Eighter -Bizarre Investigate-
30ther 〜哀れな母親の挽歌(エレジー)



#0
 憎悪のない殺人は無罪たりえるのか……それとも、罪の意識のないこと自体が大罪なのか……これは、そんな、
とある殺人事件を綴った事件簿である。

#1
 兵庫県、某所
警官「鯱畑(しゃちはた)警部……」
鯱畑(しゃちはた)象牙「うむ、ガイ者は赤河浪子(あこう・ろうこ)、14歳……」
 とある邸宅にて、起こった殺人事件……そこにやってきた兵庫県警の面々は早速捜査を開始していた
象牙「赤河(あこう)……と言うと株式会社SG(センター・グラナリー)赤河(あこう)か!?」
警官「はい……鯱畑(しゃちはた)警部……江戸の終わりから、ずっと、地震雷火事親父にもびくともしない蔵を作ることで有名
なあの株式会社SG(センター・グラナリー)です」
象牙「ふぅむ」
※地震、雷、火事にあってもびくともしないってのは分かるが、最後の親父にもびくともしない蔵ってのは……ど
 ういう!?
警官「鯱畑(しゃちはた)警部……第一発見者は母親の赤河青海(あこう・あおみ)、40歳であり、部屋に入ったら娘が自殺していた……とのことで
すが……」
 浪子(ろうこ)を見ると、確かに背中に包丁が刺さって死亡している……
警官「……鯱畑(しゃちはた)警部……明らかに他殺ですよね?」
象牙「……ああ……まず、遺体のあった場所の床が凹んでいないし、濡れても居ない、エアコンも付いていなけれ
ば……髪の毛を握ってもいない……」
 と、どこかで聞いたことのあるようなことを言い出す鯱畑(しゃちはた)警部
警官「鯱畑(しゃちはた)警部……漫画を忠実に再現しているわけないですし……大体あのマンガでは後ろから刺されて即死なの
に髪の毛を握っているのはおかしいってなことで自殺が発覚したわけで……」
象牙「……む……」
 これは痛いところを突かれた……と鯱畑(しゃちはた)警部……
※お前ら、現実と漫画をごちゃ混ぜにして会話を進めるんじゃないよ!
警官「それにエアコンくらいリモコンのタイマーで……」
警官「鯱畑(しゃちはた)警部……そもそも、エアコンにはカバーかかってますよ……」
 その後も、まだ、先ほどの漫画と同じ顛末だと思い込んだまま無能警官一行は事件を推理する
※いや、だから、お前ら……いい加減にそのマンガの事件から離れろ……
警官「鯱畑(しゃちはた)警部……凶器の包丁ですが、指紋は母親のものしか出なかったそうです……」
象牙「……じゃ、母親が犯人……である可能性も無きにしも非ずであるかもしれなくもないわけで……」
一同「ややこしすぎますよ!どっちなんですか!!」
 途端に曖昧な発言を行う無能警官……鯱畑(しゃちはた)警部。そんな彼の発言に部下も思わず突っ込みを入れるのであった

#2
警官「鯱畑(しゃちはた)警部……母親の証言ですと、『娘は学校でよくイジメにあっていたので、それを苦に自殺したのでは無
いか』……とほざいております」
 その時、聞き込みなどを終えた警官がやってきて、得た情報を鯱畑(しゃちはた)警部に伝える。
※……『ほざく』とかいうのはどうなんだろうか……母親を犯人と決めつけているのだろうか?
象牙「で、学校側はどう言っている?」
警官「はっ、鯱畑(しゃちはた)警部……『イジメに遭っていたなどの報告は無い』……と当然のように申しております」
象牙「やれやれ……」
※『当然のように……』って、あくまで学校がイジメを秘匿してるような言い方もどうなのだろうか
 早速事件は八方ふさがり……こりゃ迷宮入りだな……などと勝手に諦めている無能警官……
 と、その時……
(かみ)総介「青海(あおみ)氏は5年前から重度の鬱病で入退院を繰り返していたそうだが……」
山咲(やまざき)桜「はい。どうやらそれも今回の事件に関与しているのでは無いか……と」
 総介、桜と共に颯爽登場
総介「ふむ」
一同「かかかか……かっかっか……(かみ)警部!!!!いつからそこに!!?」
 突然の登場に一同はお決まりの驚愕のポーズ
総介「……俺がここにいてまずいのか!?」
警官「いえ、滅相も……」
桜「警部……」
総介「……フン……実に下らん事件だ……帰るぞ……山咲(やまざき)」
桜「あ……はい、警部……」
 スタスタ……
 しかし、颯爽と登場した割に、あっさりと帰っていく総介。そんな有り得ない光景を目の当たりにした無能警官
は狐につままれたような表情でぽかんとする
警官「え!?(かみ)警部……あの……それはどういう!?」
総介「言葉通りだ……こんな下らん事件に俺を呼び出したのは誰だ!?……減給ものだぞ……」
警官「いえ……あの、その……どういうことか説明してください……」
桜「……重度の鬱病の母親が犯人……こんな単純な事件は他に無い……そういう事です」
一同「……はい!?」
 奇しくも、母親が犯人……と決めつけていたあの無能警官の発言は正しかったのだ……
総介「とっとと母親を署まで連れて来い……」
一同「は、ははっ!!」

#3
 つまり重度の鬱病に苛まれていた母親は朦朧とした意識で娘を殺害……その後我に返り、死亡した娘を見てどう
いうわけか自殺と思ったらしい……
 まぁ、鬱病の原因が何か……と、言うか実は鬱病ではなく脳の障害だとか何とか言われて事件は終わったのだが
……
 あなたは鬱病だと思って放っては居ませんか?……そのままにしておくと、大変なことになりますよ!?
※ホンコワかよ!(注『本当にあった怖い話』ではなく、『本当は恐い家庭の医学』の略です)←マテ!


END

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