Eighter -Verdant Nightmare-
6ther 〜死の雨を降らす者 C〜



#5
 無言で床に転がる右手から剣を取ると左手で持ち構える零道漓(プルウィウス)
白拍子かなり「あら?右腕は治さなくてもいいの?」
零道漓(プルウィウス)「貴様ら如き人間、片腕で十分だ!」
 ズビシっと左手で剣を突き付けて零道漓(プルウィウス)が叫ぶ
かなり「だったら見せてもらいましょうか、浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界の破壊神の性能とやらを」
 ガ○ダムじゃねぇんだぞ!と一同は心の中で突っ込んだ。
 ザ〜ザ〜
梓與鷹(よたか)「な、なんだ、雨!?……え!?室内で?!」
 その時、突如として雨が降る。しかも、その雨は黒かった。
 だが、この雨も零道漓(プルウィウス)の能力によるもの。そう、よく言うであろう。山の天気は変わりやすい……じゃなかった
秋の天気は変わりやすいと。この黒い雨、零道漓(プルウィウス)曰く死の雨が降る時、それは、零道漓(プルウィウス)が全力を出す時である
※ちなみに余談だが、死の雨だからと言って別に触れたら死ぬってわけではありません
かなり「雨露で濡れちゃあ、鋼線もバレバレね……」
 そう呟きつつ、かなりは真殺影刃を大鎌の形状へと変化させる。
かなり「来なさいよ、『旻天(びんてん)』」
零道漓(プルウィウス)「おおっ!」
 挑発的なかなりだが、あえて乗る零道漓(プルウィウス)。神と人との力の差を思い知らせるという考えの元での選択だ。
 ガッ、ガガガガガッ、ガギンッ
 猛攻の零道漓(プルウィウス)。だが、その凶刃は全てかなりによって受け流される。『技』の破壊神の加護を受けていること、
ここが界間撤鋼接衝点(アクセスポイント)であること、零道漓(プルウィウス)が片腕であること。いくつもの要因が重なり合い人の身であるかなりで
も、神たる零道漓(プルウィウス)の剣を受け流すのは容易いことだった。
かなり「『旻天(びんてん)』の破壊神、その力はこんなものなのかしら?」
零道漓(プルウィウス)「人間如きが、図に乗るなぁッ!」
 ドゴオンッ
零道漓(プルウィウス)「ガハアッ!?」
 貴様に滅壊四魔貴族の恐ろしさを思い知らせてやる!といきり立った次の瞬間、零道漓(プルウィウス)は突如謎の横殴りの衝撃
を受ける。
 どこからか飛んできた鉄塊が、零道漓(プルウィウス)に激突していた。……いや、出所なんて一ヶ所しかない。かなりだ。
 かなりの大鎌、その(いしづき)部分からワイヤーで繋がれた鉄塊が零道漓(プルウィウス)を攻撃したモノの正体だ。要するに鎖鎌である。
 多彩な技を駆使して敵を破壊するのが女王禍だが、勝つためならばどんな手だって使うのがかなりである。
※これも一つの(テクニック)である

#6
梓與鷹(よたか)「す、凄い……零道漓(プルウィウス)を圧倒している……」
 與鷹(よたか)としてもかなりが本気で死合っているのを見るのはこれが初めてだ。
白拍子かんな「ちなみに、かなり姉さんは割と本気で戦ってますが、これが全力ではないです……」
與鷹(よたか)「えぇ!?」
 もしかしたら、この調子ならば零道漓(プルウィウス)に勝てるのでは?と與鷹(よたか)が考えているその時、ぼそりと呟いたかんなの発
言に驚愕のあまり声を失う。
與鷹(よたか)(ってか、今までもかなり一人でなんとかなったんじゃ?)
(かみ)総介(フッ、だが、俺たちの言葉にあいつが素直に従うと思うか?)
與鷹(よたか)(うっ……それは……)
 先日の戦い、泱硫堕(オルクス)の相手もかなり一人で十分撃退できたのだとしても、かなりにそれを依頼したところで二つ
返事で『だが、断る』となるのは目に見えている。
 そして、もう一つ、どれほどかなりの力が圧倒的であったとしても、零道漓(プルウィウス)を斃せない理由がある。
かなり「はぁ、飽きた……」
與鷹(よたか)「ええぇ!?」
 暫く零道漓(プルウィウス)の剣を大鎌で受け流しつつ、鎖鎌の部分で反撃を行っていたかなりだったが、突如そんなことを呟く
と、真殺影刃を鉄扇の形状に変化させパタパタと自分自身を扇ぎだす。
零道漓(プルウィウス)「貴様ッ!巫山戯(ふざけ)てんのかッ!」
 全力ではないかなり、それでも零道漓(プルウィウス)を圧倒するほどの力。最早これ以上死合っても零道漓(プルウィウス)に勝ち目などない。
 そうなると途端に白けてくる。だからかなりは死合を放棄する。
 気分屋なかなりだからこそ、面白みのない死合は中断してしまう。これがかなりでは零道漓(プルウィウス)を倒せない理由であ
る。
※斃せないと言うか、あえて斃さない……
零道漓(プルウィウス)「人間如きが、浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界の破壊神をあまり舐めるなよッ!」
 かなりも浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界の破壊神の加護を受けているのだが、それは無視する。
 剣を構えた左手を最上段にもっていく零道漓(プルウィウス)。それは『秋の日は釣瓶(つるべ)落とし』を体現する必殺剣。超高速の斬り
下ろしだ。
 ズビシッ
零道漓(プルウィウス)「うっ!?」
 しかし、突如間合いを侵食してきたかなりに大鎌の形状に変化した真殺影刃を突き付けられて身動きが取れなく
なる零道漓(プルウィウス)。
かなり「『旻天(びんてん)』……あなたのその必殺剣は、一度発動すれば止めるのは困難。でぇもぉ、発動する前ならこんな
風に容易く止めることができるのよ?」

#7
総介「止んだな……」
與鷹(よたか)「え?」
 気が付くと死の雨が止んでいた。
 つまり、それは零道漓(プルウィウス)の戦意喪失を意味する。と與鷹(よたか)は考えた。
レース・アルカーナ「マズイ!油断するな!零道漓(プルウィウス)はまだ……」
白拍子かれん「え?だって、死の雨が止むってことは、全力も打ち止め……」
 ズドオンッ
 炸裂、驀愀剿(ばくしゅうそう)!直撃を食らったかなりは面白い程の飛距離でぶっ飛んでいく。
一同「なっ!?」
零道漓(プルウィウス)「ハハハハハッ!……死の雨があがれば、そのあとには絶望の虹がかかる!」
 レース・アルカーナが先ほど忠告したのは正にこのことだ。
 まだ零道漓(プルウィウス)との死合は終わっていない。それなのに勝ったつもりでいたかなりは手痛い反撃を食らう。

メイド(少しヒヤヒヤしましたが、終わりが良ければ全て良し……)
 あとは逃げ出すEighter一行を追撃……しない。なぜなら今回の目的はソレではないからだ。
 勝利を確信する褐色の怪しいメイドさん。はてさて、かなりの命運は?!
 そして、Eighter一行は生き延びることができるか?


END

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