Eighter -Blindness Wizard-
16ther 〜怨念の魔王拳強襲 C〜
#3
復讐の鬼、天宮裕。彼の目的はただ一つ、與鷹(の抹殺である!
梓與鷹(、天宮裕(「……」
距離を置いたまましばらく睨み合う両雄。
そして、そんな両雄の死合を遠巻きに見る存在が少なからずいた。
テノとウェルである……と、言いたいところだが、そうではない。
※違うんかい!
ラキエル「アイツは何で力を使わないんだ?」
ネサリウス「さてね……」
そう、シレントワイザードの魔術師である。
ここまで来れば最早誰しもお分かりかと思われるが、ウディンとは何を隠そう天宮裕(のことである。(ナ、ナン
ダッテー?!)
※なお、『誰しも』に含まれない奇特な人物もいるかもしれませんが、そんなものはこの話の進行には全く関わり
がないため割愛します。
そして、ウェル……それが裕(の使役する魔導書娘。
なんかこう、目がぐるぐるしている少女の姿をしており、彼女とマトモに会話はできない。
要するに電波である。(酷い言い草……)
ネサリウス「しかし、ウディンが殺したいほど憎んでいる相手というのが、あいつとは……」
ラキエル「ええ、その点は驚きです」
シレントワイザードの大願(の前に立ちはだかる厄介な組織。それがEighter……と、言うのがシレントワイザー
ドの魔術師の認識だ。
※いや、『大願』に『野望』ってルビふるなよ……
ネサリウス「まぁ、これはウディンの問題。我らがしゃしゃり出るのはお門違いというものだな」
ついでに言うならば、最初からネサリウスはこの死合を見届けるだけと心に決めていた。
かくて、話はY[ou]takaの死合へと戻る。
※『Y[ou]taka』で『與鷹(』と『裕(』を一緒くたに表記すんのやめい!
裕((そう言やぁ、修行の最中にうっすらと聞こえていたな……シレントワイザードを邪魔する厄介な組織がいると
かなんとか……)
そう、それこそがEighterである。
裕(「フッどうやら俺の行動は全てにおいて正しかったってことだな」
與鷹(「いや、どう考えても間違いだらけだろ!」
そもそも双狼拳(を邪道に叩き落すために封印されていた裏奥義などを復活させた時点で間違っている。
裕(「五月蠅ぇよ!ともかく、貴様はそろそろ死ね!」
與鷹(「お前に殺されるわけにはいかねぇ!……だが、双狼拳(の伝承者としてお前には引導を渡してやる!」
いよいよ死合もクライマックスへ?!
裕(「ハァアアアアアッ!獄狼砕界天(!」
與鷹(「ウオオッ!天狼激転生(!」
ガカアッ
#4
両手と頭の黒い気が狼の相貌を成しまるでケルベロスのような姿で襲い掛かる裕(。
対して與鷹(は四人の幻影を作り裕(を抑え込み、本体がトドメの一撃を繰り出す。
裕(「フッ……」
與鷹(「何が可笑しいんだ?」
激突の果て……與鷹(の拳は裕(を完全に捉えた!與鷹(の渾身の右ストレートが裕(の胸を襲う。
最早完全に勝敗は決した……かに思えたが、違う
與鷹((なっ、なんだ!?)
ゾワリと寒気がして、咄嗟に與鷹(は飛び退り裕(から距離を置く。
完全に決まった!かに思えたが、裕(はケロリとしているのも不気味なのだが……
裕(「所詮、貴様の力はその程度だってことだ!」
とかいいつつ、あとほんのちょっとでも與鷹(の拳打が強ければ負けていたと冷や汗をかく裕(。
※與鷹(の力を若干見誤っていた様子……あとちょっとだけ與鷹(の方が強ければ死合はここで決着だったので、そう
考えると実に惜しい……
裕(「見せてやろう、俺が手に入れた新たな力をなぁッ!」
そう言って裕(は右手を前に突き出すと、その右手を覆っていたナックルガードを左手で勢いよく外す。
與鷹(「何?!」
シレン、トワイ、ザード……三文字ずつ区切られてそう書かれていた。
與鷹(「お前、まさかッ……」
七罪塔(ではなく、魔導書娘!?與鷹(がそう考えると同時に裕(は叫ぶ。
裕(「ウェルぅううう!」
ウェル「あ〜、うん。そね……」
ふらふら〜っと姿を現す少女。覚束無(い足取りは見ていて不安になってくる。
それは裕(が使役する魔導書娘だ。
裕(「我が元に帰れ(!」
更に叫ぶ!と同時にウェルの姿は綴じ合わせが解かれた本のように無数の紙片となりて宙を舞い裕(を包み込み、
裕(を守る鎧となる。
裕(「與鷹(ぁッ!これが貴様をブチ殺す俺のコンプリートフォーム!さぁ!お前の詰みを数えろやぁッ!」
そんな平成仮面ライダーみたいなノリで言わんでも……
裕(「そう言やぁ、貴様は我らシレントワイザードの邪魔をしているそうじゃねぇか!」
與鷹(「邪魔って……お前は場違いな黒き遺物(の怖さを知らないだろうからそんなことを……」
裕(「黙れ!とにかく貴様は一刻も早く死ねッ!」
最初から話し合いで解決などできないのは分かっていたことだ。
怒りと共に裕(は與鷹(に詰め寄る。
與鷹(「くっ、やはり、想像以上に速……」
裕(「砕け散ろ!」
ドゴオオッ
與鷹(「ガハアッ!?」
裕(の一撃に手も足も出ず派手に吹き飛ばされる與鷹(
#5
裕(「フッ……フハハハッ、フハハハハッ!」
鬼の首級(を殺(ったかのように愉悦に口を歪ませながら哄笑する裕(。
與鷹(「くっ……」
よろよろと起き上がる與鷹(。
裕(「まだ立ち上がれるだけの力はあるか……」
まぁ、その方が俺としては楽しめると下卑た笑いを浮かべる裕(。こいつ、とことこん外道である。
與鷹(「裕(……」
拳打を喰らった部分を左手で抑えて苦し気に呟く與鷹(。
裕(「黙れ!……そして、今後その名で俺を呼ぶんじゃねぇ!俺はシレントワイザードの魔術師、ウディン!」
與鷹(「う、ウディン?!」
裕(「そうよ、貴様を殺すために俺はこの力と名を手に入れた!」
與鷹(「ど、どういう……ことだ?」
力を手に入れたのはまだ分かるが、名を手に入れたというのが分からない。
裕(「いいだろう、冥途の土産に教えておいてやる!」
勝ち誇ったかの方に宣言する裕(、もとい、ウディン
裕(「ウディンというのはなぁ、Uccidere di notteの略よぉ!……そしてぇ!」
ズビシっと與鷹(を指差してこう続ける
裕(「ソレはイタリア語で『夜鷹殺し』を意味する!わかったか!俺は貴様を殺すためにこの力と名を手に入れたと
いう、その意味がッ!」
與鷹(「……」
裕(「さぁ、今こそ我が魔拳の前に砕け散れ!」
與鷹(、裕(の前に砕け散る時?!
END
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