つくがく de SS
課外活動の10・後篇



図書館の主、フィル・・・借りた本を返してくれない生徒にキれたフィルは、たまたまやってきた司を巻き込んで
本の徴収に走る・・・
果たして・・・
ツクール学園、2F廊下
ズドドドドドッ
司をつかんだまま魔法で加速して突っ走るフィル
司「な、なぁ、フィル・・・次の相手は誰なんだ?」
フィル「ルシャーティー・エィユゥミス・・・借りた本は『オオカミさんと辛くない香辛料』」
司「『オオカミさんシリーズ』か・・・」
それは森野路鏈朱ロレンスという対人恐怖症のヘタレた主人公が気丈に見えて実は強がっているだけという
大神穂炉ホロとかいう女性とが楽しい仲間たちとともに旅をしながら『貸し』と『借り』を駆使して
商売を行うという物語である。
司「そういえば、少し前にスピンオフ作品が出ていたような・・・」
そんなことを思いつつ歴史資料室へと到着する
司「歴史資料室か・・・」
歴史資料室・・・ツクール学園(の生徒の本来の世界)の品物が紛れ込んでいたりするらしい教室。
もともとオーパーツの管理を行っていたルシャーティーが、自分が管理します・・・と、名乗り出て以来、
この教室は半ばルシャーティーの私物と化していた
フィル「アンドロイドなんだから、予備パーツくらいあるよね?」
司「・・・それは『腕とか吹き飛ばしても問題ないよね?』って聞いているのか?・・・いや、流石にマズイ
 だろ!」
ガラガラッ
フィル「失礼。」
司の言葉を無視して教室の中に入るフィル
ルシャーティー・エィユゥミス「フィルさん、1日12時間31分10秒ぶりですね。」
※たまに正確に最後に出会った時間から逆算して挨拶を行うのがルシャクオリティー
司(どうでもいいが、しゃべっている間に2〜3秒ズレちゃうんじゃないのかな?)
司、心の中で突っ込みを・・・
※何をおっしゃる。ルシャはアンドロイドですぞ・・・つまり、自分のしゃべる台詞の長さがどの程度なのか
 把握しているに決まっている(=考慮した時間で物を言っている)じゃないですか・・・(本当かよ!?)
フィル「ルシャ先生、今すぐ雁首そろえて本を返してもらう。」
ルシャーティー「はい?本・・・ですか?」
しばし考えるルシャーティー
ルシャーティー「ロード・オブ・ザ・スパイラルなら3日5時間6分33秒前に返却しましたが・・・」
※ロード・オブ・ザ・スパイラル・・・通称『らせん物語』。それは・・・死国を舞台にした、あってはならない
 一本のビデオをめぐる物語。
司(あれ?『オオカミさんと辛くない香辛料』じゃないのか!?)
ルシャーティーが記録を間違えるなんてないだろうし・・・と司が首をかしげていると
フィル「都合の悪い記録は削除するなんて・・・なんて自分勝手な」
キュオオオオッ
キれているフィルはそのまま詠唱に入る
ルシャーティー「あ、ダメです。今ここで呪文を使うと・・・」
ここ、資料室は色々な世界から色々な品物が迷い込んでおり、ルシャーティーはそれを管理しています。
つまり、中には貴重品も含まれているから、そんな場所で大技を使われると・・・希少な物品も消し飛んで
しまって大変・・・と、いうか、その前に俺も巻き込まれるじゃないか!?と司が思う中
フィル「アポカリプス!」
カカッ
学園を簡単に瓦礫に変えてしまうほどの魔法・・・だが、しかし、何も起こらない
フィル「あう〜〜」
バタッ
司「はれ!?」
しかも、キれていたフィルが突如ヘタれてその場に倒れこむ
ルシャーティー「・・・強大な魔力に反応してそれを根こそぎ奪っていくアイテムがあるって言おうとしたの
 ですが・・・」
遅かった・・・とルシャーティー
・
・・
・・・
ちなみに、後日分かったことだが、ルシャーティーは1週間以上前に『オオカミさんと辛くない香辛料』も
返却期限日に既に返却してはいた・・・
しかし、フィルが図書館を閉館後にコッソリと返却していたので、フィルは把握できていなかったというか
・・・こっそり返却するルシャーティーにも問題があるような・・・
フィル「コッソリと返すなんてルール違反だよ・・・」
ルシャーティー「申し訳ありません、フィルさん。返却した翌日にでも、その旨をお伝えすべきでした・・・」
・・・こうして、図書館の本は全て帰ってきた・・・
ようやくフィルから解放された司であったが・・・それもつかの間・・・
数日後
ガラッ
司「フィ・・・ル!?」
突如、司のいる教室に黒いオーラをまとったフィルが参上する
司「フィル、俺、ちゃんと本を返したよ・・・な?!」
フィル「司・・・今回も本の返却・・・徴収を手伝ってくれるよね?」
司「へ!?」
ガシっとそのまま司の腕を掴むフィル
フィル「書籍は待ってはくれないよ・・・」
司「いや、待ってくれないのは書籍じゃなく、その書籍を読みたいと思っている人なのでは・・・!?」
ズルズルズルズル・・・
そして、そのまま司を引きずって連れ去っていくフィル
と、いうわけで、司、なし崩し的に図書館の書籍徴収部隊に抜擢される羽目に・・・
司「・・・フィル・・・手伝うから・・・引っ張るのはやめて・・・ください・・・」


END

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