Eighter -Bizarre Investigate-
23rder 〜園児が自殺した?〜



#0
 人間は『やって後悔する』より『やらずに後悔する』方が後悔の度合いが大きい……そして、それは……犯罪で
も同じ!?……これは、ある漢の悔恨と慙愧の事件簿である。

#1
 天四斗(あまよと)範笊(はんざる)保育園
園児「あれ……なぁに?」
保育士「え?」
 園児が指差す向こうには……
 ドグチャアアアッ
一同「ぬなっ!」
 突如として園児が降ってくる……当然、その園児は即死……
一同「うわああああ!!!!」
 凄惨な光景を見せつけられ、園児らも流石にとどめき……泣き叫ぶ……
保育士「きゅ……救急車!……」
保育士「はっ……ただちに……」
 ……だが……既に手遅れなのは明白…………救急隊員の通報で、すぐさま警察がかけつけることになったのだっ
た……
志摩椅埴亜(いじえ)「ふむぅ……いきなり園児が落ちてきた……そういうことですな?」
保育士「はい……」
警官「屋上への出入りは?」
保育士「危険ですから禁止されているはずです……とりあえず、フェンスもあるのですが……」
椅埴亜(いじえ)「そんなことが言い訳になるか!鍵の管理とか徹底していたのかと聞いているんだ……」
保育士「そ……そこまでは……」
 だが、しかし、よく考えると、たとえ鍵を入手したところで、園児に鍵穴まで届くとは思えないのだが……
 大人は大人の基準でしか物事を考えないものである
 と、そんなことをしていると、警官の1人が慌ててやってくる
警官「志摩警部!大変です!!屋上でこんなものが……」
 その手にはクレヨンと画用紙……
椅埴亜(いじえ)「何だ!?」
 バッ
 その画用紙には……
 『おとうさん、おかあさん、ぼくはわるいことをしました。ごめんなさい』
 と赤いクレヨンで書かれていた
一同「……」
椅埴亜(いじえ)「馬鹿な……自殺最年少の記録を塗り替えただと!?」
一同「……」
 志摩警部のあんまりな発言に一同、沈黙……
警官「落ちついてください志摩警部、まだ死亡した園児が書いたものとは限りません……」
警官「……あ、でも、園児の爪には赤いクレヨンが付着してましたよ……」
警官「じゃ……じゃあ……」
 やはり、あの園児は自殺したのか……と警官一行も、保育士一行もどよめくのであった……

#2
椅埴亜(いじえ)「ええい、とにかく!園児が自殺するわけないだろ!これは自殺にみけかけた虐待殺人だ!」
 そんな中、やはり志摩警部が一喝
警官「……それなら……ありえそうですね……」
保育士「なっ、何を言うんですか!?ウチがそんなことするわけないでしょう!」
 それに猛反発する保育士……
椅埴亜(いじえ)「そうかどうかをこれから調査するんだ!」
 と、言うわけで、早速園児に聞き込みを開始する無能警官……高校や中学での自殺ならクラスメイトに事情聴取
を行うのが筋だが、幼稚園児相手に何をやっているんだか……
椅埴亜(いじえ)「お前ら……」
警官「う〜〜ん、やっぱり駄目でちゅね……」
警官「困りまちたねぇ……」
 いや、なんでお前ら赤ちゃん言葉なの?

 その後、近所の奥さん方にも事情聴取を行い……が、しかし、どう捜査しても虐待を受けていたという事実は見
当たらなかった……
※余談ですが、無能警官は園児の事情聴取の後すぐさま奥様方にも事情聴取を行い……いや、何が言いたいかと言
 いますと、園児の赤ちゃん言葉で奥様方にも事情聴取を行って恥をかいた……と……
警官「……不審者の情報も無し、近所の奥様方からも良い評判ばかり……」
警官「志摩警部……捜査は行き詰ってしまいましたよ……」
椅埴亜(いじえ)「はぁ……仕方あるまい……こんな時こそ……」
(かみ)総介「迷宮入りとか言い出すんじゃなかろうな?」
一同「かかかかっ、(かみ)警部!!?」
 颯爽と総介、桜と共に参上する
椅埴亜(いじえ)(かみ)警部……いや、私は……その……そろそろ(かみ)警部がやってくるんじゃないかな〜〜と思いましてですね
……」
総介「……フン……」
 そのまま志摩警部を一瞥して、園児が死亡した枠線に眼を移す
総介「で、自殺の原因だが……」
警官「(かみ)警部……って……自殺!?」
山咲(やまざき)桜「調書によると、園児のスモックのポケットから以下のものが出てきました……」
 すっと取り出したるは……5円チョコやら10円ガムやら……
警官「このお菓子が何か……?」
総介「……分からんか?」
警官「……はい!?」
椅埴亜(いじえ)「ま……まさか……」
警官「……これら……全部が……盗品!?」
桜「はい、そういうことです」
警官「馬鹿な……総額100円にも満たない金額の万引きで自殺だと!?」
 そして、やはり、大人の基準でものを言う無能警官……しかし、それを斬って捨てる桜
桜「何を言っているんですか?……大人には端金でも子どもにとっては大金です。昔、500円でももらえればうれ
しかったけど、今はたった500円ぽっち……と思うでしょ?……それと同じです」
椅埴亜(いじえ)「……なるほど……確かに……」
警官「昔はよかった……ガキだからって何やっても許されたもんなぁ……」
 しみじみと語る間違った無能警官……それに一行はあきれ果てる

警官「……いや、しかし……何というか……」
一同「……惜しい漢を亡くしましたね……」
 かくて、この惜しき漢(園児だよ?)の自殺事件は幕を閉じた……


END

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