Eighter -Scarlet Nocturne-
56ther ～沈黙の魔術師眠る C～
#5
Eighter・有嗎幇連合軍がⅡシレントワイザードの連中と壮絶な闘いを繰り広げている中、悪夢の国の主人であ
るGB夫人はベッドで惰眠を貪っていた。
GB夫人は好きな時に寝て、好きな時に起きて、好きな時に食べるという自堕落な生活を行っているのだ。
通常ならばそんな生活を続けていれば、すぐブクブクと肥え太っていくものだが、そこはGB夫人の力の見せどこ
ろである。愛するもののために努力を怠らない側面も持つ彼女は、その体形を維持するために日々研鑽を続けてい
るのだ。
GB夫人「うふふ……うふふふ……」
そして、本日、GB夫人は最高にゴキゲンだった。今世紀最高にゴキゲンと言っても過言ではない。
メガシンダ状態なのは相変わらずだが、急に歌い、踊る。それはオー○ーロード第四期で悪魔になったラ○ーの
ようだった。
GB夫人「遥かなる時の果てに忘れられし魔星、その御力、我が砲となりてここに顕現せよ、ルギハクス！」
静かに召喚呪術で巨大なピザカッターのような杖を顕現すると、そのまま屋敷の外へ向かって歩き出す。
出音・グロウシュベル「陽明閃刃破！」
化野梶太郎「極彩虎襲！」
梓與鷹「神狼九断！」
ドガガガガッ、ズドドドッ
星露・ユピテルメア「アイエェエエエエエ～～！？」
出音の斬撃に與鷹、梶太郎の拳打の嵐。流石に三人のコンビネーションアタックは幽闘術、耿暉放つ八鉱陣を
もってしても防ぎきることができず、星露は派手に吹き飛ばされてそのまま沈黙する。
梶太郎「見たか！これが双虎拳、鉄の掟だぁ！」
何でもかんでも鉄の掟と言えばいいわけではない。
梶太郎「さぁ、次の相手は誰だぁ！？」
ノリノリである。
と、その時、悪夢の国の門が開かれる。
與鷹「な、なんだ！？」
そして、屋敷の主人であるGB夫人がやってくる。
GB夫人の登場にⅡシレントワイザードの連中は、戦闘を一時中断して彼女に傅く。
GB夫人「私、気が付いたの！」
一体何が始まるのかと思いきや、彼女はメガシンダ状態でここではないドコカを見つめつつ、そんなことを言う
そんな彼女を見て、Eighter・有嗎幇連合軍は悪寒が止まらなかった。
#6
ヴィルヘル・奈美「何に、でしょうか？お嬢様」
ひとまずは、GB夫人の言葉に耳を傾ける。
GB夫人「あの野郎を黄泉帰らせて、手ずからブチ殺すことよりも、あのお方を黄泉帰らせて再び愛を紡ぐ方がよほ
どいいことだって……うふふふ……うふふふ……」
メガシンダ状態なまま恍惚な表情でそんなことを告げるGB夫人に、奈美は今更かよ……という感想しか出てこな
かった。
奈美「では、お嬢様の復讐の旅はこれにて終了ということでよろしいですか？」
GB夫人「そうよ！」
その迷いのない回答に奈美は一瞬だけイラっと来た。
奈美「と、いうことです。直ちに戦闘行為を終了してください」
バーベラエ「まぁ、私は別に、構いませんが……」
既に戦闘不能になっている星露とシアは言うまでもない。しかし、ただ一人だけ、その意に反論を唱える漢がい
た。
乾藤葦嵩「ふざけんな！ここまできてやめられるかよ！」
奈美「お嬢様の決議に異を唱えることは許されない！」
葦嵩「ああそうかよ、だったら、俺は俺で好きにやらせてもらうぜ！」
それは、葦嵩がⅡシレントワイザードから離反した瞬間だった。
奈美「ならば、ここで大人しくしてもらおうか！」
そもそも、奈美の使う幽闘術、爆塵の神翼は幽闘術として破格の力を持つ。
並大抵の幽闘術では太刀打ちできない代物なのだが、頭に血が上っている葦嵩はそれが分かっていないようだっ
た。
梶太郎「おいおい、一体どうなってんだ！？」
出音「知らん。だが……」
GB夫人「下がりなさい。私がやるわ。うふふ……」
奈美「お嬢様……」
一触即発のその時、GB夫人が一歩前に出る。
一同「な、アレは！？」
GB夫人の右手の甲には赤と青の四角を組み合わせた八芒星に-Iの数値が刻まれていた。
彼女は《魔女》のヴァルカナリアクター。
GB夫人「幽闘術、愛は受より出でて受より攻めし！」
葦嵩「ななな、なんじゃこりゃあ！？うごごごご！？」
GB夫人が巨大なピザカッターを振るうと、葦嵩が巨大なハートマークに押しつぶされる。
#7
愛は受より出でて受より攻めし……それは世界を愛で染め上げる規格外のエクストラスキル。
それはさておき、GB夫人の鶴の一声で戦闘は終結する。つまり、それは、Ⅱシレントワイザードもヴァルカナ争
奪戦から撤収するということを意味していた。
與鷹「……ええと……なぁ、総……これで、ヴァルカナ争奪戦は終了ってことでいいのか？」
與鷹が念のために確認しようとすると、総介は険しい顔でGB夫人に詰め寄る。
上総介「一つだけ聞かせろ。お前はどこでそのヴァルカナを手に入れた？」
GB夫人「あぁ、これ？……うふふ？」
しかし、彼女は不気味な笑みを浮かべるだけで何も答えてくれない。
奈美「あなたが何を知りたいのかはわかりませんが、お嬢様の代わりに私がお答えしましょう」
エジプトに旅行に行った際、ある人物からもらったものだと奈美は言う。
総介「そうか……ならば最早ここでやるべきことは何もない。帰るぞ」
與鷹「え！？」
それだけ聞くと満足したのか総介は踵を返す。
なんかいろいろ不完全燃焼感もあるが、これにてⅡシレントワイザードとの決戦も終わりを迎えた。
END
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