Eighter -Verdant Nightmare-
6ther 〜死の雨を降らす者 B〜
#3
零道漓「驀愀剿(!」
ズドオンッ
目にも止まらぬスピードで繰り出される斬り下ろしを何とか回避する白拍子三姉妹。
白拍子かなり(さて、どうやってアレを攻略しようかしら?)
白拍子かんな(正面からぶつかって競り勝つのは無理でしょうね……)
驀愀剿(はスピードもさることながら、そのパワーも凄まじい。よって馬鹿正直に真正面からぶつかるのは愚策で
しかない。
零道漓(「ハッ!いつまでも逃げ続けられると思うなよ!」
そしてもう一つ問題がある。それはここが月面であるということだ。厳密には静かの海の地下に相当する歴史の
墓場に極めて近い場所なのだが、それでも、月面であることに変わりはない。
では具体的にどういった問題が出てくるのか……それは先ほどから零道漓(が繰り出している必殺剣、驀愀剿(に原
因がある。
もし仮にこのまま零道漓(が攻撃を繰り出し続け、外殻を破壊してしまったら、宇宙空間に放り出されることとな
る。
神である零道漓(にとって宇宙空間でも問題なく活動できるが、人間が生身で宇宙空間に放り出されれば、考える
のを辞めるしかないのだ。
※いや、考えるのを辞める前に普通は死にます。
かなり(まぁ、今アイツはかれんを執拗に狙っているわけだから、かれんを囮にすればある程度攻撃を散らす事が
できるのだけど……)
白拍子かれん(ってか、どうして私ばっか狙われるのよ!)
かなり(まぁ、弱い者から潰すのは常套手段よね?)
かれん(……)
ただ、実際のところ、かれんが弱いわけではない。かんなとかなりが超運をもってして零道漓(と渡り合っている
のに対して、かれんは力任せに動いているから、厄介なのはかんな、かなりの二人であり相対的に見ればかれんを
狙った方が楽なのだ。
かなり「……」
かれん「ひっ?!」
かなりがニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、かれんはそれを察知して冷や汗が止まらない。
かなり「じゃあ、かれん、囮よろしく」
かれん「いやだ〜〜」
かなり「じゃあ、デコイでもいいわよ?」
かれん「言い方の問題じゃないわッ!」
だが、かなりに逆らうことは許されない。最終的に(心が)折れたかれんは一人、零道漓(と対峙する。
零道漓(「驀愀剿(!」
かれん「死んでたまるかコンチクショー!」
やけっぱちのかれんが吠える。
#4
予兆共鳴者(に加えて光焔熾(で作った炎の刃を交差させて力任せに衝撃に耐えようとするかれん。
しかし、いくら待っても剣撃は飛んでこなかった。
零道漓(「ぐ、ぐがああああっ?!」
怖いから目を瞑っていたかれんが目を開けてみると、そこには右腕をズタズタに斬り飛ばされ悶え苦しむ零道漓(
の姿があった。
かれん「えっ……何が?!」
かなり「奴の最大の脅威は目にも止まらぬスピードの振り下ろし。でもねぇ、そのスピードは時として命取りにな
るのよ?」
かなりがいつも肌身離さず持ち歩いている真殺影刃を、なぜか今は持ち歩いていない。
ここで改めてかなりの真殺影刃について説明しよう。かなりの持つ真殺影刃は飛び道具以内であればどんなもの
にでも姿を変えることができる武器である。
そう、かなりは今、真殺影刃を持っていないわけではない。ある形状に変化させているのだ!
そして、いまかなりが真殺影刃を何の形に変形しているかと言うと……
キラリッ
かれん「ん?ん〜〜〜?」
何かキラリと光るモノを発見するかれん。それは鋼線、英語で言うとビームだ。
※いや、それは『光線』!
超高速の振り下ろし。それは一度発動させれば急停止することができないという欠点を持っていた。
かなりは真殺影刃を鋼線の形状に変化させ、零道漓(に気づかれぬように張り巡らせていた。ただ、通常ならばこ
んな策に足を取られる(実際には物理的に腕がとられたが)零道漓(ではないが、目の前にかれんという囮を差し出
され、目が曇ってしまっていた。
張り巡らせた鋼線に超高速で物体がぶつかれば、それは鋭利な刃物で両断されるのと同義となる。
かなり「オ〜ッホッホッホッホッ、無様ねぇ、零道漓(」
一同(いやいや、煽るな!)
今、一同の心が一つになった。
零道漓(「……いいだろう。貴様ら、楽に死ねると思うなよ」
ズゴゴゴゴゴッ
凄まじい殺気を振りまきながら、憤怒の形相で立ち上がる零道漓(。
神である零道漓(の手にかかれば斬り飛ばされた腕をくっつけて元に戻すことは造作もない。
だが、あえて治さないことで戒めとする。それは白拍子三姉妹を撃滅するという決意と覚悟の現れであった。
続
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