ぐくっ……」
(ゆたか)「フハッ!まだ死なないかぁッ!……ハ〜ッハッハッ!当然だぁッ!俺が死なない様に加減してやってるんだか
らなぁッ!」
 全ては徹底的に與鷹(よたか)をいたぶるために!
與鷹(よたか)「貴様という奴は……」
 そこまで言われればこんなところで無様に死ぬわけにはいかない!
 ギロリと(ゆたか)を睨み付ける與鷹(よたか)(ゆたか)「フンッだが、貴様に何ができる!?」
 実力差は誰が見ても明らか……最早勝負は決したか!?
與鷹(よたか)「だとしてもッ!」
 貴様に引導を渡すのが双狼拳(そうろうけん)正統伝承者たる俺の使命!と吠える與鷹(よたか)
(ゆたか)「ハッ!ならば、貴様には拳法家として最も屈辱的な死をくれてやるわ!」
 ぐおおおおっ
 そう叫ぶと(ゆたか)は右手を天に掲げる。
(ゆたか)「見ろ!これが魔術を駆使して作り上げた貴様を殺すためのミサイルだッ!」
 なんで魔術を駆使して作ったのがミサイルなんだよ?!……お前はどこのから〇りサーカスだよ!
(ゆたか)「跡形もなく消し飛べ!」
 ズドドドドドドッ
 右手を突き出し、ミサイル全弾発射!
 このとき、(ゆたか)は勝利を確信した!

#2
ラキエル「ネサリウス様、どうやら決着はつきそうですね……」
 そして、遠巻きに見てたラキエルも、同様の感想を漏らしていた。
ネサリウス「……」

テノ「だるだる〜〜〜」
 カカッ
 ズドゴァンッ
 ミサイルが炸裂し、爆発が巻き起こる……だが、その直前、誰もが予期せぬ出来事が起こった。
一同「なっ、何だと?!」
 てくてくとテノが現れては、與鷹(よたか)の前に立ち、魔術障壁を展開。ミサイルの爆撃を防いだのだ。
ラキエル「あっ!テノ!あいつ、あんなところに!」
 ラキエルが叫ぶのも無理はない。かつてテノはラキエルが使役していた魔術書娘だったからだ。ある死合の際に
置き去りにしてしまい、今は別の魔導書娘を使役する羽目となってしまったから忘れるわけがない。
ネサリウス「馬鹿な……」
 思わず声を荒げるネサリウス。
ラキエル「ネサリウス様!?」
 今までこれほどまでに慌てた様子のネサリウスを見たことがなく、ラキエルも動転する。

(ゆたか)「あぁ?なんだ貴様……邪魔するなら貴様も殺すぞ!」
 ギラギラした殺気を飛ばすもなんのその。
 そのままテノは與鷹(よたか)の元へ歩み寄り、與鷹(よたか)の顔を見下ろす
テノ「……ディエクーラウ・アズルサとの盟約により、汝に加護を授けん……」
與鷹(よたか)「な、なな、何だって?」
ネサリウス「なっ、ディエクーラウ・アズルサだとっ!?」
ラキエル「し、知ってるのですか?ネサリウス様?」
 ラキエルの言葉を無視して、ネサリウスは飛び出す。
ネサリウス「貴様っ、古の魔術師……ディエクーラウ・アズルサの子孫だというのか!?」
(ゆたか)「はぁ?」
與鷹(よたか)「な、何?」
ラキエル「ネサリウス様……い、一体どういう?」
 突然の出来事に誰しも戸惑いを隠せない。
(ゆたか)「チッ、盗み見とはいい御身分だなぁ、おい」
ラキエル「貴様、ネサリウス様になんて暴言を……」
 今はそんなことはどうでもいい、といった感じのネサリウスはそのまま與鷹(よたか)に問いかける。
ネサリウス「答えろ、貴様が古の魔術師、ディエクーラウ・アズルサの子孫なのか?」
與鷹(よたか)「いや、誰だ、そいつ?」
ネサリウス「……彼は偉大なる魔術師の一人だった……だが、ある事件をきっかけに祖国を追われ……そうだ、日
本へ逃げ延びたと聞いた……」
 ぶつぶつと独り言の様に呟くネサリウス。
テノ「梓大九郎……それが彼の日本での名前……」
與鷹(よたか)「何だって!?……確かに俺のひい爺さんあたりにそんな名前の風変りな人がいたって話は聞いたことがあっ
たが……」
ネサリウス「ならば、間違いない、貴様はディエクーラウ・アズルサの子孫!」
 この事実は何を示すのか?
 そして、死合の行方は!?


続

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