Eighter -Scarlet Nocturne-
13ther 〜極彩(いろ)無香(におえど)を散る B〜



#3
新田姜馬(きょうま)(この漢にヴァルカナを託すもよし、隙を見て奪うもよし……それが有嗎幇(ユーマハン)の総意であるならば……)
姜馬(きょうま)「お前は行け!」
梓與鷹(よたか)「何!?」
姜馬(きょうま)「奴の足止めは俺がやる!」
與鷹(よたか)「お前が?」
 先ほど、御御脚(ユウ・ユウジャオ)と何か話をしていたのは隙を見て奪えとかそんな類のことだろうと考えていた與鷹(よたか)だが、これに
は驚きだった。
姜馬(きょうま)「私の召喚呪術、ヤークシュならば奴の足止めは容易い!」
 カキクキと巨大な爪を彷彿させる形状のカタールを鳴らしつつ姜馬(きょうま)が言う。
與鷹(よたか)「……分かった」
姜馬(きょうま)「ほぅ、判断が早いな……後ろから寝首をかかれる等を考えはしなかったのか?」
與鷹(よたか)「今更お前がそんなことをするとは思えないがな……」
 両手をヒラヒラさせて無防備を装う與鷹(よたか)姜馬(きょうま)(コイツ、一見無防備に見えるが……隙が見えない……なるほど、これが双狼拳の正統なる伝承者にして偉大
なる魔術師、ディエクーラウ・アズルサの末裔というわけか……)
姜馬(きょうま)「行け!」
與鷹(よたか)「おう!」
 與鷹(よたか)が動くと、同時に姜馬(きょうま)も動く
姜馬(きょうま)滑空する氷輪(ゲフリーレン・グライテン)!」
 カキィインッ
 リング状の氷の刃を輪投げの様な感じで鷲豹熊コンボの戦士にはめる。
 本来ならば切り刻むわけだが、今回はコレを手錠(?)のように使う。
※いや、鷲豹熊コンボって……ってか、ジャガーは豹ではなくね?
*「ウオオオオオッ!」
 バキャアンッ
姜馬(きょうま)「何!?」
 與鷹(よたか)がヴァルカナに向かった次の瞬間、鷲豹熊コンボの戦士が咆哮を上げると同時にリング状の氷を砕く。
姜馬(きょうま)「チッ、結局はこうなるのか……だがッ、滑空する氷輪(ゲフリーレン・グライテン)!」
 今度はリング状の氷の刃で敵を切り裂きにかかる。
*「オアアッ!」
 すると、鷲豹熊コンボの戦士は両手を自らの肩を掴みブチブチとその肉を引き裂くかのような動作を行う。
 するとどうだろう。引き裂いたかに思えた肉はトマホークへと変化したではないか
※いや、マジでゲッター□ボだこれ。
 そして、そのゲッ〇ートマホークで迫る氷刃を打ち砕く。
姜馬(きょうま)(少しは出来るか……だがッ)
 姜馬(きょうま)が次の行動に移る前に鷲豹熊コンボの戦士はトマホークをブーメランのようにぶん投げる。

#4
姜馬(きょうま)滑空する氷輪(ゲフリーレン・グライテン)」
 ガガキィンッ
 ブーメランにはチャクラム!姜馬(きょうま)もすかさずリング状の氷刃を投げて応戦。
與鷹(よたか)「はっ」
姜馬(きょうま)「来るなッ!貴様はヴァルカナを手に入れろッ!」
 思わず引き返して援護に向かおうとした與鷹(よたか)姜馬(きょうま)は止める。
 そこまでの覚悟があるのならば、與鷹(よたか)はヴァルカナを手に入れることに集中するしかない。
與鷹(よたか)「待ってろ、すぐ助けに行く!」
姜馬(きょうま)「必要ないッ!」
 フッと少し笑みを浮かべる姜馬(きょうま)であった。
姜馬(きょうま)(奴はとんだお人よしだな……)
 そして、遂に與鷹(よたか)は《節制(テンパランス)》のヴァルカナを手にする。
 だが、それもまた、一つのトリガーだった。
 ドンッ
與鷹(よたか)「何ぃ!?」
 ヴァルカナが設置してあった台座が突如砕け散ると、近寄りもう一体の鷲豹熊コンボの戦士が飛び出してくる
與鷹(よたか)「タダでは帰さない……あるいは力を認めたものにしか託さないってことか……いいだろう。だったら相手に
なってやる!」
 勝負は素早くきめる。そのために天狼甲ショロトルを召喚する與鷹(よたか)。
 そして、改めて目の前の敵を見てみると姜馬(きょうま)が相対している相手とは少し違うことに気づく。
 姜馬(きょうま)が相対しているのが鷲豹熊コンボの戦士ならば、こちらは熊豹鷲コンボの戦士だった
※やっぱりゲッター□ボだった。この調子だと豹熊鷲コンボの戦士も出てきそうだ。
與鷹(よたか)神狼九断(しんろうくだん)!」
 ガガガガガガガガガッ
 拳打の嵐……を熊豹鷲コンボの戦士はダル〇ムみたいな伸びる腕で受け止める。
與鷹(よたか)「こいつ……」
 そういえば、オルメカは『ゴムゴムの人』と言う意味だったかもしれない……と思い出す與鷹(よたか)。
 で、あればこのような芸当は妥当なのかもしれない。
※いや、それ、違うから『ゴムの人』が正しいから。
 ひゅおっ
與鷹(よたか)「うお!?」
 與鷹(よたか)の攻撃が終わったならば、今度は熊豹鷲コンボの戦士のターンだ、とで言わんばかりに伸びる腕が與鷹(よたか)を捕
え、そのまま回転を加えるかのように上空へ投げ飛ばす。
 いわゆる大雪山おろしである。
與鷹(よたか)「くっ……だが、これしきで……」
 しかし、この程度で與鷹(よたか)を倒すことはできない。反撃に移ろうとした次の瞬間、熊豹鷲コンボの戦士の靴が突如
パカリと開き石(つぶて)與鷹(よたか)めがけて襲い掛かる。
 それは大雪山おろしの後にミサイルを叩き込む様な芸当だった。


続

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