朱い宇宙そらの侍・祖章エデン
第3幕 〜闇に飛鴉ひあは鳴く〜



烏丸からすまに託された女と刀……どっちも俺の部屋に居座り、さらに俺の通うSS学院までやってきた……挙句の
果てに俺の隣に座りやがって……一体どれだけ俺にまとわりつけば気が済むんだ!?
放課後、SS学院
ワイワイ、ガヤガヤ……
転入生、安童切子あんどう・きりこ……質問攻めで大変なことになっている……ま、俺には関係の無い話だな……むしろ
ヤツから一時的にしろ開放されて爽快な……
大典光おおのり・ひかる「……」
……本当にそうなのか!?……『どこに住んでいるの?』とか聞かれて『俺の部屋』とか答えられた日にゃあ
人生最後な気が……
などと考えながら切子きりこの方を見る……と、
日宗三月ひむね・みつき「やっぱり気になる?」
ひかる「え!?」
三月みつき登場
三月みつき「常に殺気出してるアンタの隣に座る物好き……あ、でも、今日はそんなでも無いか……」
ひかる「……」
三月みつき「ま、そのうちギブアップするんじゃないかな?いつもみたいに……」
ひかる(むしろ、その前に俺がギブアップするかも……って何でやねん!!)
ひかる「って、それよりも、恒次こうじはいいのか?」
三月みつき「……」
ゴゴゴゴゴゴッ
ひかる(ヤバイ……地雷踏んだ……!?)
三月みつき「ふっふっふ〜〜〜〜」
ズカズカズカズカッ
ひかる(すまん……恒次こうじよ……)
三月みつき「いつまでもそんなことやってるんじゃないわよ!襲刃しゅうは影鑓かげやり!」
ズドムッ
恒次こうじの影から恒次こうじへ向けて刃が突き刺さる
珠数恒次たます・こうじ「ヘギャ〜〜〜ス!!」
三月みつき「ったく……」
ひかる「……帰るか……これ以上ここに居ても仕方が無いしな……」
と、言うわけで一足お先に学院を後にする……
ひかる「ん?」
ふと、路地裏に眼をやると……先日であった烏丸からすまが入っていくのが見える
ひかる「ヤロウ!」
ダッ
ヤツは俺の家族を殺した侍について何か知っている……俺の直感がそう告げている……でなくては俺に
出会わなかったハズだ……
バッ
路地裏へ踏み込んだのだが……
ひかる「消えた!?……くそっ!!どこへ!?」
烏丸からすま「誰をお探しかな?」
背後から声が聞こえる
ひかる「何っ!?」
……俺が常に殺気を出しているのも……全ては剣の結界のため……間合いに入り込んだ敵を瞬時に斃す
ための……だが、コイツは……何の気配も無く俺の間合いに入っただと!?
ひかる(コイツ……何者だ!?)
烏丸からすま「ほう……プレゼントは気に入ってくれたかな?」
ひかる「あんなモンは今すぐにでも返品したいところなんだがな……」
烏丸からすま「ふふふ……でも、君にとっては必要不可欠なんだ」
ひかる「……そんなことは今はどうでもいい……」
烏丸からすま「ああ、分かるよ……つまり、君は、君の家族を殺したあの侍について私が何か知っている……そう
 言いたいんだろう?……う〜〜ん、残念ながら全く知らないねぇ……」
ひかる(コイツ……人の心を読めるのか!?……いや、違うな……先日逢ったときの俺の態度からおのずと
 推理できるってわけか……)
スラッ
烏丸からすまから貰った刀を抜刀するひかる
ひかる「それで納得できると思うか!?」
烏丸からすま「……やっぱり抜けたね。君はその刀に選ばれた人間というわけだ……」
ひかる「何をワケの分からないことを……」
ヒュンッババッ
そのまま斬りかかるが……やはり回避され、刃は虚しく空を斬る
ひかる「チッ……」
烏丸からすま「だから、君と争いたくは無いんだって……」
ダッ
ひかる「黙れ!」
そのまま烏丸からすまに突っ込んでいく……
ヒュバウッ
2撃目も躱され、烏丸からすまは闇へと消える
ひかる「チッ……また消えやがった……」
烏丸からすま「今の君じゃあ私には勝てないよ……第一渾身の一撃を簡単に躱されたじゃないか……」
ひかる「……」
ひかる(学院1の俺の腕がヤツには全く通用しないだと!!?)
ひかる「ふざけやがってええぇええ!!!」
恒次こうじ「よう、どうした!?大声上げて!?」
ひかる「……恒次こうじか?」
恒次こうじ三月みつき切子きりこと共にやってきた……
三月みつき「何かあった?」
ひかる「……いや、お前らこそどうして?」
恒次こうじ「お前がふらっとどこぞへ消えたから探していたんだよ。そしたら路地裏ってコイツが……」
切子きりこ「……」
ひかる(コイツも何かヘンな力持っているわけじゃないだろうな?)
まぁ、それはそれでおいといて……
ひかる「……SS学院では常に帯刀が条件だ……お前、刀持ってないだろ?」
素朴な疑問をぶつけてみた……
切子きりこ「……持っている」
持っているって……いやいや、どう考えても手ぶらですよ……
切子きりこ「……ここにある……」
すっ
居合い越しのパントマイムを繰り出す切子きりこ
ひかる「いやいや、どう見てもそれ、パントマイ……」
バリバリバリバリバリッ
空間が歪んで大太刀が出現する
一同「……」
切子きりこ「……光学迷彩」
ひかる(いやいやいや、明らかに『具現』でしょ……)
……ともかく、SS学院の生徒たる条件はクリアしてんだな……この女……


続

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