Eighter -Scarlet Nocturne-
12ther 〜影雄は極彩(いろ)を好む C〜



#5
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「ヴァルカナリアクターだってんなら、殺した程度じゃ死なないんだろ?」
出音(でおん)・グロウシュベル「いや、それは暴論……」
 と出音(でおん)が止める暇もなく、梶太郎(かぢだろう)は殺すつもりでオセロメーの一人に双虎拳を叩き込む
梶太郎(かぢだろう)「おりゃあはっ!黒虎咬(こっこきょう)!」
 いきなり心臓に狙いを定めて突きかかり、そのまま心臓を摘出する拳打を放つとは、容赦がなさすぎる
古畑呂司(りょうじ)「な、なんだ、こいつ?!」
 心臓を摘出されてその場にぶっ倒れるオセロメー……しかし、彼の胸からはまるでタールのような真っ黒な液体
が流れるのみだった。
梶太郎(かぢだろう)「……こ、これは、人工心臓!?」
一同「な、なんだと!?」
 そんな古代文明で人工心臓などと、オーパーツもいいところだ
*「我ら……オルゴン・メカノイド……死を恐れぬ、戦士なり……」
 そして、心臓を摘出されてぶっ倒れたはずのオセロメーがゆらりと立ち上がる。
 彼らは生体機械兵……いわゆるサイボーグと呼ばれる存在である。アステカ文明にサイボーグ……これは紛れも
なくオーパーツである。
※いや、オーパーツってそういう代物だったっけ
梶太郎(かぢだろう)「オルゴン・メカノイド……略してオルメカだな!」
與鷹(よたか)、新田姜馬(きょうま)「いや、オルメカってもう既に存在するから!」
 ちなみに、オルメカとは簡単に言うとアステカ文明が栄えるよりも前にメキシコに栄えていた先史文明である。
梶太郎(かぢだろう)「何だっていいだろ!……最終的にやることは同じだメカならばぶっ壊す!生物ならばぶっ殺す!」
 本当、この状況を何より楽しんでいるのは梶太郎(かぢだろう)だ。
御御脚(ユウ・ユウジャオ)「不用意ナ殺人は望むところでハないが……奴らの手にヴァルカナが渡ることハ阻止せねばならない……な
らば、これハ仕方のないことだ」

梶太郎(かぢだろう)「おおお!極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
呂司(りょうじ)搾掠せし棘舞(シュタッヘル・アースボイテン)!」
 ドゴドゴドゴドゴドゴドゴッザザザムッ
 拳打の嵐を叩き込んで迫るオセロメーをかたっぱしから殴り飛ばしていく梶太郎(かぢだろう)と茨の鞭で締め付けて両断にか
かかる呂司(りょうじ)出音(でおん)陽明閃刃破(ようめいせんじんは)!」
 ザザムッ
新田姜馬(きょうま)滑空する氷輪(ゲフリーレン・グライテン)!」
 ズガァムッ
 目にも止まらぬ速さで刃を煌めかせ、オセロメーの群れをX字に切り裂く出音(でおん)。
 リング状の氷の刃を飛ばしてオセロメーの群れを切り裂く姜馬(きょうま)。

#6
御脚(ユウジャオ)「お前ニ一つ問いたい」
與鷹(よたか)「あ?なんだって?」
 與鷹(よたか)神狼九断(しんろうくだん)で敵を吹っ飛ばしていたら突如御脚(ユウジャオ)から声をかけられる。
御脚(ユウジャオ)「お前たちハ何故ヴァルカナを求める……ヴァルカナを集めて何ヲ望む?」
 ゲッツ!みたいなポージングで火炎放射を放ってオセロメーを撃退しつつ御脚(ユウジャオ)は問う。
 傍から見ると間抜けなポージングだが御脚(ユウジャオ)の使う幽闘術、白乾児魔炎(パイカリック・バーナー)が人差し指か
ら炎を放つものなので仕方がない。
※そもそも両手でやるからゲッツ!に見えるんであって片手でやる分には問題ないのだが……
與鷹(よたか)「いや、何も……」
御脚(ユウジャオ)「何!?」
 流石に世界征服とか無茶苦茶なことを言いだすとは思わなかったが、しかし、それでも與鷹(よたか)の返答に、さしもの
御脚(ユウジャオ)も戸惑った。
與鷹(よたか)「お前たちが何を考えているのか知らないがな……アレは本来この世界にあってはならないものだ!」
御脚(ユウジャオ)「確かニな……」
與鷹(よたか)「だからッ!……俺たちはそれを集めて管理する。それだけだあッ!」
 ドゴゴゴゴゴッ
 律義に答えつつ、オセロメーを撃退する與鷹(よたか)。実は結構余裕があるのか?
※まぁ、一人一人はそれほど脅威ではないからな……戦いは数だよってところが苦戦しているポイントなので
與鷹(よたか)「てめぇらこそ、何を目的にヴァルカナを狙っているんだ?」
 返答次第じゃ、この共闘が終わり次第ケリをつける必要がある……と與鷹(よたか)は覚悟を決める。
 そのためにもここで全力を出すわけにはいかないのだ。
御脚(ユウジャオ)「……」
 しかし、何も答えない御脚(ユウジャオ)
御脚(ユウジャオ)(改めて考えてみると、我々がヴァルカナを求める理由ハ……なんだ?)
 先代の仇を討つこと……たしかに、それも理由の一つではあろう。しかし、それだけならば、ヴァルカナに固執
することはないはずだ……
御脚(ユウジャオ)(今一度、考える必要ガある……)
與鷹(よたか)(なぜ黙っているんだ?まさか、何も考えていないというわけもあるまい……)
 そう考える與鷹(よたか)だが、あながち間違ってないですよ?
御脚(ユウジャオ)「貴様らガ知る必要ハない!」
與鷹(よたか)「あぁ、そうですかい……」
 なんとか切り抜けた!と内心ほっとする御脚(ユウジャオ)であった。
 いや、それ本当に切り抜けることに成功してるのかは謎である。

#7
 さておき、共闘したのが功を成し、終わりがないのが終わり、それがVSオセロメーと思われていた戦闘にも終わ
りが見えてきた。
梶太郎(かぢだろう)「おっしゃぁ〜〜!そろそろグランドフィナーレだ!ここで一発派手にいくぜ!虎伏絶掌(こふくぜっしょう)!」
 ここでイグニッションキーをフルスロットルに回す梶太郎(かぢだろう)だが、それ、エンジンかかるまで時間かかる奴だけど
大丈夫か?
出音(でおん)「ようやく終わりが見えてきたな」
姜馬(きょうま)「そうだな……」
 しかし、これで本当に終わりなのだろうか……と姜馬(きょうま)は一抹の不安を抱いていた。
 それはフラグとなりて現実に襲い掛かるのか、それとも、何事もなく拍子抜けするのか……今はまだ誰も知らな
い。
與鷹(よたか)(あっちも共闘していたら決着は同じ……最悪は四巴の死合に発展したのかもしれない。そう考えると今の状
況はかなり幸運と言えるな……)
 オセロメーを全て駆逐することに成功したら、余計な邪魔が入る前にヴァルカナの確保へ急ぐべし
 ……その前に、ヴァルカナがどこにあるのかを探らないといけないと思いますが……


END

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