Eighter -Scarlet Nocturne-
20ther 〜死神は厳かに立つ B〜



#3
バイラ・エウリデス「くそっ、油断したぜ……」
クラウド・ノシュケー・マルーメ「フッ、まさか今のを食らって生きているとは……」
 流石はヴァルカナリアクター。常人ならば死亡していたかもしれない攻撃を食らってもピンピン……とまではい
かないが、まだ諦めてはいない様子である。
アーヴァ・エウリデス「ぐっ……くくっ……」
 そして、先ほど與鷹(よたか)に打ちのめされたアーヴァと背中合わせに
バイラ「なっ!?」
 まさか、そっちもやられたのか!?と驚きを隠せないバイラ。
 しかし、アーヴァにしても、まさかバイラが敗北を喫するとは思いもせず、驚きを隠せずにいた。

出音(でおん)・グロウシュベル「どうやらあっちは決着(ケリ)がついたみたいだな」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おっしゃ〜!俺たちも負けてはいられねぇぜ!」
出音(でおん)(いや、お前……)
 虎伏絶掌(こふくぜっしょう)を使ってピークにになるまで俺に任せっきりの奴が何を言い出すんだ……とジト目の出音(でおん)であった。
灰漸(はいぜん)栖嶺(すれい)「フッ、最大の障害であるヴァルカナリアクターが倒れた今、貴様らを倒せば全てが終わる!」
梶太郎(かぢだろう)「ヘッ、そう簡単にいくと思うなよ!」
古畑呂司(りょうじ)「まさかヴァルカナリアクターにヴァルカナリアクターでもない奴が勝っちまうとは……」
アレフ・サンドクロック「おいおい、死合の最中によそ見とは余裕じゃねぇか!」
 バイラヴァ兄弟は敗北したが、しかし、今回の騒動はまだ終わらない。
カイゼルグ・N・ショー「あぁ?てめぇ、俺を無視して話を続けるとは、喧嘩売ってんのか!あぁ!?」
新田姜馬(きょうま)「別に無視しているわけではないが……」
 そもそも、お前だって死合を止めてバイラヴァ兄弟敗北の顛末を見てるじゃないか……と思ったが、突っ込むと
更に口撃が飛んできそうなので何も言わない姜馬(きょうま)御御脚(ユウ・ユウジャオ)(死合ノ均衡はこれデ崩れタはず……)
 ここで一気呵成に畳み込めば、あるいは……
 しかし、その時、與鷹(よたか)があることに気づく。
梓與鷹(よたか)(……怪訝(おか)しい……)
 序盤で真っ先に吹き飛ばされた弥如(びぎん)の気配が消えた。
 いや、より正確に言うならば、吹き飛ばされた方向の先に弥如(びぎん)の気配がないのだ。
*「こ、これは!?」
 そして、弥如(びぎん)救護に向かったノイエDAも、そこへ、弥如(びぎん)がいないことに疑問を抱く。

#4
與鷹(よたか)(奴は一体どこへ!?)
御脚(ユウジャオ)「ん?」
 キョロキョロしているわけでもないが、しかし、與鷹(よたか)の挙動がおかしいことに御脚(ユウジャオ)(いぶか)しむ。
※なお、與鷹(よたか)が察知できているのは先ほど目覚めた新たなる境地、識狼天見(しきろうてんげん)のおかげである。

バイラ「フッ……」
アーヴァ「貴様らはそれで勝ったつもりか……」
一同「何だと!?」
バイラ「貴様らの目的はコレだろう!」
アーヴァ「貴様らの手に渡るくらいならば、ここで破壊する!」
一同「ま、待て!」
 当初の目的はヴァルカナを確保すること。しかし、ヴァルカナが無くなってしまえば全てはご破算。
 ただ、ヴァルカナを破壊することができるのかどうかは……誰にも分からない
バイラ「なっ、ちょっと待て!ヴァルカナが……ない!?」
アーヴァ「何だと!?」
 そういえば、今回どこにヴァルカナがあるのかまだ分からなかったが……しかし、唯一ここ……ダンジョン・ビ
ゾンに安置されているヴァルカナの位置を知っているバイラヴァ兄弟が慌てふためく。
御脚(ユウジャオ)「ドウいう……ことダ!?」
與鷹(よたか)「はっ!?」
 そして、その時、與鷹(よたか)は天井にぶら下がる弥如(びぎん)の気配を察知する。
 つられて有嗎幇(ユーマハン)、ノース光輪結社、大神の降真靈(こうしんりょう)の一行も天上を見上げる
弥如(びぎん)「フッフッフ……」
 そこでは天井からぶら下がる弥如(びぎん)……勝ち誇ったかのようなドヤ顔(マフラーに隠れて見えないですが……)で
右手に持つ透明なタロットカードのようなものを見せびらかしていた。
 それは、鎌を持ったいかにも死神DEATH!と言った人物とXIII描かれた代物……
 それは、《死神(デス)》のヴァルカナであった。
バイラ、アーヴァ「キッ、貴様ッ!いつの間に!?」
弥如(びぎん)「俺が策もなしに突っ込むとでも思ったか!」
バイラ「ま、まさか!?」
アーヴァ「あの時に!?」
 一番最初に無策で突撃し、退場したと思われた弥如(びぎん)が、真っ先に目的を達成していたのであった。
 正に、流石、忍者汚い!と誰しもが思った瞬間だった。
※いや、なんなの?その感想……
姜馬(きょうま)「闘いは、始まる前から既に終わっていた……と、いうわけか……」
梶太郎(かぢだろう)「いやいやいや、じゃあ、今までのは何だったんだよ!」
 しみじみ語る姜馬(きょうま)に思わず梶太郎(かぢだろう)が突っ込みを入れる。

#5
バイラ「なるほどな……」
アーヴァ「死合に負けて、勝負にも負けたか……」
バイラ、アーヴァ「だが、忘れるな!次の戦争は俺らが求めた戦争だ!」
 いや、お前らどこのフ□スト兄弟だよ!と思わず心の中で突っ込みを入れる一行
カイゼルグ「てめぇ……俺より先にヴァルカナをかすめ取るとは、喧嘩売ってんのか!あぁ!?」
弥如(びぎん)「撤収だ!」
灰漸(はいぜん)栖嶺(すれい)「ハッ!」
 弥如(びぎん)の号令に、すぐさまノイエDA、及び大神の降真靈(こうしんりょう)の連中はダンジョン・ビゾンから撤収を始める。
クラウド「逃がすかッ!」
バイラ、アーヴァ「それはこっちのセリフよ!」
 ズゴゴゴゴゴゴゴッ
梶太郎(かぢだろう)「な、なんだ!?」
 突如すさまじい揺れがダンジョン・ビゾンを襲う
與鷹(よたか)「嫌な予感しかしないんだが……」
バイラ、アーヴァ「ハハハハ!貴様らは全員ここで死ね!」
一同「やっぱりかよ!」
 かくて、Eighter、ノース光輪結社、有嗎幇(ユーマハン)も一目散に脱出するのであった。
 《死神(デス)》のヴァルカナが大神の降真靈(こうしんりょう)の手に落ちたのは痛手だが……しかし、まだ全てが終わったわけではない
 次は、こうはいかないぞ……という決意を胸に、與鷹(よたか)らも日本へ戻るのであった。


END

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