Eighter -Scarlet Nocturne-
24ther ~死神は戦場に舞う C~
#5
化野梶太郎「あらゆる幽闘術をコピーする幽闘術に、あらゆる幽闘術を無効化する幽闘術……もう無茶苦茶だな」
出音・グロウシュベル「言ってる場合かよ……」
セイ・ニングライト「……そうか、貴様は……《ザ・テンペスト》の腰巾着か……」
ユーサー・コージィ「ごめんなさい、すいません……」
ぺこぺこ謝るユーサー。
出音「な、なんだと!?」
《ザ・テンペスト》の腰巾着ということは、《ザ・テンペスト》に繋がる何かを知ってるかもしれない。
セイ「てめぇには聞きたいことが山ほどある!」
ずおおおおっ
梓與鷹「なっ……」
セイの殺気が禍々しく膨れ上がる。
與鷹(こいつも出音と同じように《ザ・テンペスト》に恨みを持つ者?!)
ユーサー「《源流ナリシ者》……」
言いえて妙だ。
與鷹(いや、幽闘術を使えるってことは、あいつもヴァルカナリアクターなのか?!)
出音「お、おい、アンタ……」
セイ「吐け!奴はどこにいる!」
ユーサー「ひぃいい……ごめんなさい、すいません……それは言えません」
セイ「ならば、ここで死ね!」
出音「いや、ちょマテって」
ウルフ・オブ・イザナギを最上段から一気に叩きつける。
ガインンッ
凶刃の前にユーサー死す……かに思われたが、しかし、彼は傷一つ負っていなかった。
梶太郎「マジかよ!?」
ガッ
ぐぐぐぐぐっ
肩に叩きつけられた大太刀を掴むとそのまま持ち上げ、立ち上がるユーサー
ユーサー「人が下手に出ているというのに、この仕打ち……ひどい、ひどすぎます」
オドオドと気弱だったユーサーの気配が、獰猛な獣のソレに変わる。
出音「な、なんなんだ?コイツ!?」
ユーサー……奴から感じる底知れない恐怖の波動は何なのか!?
セイ「ヴァルカナリアクターになるということは、『俺は人間を辞めるぞ、〇〇!』と叫ぶようなもの」
※いや、その例えはいかがなものか……
そして、このユーサーはその体現者だ。
セイ「ともかく、漸く本性を現したな、貴様はそっちの方がお似合いだ!」
ユーサー「《源流ナリシ者》……死ねよ!」
ズドムッ
しかし、ユーサーが行動を起こすよりも早く、セイがウルフ・オブ・イザナギを振り切り彼を吹き飛ばす。
セイ「それはこっちのセリフだ!」
#6
ユーサー「でも、どうするのかな?僕の幽闘術はありとあらゆる幽闘術を無効化する……そして、君の幽闘術は確
かに規格外だけども、僕の幽闘術をコピーすることはできない……」
ニヤリと悪い笑みを浮かべるユーサー
セイ「何か勘違いしてないか?俺は幽闘術がなくとも十分強い!翳頗毋!」
ズドオンンッ
影縛りを行って身動きの取れないところに渾身の一撃を叩き込むセイ。
派手に吹き飛ばされるユーサーだが、しかし、またして何の痛痒すら感じていないようだった。
ユーサー「残念だったね、兵装完全掌握術を使えれば話は別だったろうけど……」
梶太郎「おいおい、あいつ、バケモノかよ!」
與鷹「これがヴァルカナリアクターだってのか……規格外すぎる」
あまりの不気味さに戦慄する與鷹達
セイ「亜蘇鑿!」
ズドオンンッ
刃に闘気を纏わせて突撃、ユーサーを空間ごと貫く。だが、それでも、無傷……
ユーサー「無駄だよ、諦めたら?」
セイ「ほざけッ!」
すぐさま飛び退り、ユーサーから距離を置くセイ。
セイ「炎淼舞!」
ズオオオオオッ
激情の黒炎と清廉の赫水がセイを包み込み、セイの気迫が跳ね上がる。
出音「こっちもまだ全力じゃなかったってのかよ……」
つくづくヴァルカナリアクターってのは化け物揃いだなって通関する出音であった。
與鷹(この技は……)
そんな中、與鷹はふと気づく
炎と水……炎水の境地。それは明鏡止水
※違います
なお、この技が流水二刀流や炎一刀流に伝わり赫水超脈や炎黒鎧爪となったのは見る人が見ればわかります。
セイ「瑞蓮廓!」
ドッドッドッドッ
第一の斬撃でユーサーの攻撃を止め、第二の斬撃でユーサーの動きを封じ、第三の斬撃でユーサーの防御を砕き
第四の斬撃でユーサーを滅するという玄武、青龍、朱雀、白虎のコンビネーション。
※なんか、どこかで見たようなことがあるって?ハハハ、気のせいニダ。
梶太郎「やったか!?」
出音「いや、それ、フラグなんじゃ……」
『やったか!』ってセリフを言った時、必ず斃せてないというフラグ。
#7
果たして、ユーサーは無事だったか!?
※いや、そこで疑問形にされても困る……
ユーサー「痛い……」
一同「いやいやいや、アレを食らって痛いの一言で済むのかよ!」
思わず突っ込まずにはいられない一行であった。
セイ「おらあっ!」
ノーダメージを装っているが、確実にダメージを与えられている。ならば、この隙を逃すほどセイも馬鹿ではな
い。
間髪入れずに次の攻撃を繰り出すセイ。
ユーサー「弱い者いじめ……酷い」
セイ「黙れ!」
確かに傍から見ればセイが一方的に攻撃を繰り出しているこの構図は弱い者いじめ以外の何者でもないが、しか
し、ユーサーは何の痛痒も感じていないようだからタチが悪い。
ユーサー「残念ですが、時間切れですね」
カカッゴロゴロゴロゴロッ
一同「な、なんだ!?唐突に雷鳴……いや、嵐!?」
嵐を呼ぶ漢……そんなものは一人しかいない。
《ザ・テンペスト》だ。
セイ「《ザ・テンペスト》!貴様だけは必ず俺が殺す!」
そして、次の瞬間には何事もなかったかの如く嵐は止み……セイの叫びがその場に虚しく響いた……
END
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