Eighter -Scarlet Nocturne-
14ther 〜埃及(エジプト)からの影厨師 C〜



#5
出音(でおん)・グロウシュベル「すいません、少々騒がしくなりますよ」
チラン・ギャンブリエル「しょ、少々?!」
 どう見ても少々ではすまなそうにないのだが……
弥如(びぎん)「やれやれ、穏便に済ませたかったのですが、仕方ありませんね……」
 とか、和やかなセリフとは裏腹に殺気が凄まじい
弥如(びぎん)「ヴァルカナリアクター以外は不要です。仏の慈悲を与えなさい!」
 命令と同時に、ノイエDA動く。
エランドラ「サーフィス!貴様とは一度全力でやりあってみたかったんだ!」
惹閃(じゃくせん)「い、今はサーフィスじゃない……お、大神の降真靈(こうしんりょう)の高僧が一人、惹閃(じゃくせん)……」
エランドラ「何でもいい!食らえ!」
惹閃(じゃくせん)「い、いやだ……」
 ゴッズキャインッ
 パワーVSスピード……果たして、勝つのはどっちだ。
灰漸(はいぜん)栖嶺(すれい)「我らノイエDA第五分隊……邪魔をするのであれば貴様にも仏の慈悲を!」
 謎ポージングで挑発
フキエル「ンなもん間に合ってるっての……ってか二人がかりかよ……」
灰漸(はいぜん)「パートナーがいない不運を呪うんだな……」
出音(でおん)「じゃ、援護してやる」
フキエル「えぇ!?」
 これで文句ないだろ?って言わんばかりの出音(でおん)だった
栖嶺(すれい)「フッ、いいんですか?私はこう見えても男女平等主義、男性だろうが女性だろうが平等に攻撃します」
一同「いや、それを男女平等とは言わないから」
 盛大な突っ込みが決まった瞬間であった。

化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「てめぇ、死んだぜ!双虎拳と双狼拳がタッグを組めば向かうところ敵無しよ!」
 バシっと拳を掌に叩きつけながら梶太郎(かぢだろう)が叫ぶ
梓與鷹(よたか)(いや、まぁ、いいけど……)
 なし崩し的にタッグを組むことになったので何か言わんとしたが、変なことを言って梶太郎(かぢだろう)の士気を下げるのも
なんだと思い、言葉を飲み込む與鷹(よたか)
弥如(びぎん)「1+1が必ずしも2になるわけではないということを教えて差し上げましょう……この仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)でね!」
 とかいいつつ拳ではなく轟曦真靈杖(ごうきしんれいじょう)を掲げてしゃらりと鳴らす
弥如(びぎん)煩濃猖鋒錐負拳(ぼんのうしょうふすいふけん)」
 ゴガガガガガガッ
 暴風雨のように荒れ狂う打擲(ちょうちゃく)が繰り出されるも、サラっと回避する與鷹(よたか)梶太郎(かぢだろう)。

#6
弥如(びぎん)「やりますね……ですが、これはまだほんの小手調べ……」
 ガッシャインッ
 その時、悲劇は起こった……いや、それはこれから始まる惨劇のトリガーだった。
チラン「あ、ああっ?!」
 弥如(びぎん)の繰り出した打擲は與鷹(よたか)梶太郎(かぢだろう)には届かなかった……しかし、彼らが食べていた料理にヒット。皿ごと床
に叩きつけられ、もはやゴミとして処分するしかなくなったのだ。
チラン「てめぇら、食材を粗末にしやがってェ!殺す!」
 ズゴオオオオオッ
一同「な、なんだ!?」
 突如チランの態度が豹変、凄まじい殺気に思わず動きを止める。
チラン「食事は非常に大切……これは俺がエジプトで学んだ真理ッ!それをてめぇは……許さねぇ!」
弥如(びぎん)「店内で死合うからには覚悟の上でしょう?」
チラン「まずはてめぇから、うまそうに料理してやる!」
 いや、ここでそのセリフはいろいろ意味が違う
弥如(びぎん)「ハッ!厨師如きが仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)を納めた私に敵うとでも思っているのですか?だったらとんだお笑い……」
 ヒュオッ
一同「なっ!?」
 弥如(びぎん)がセリフを言い終えるよりも速く、弥如(びぎん)の眼前に移動するチラン。
 その速度は……あるいは惹閃(じゃくせん)よりも速いかもしれなかった
弥如(びぎん)「馬鹿ッ」
チラン「とくと味わえ!天上の食戟(セレスタル・クッキング)!」
 ドゴオンッ
弥如(びぎん)「アイエエエエッ?!」
 何故かチランが手にしているのは中華料理でよく使うような包丁だった。
※エジプト料理の店で寿司屋みたいな恰好に中華みたいな包丁……本当にどうなってんの、この店の国籍……
 それはさておき、彼が包丁を上段に構え一気に袈裟斬りの要領で振り下ろすと、その一閃が弥如(びぎん)を店の外へ吹き
飛ばす。
與鷹(よたか)(な、なんつ〜パワーだ……)
梶太郎(かぢだろう)(流石はヴァルカナリアクターと言ったところか……)
與鷹(よたか)(いや、それもあるかもしれないが……)
出音(でおん)(さっきまで温厚そうだったのに、あの豹変ぶり……)
エランドラ「そういや、ここの常連が言ってたな……この店で食事を粗末にするものには死が訪れると……ありゃ
あ、こういう意味だったんだな……」
フキエル「いやいや、そんなこと言ってる場合ですか!」
 しみじみと呟くエランドラに慌てふためくフキエルであった。


続

前の話へ  戻る  次の話へ