Eighter -Scarlet Nocturne-
11ther 〜僧兵は影雄を求む C〜



#5
 メキシコ西部
 有嗎幇(ユーマハン)はメキシコ西部から上陸し、ヴァルカナのある場所へと向かっていた。
御御脚(ユウ・ユウジャオ)「しカし、一体どうやってヴァルカナの出現を知っているノだろうか?」
古畑呂司(りょうじ)「さぁな……」
新田姜馬(きょうま)「ともかく、指定された場所に出向き、ヴァルカナを回収する。それだけだ」
姜馬(きょうま)(最も、すんなりいくとは思わないがな……)
 このことは既にノース光輪結社も知っていることであろう。で、あれば、確実にノース光輪結社の連中もここに
来ているはずだと姜馬(きょうま)は考えている。
 実際、その考えは正しい。
 今や《弑逆(リベリウス)》アドラの手により、ヴァルカナを求める組織(もの)の手にはヴァルカナの情報が届くようになっているの
だから
御脚(ユウジャオ)「行くゾ、目的の……」
呂司(りょうじ)「ステコ湖へ!」
姜馬(きょうま)「テスココ湖な」
呂司(りょうじ)「……」
 訂正されて赤っ恥な呂司(りょうじ)であった。
姜馬(きょうま)(しかし、テスココ湖などと、もはや干上がったも同然な湖……なぜ、今まで見つからなかったのか?)
 それは、やはり、ヴァルカナがこの世界に存在しないはずのアーティファクト、場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ)だからなのだ
ろうか?
御脚(ユウジャオ)「どうシた?」
 何やら考え込んでいる姜馬(きょうま)を訝しむ御脚(ユウジャオ)
姜馬(きょうま)「いえ、目的の場所は干上がっているも同然……で、あるにも関わらず、誰にも見つかっていないということ
はどういうことなのかと考えていただけです」
御脚(ユウジャオ)「なルほど……」
 ただ、目的地に向かうだけがすべてではない。いかにして任務を達成させるかを考える。頭脳派の姜馬(きょうま)がいるこ
とは僥倖と考える御脚(ユウジャオ)であった。

 一方、メキシコ南部には、ノース光輪結社の連中が集っていた。
※例によって目的地まで鉢合わせないのはかんなの超強運のなせる業である。
クラウド・ノシュケー・マルーメ「ヴァルカナを求めて東奔西走……か」
カイゼルグ・N・ショー「ったく、なんだって俺がこんなことをしなきゃならねぇんだ、あぁ!?喧嘩売ってんの
か!」
 いや、誰がお前に喧嘩売ってるんだよ!?自分からわめいてるだけじゃんか
アレフ・サンドクロック「落ち着いてください。カイゼルグ様」
カイゼルグ「大体よぉ、前回のあいつは一体誰だったんだ?」
クラウド「あぁ、彼はヨシーマ・Q・タヌァクァ。先日持ち帰った《悪魔(デビル)》のヴァルカナリアクターになった司祭
だ……」

#6
カイゼルグ「あぁ、そう……」
 自分で聞いておいて興味ナッシングなカイゼルグであった。
 ともかく、ノース光輪結社の連中もテスココ湖へと向かうのであった。

 そして、メキシコ東部には、勿論、Eighterの一行が辿り着いていた。
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「はるばる来たぜメキシコ!」
梓與鷹(よたか)出音(でおん)・グロウシュベル「いや、だからそれ函館」
 もしかして、これから先どこかへ行ったら毎回これを言うんじゃあるまいな?って呆れそうになる與鷹(よたか)であった
出音(でおん)「で、なんだっけ?今回向かう先……」
梶太郎(かぢだろう)「フッ、ポコアポ湖だろ」
與鷹(よたか)出音(でおん)「いや、テスココ湖だから」
 どうしてそこで音楽用語が出てくるのか……一文字もあってなくて逆にすごい。
與鷹(よたか)「さて、出向く前にちょっとおさらいをするぞ……」
 勿論、それはかんながレムリアで調べてくれた情報だ。
與鷹(よたか)「テスココ湖はかつては広大な面積を誇る湖だったが、今は埋め立てが進み、小さくなっている」
 見る影もないとはまさにこのことだな……
與鷹(よたか)(ヴァルカナが眠っているとすれば、かつて湖だった場所の地下……)
出音(でおん)(湖は干上がっても、その地下には遺跡が眠っているという……)
 それが今回の真の目的地、サンタ・アナ大神殿
梶太郎(かぢだろう)「モロッコに吹く砂風……サンタ・コス」
與鷹(よたか)出音(でおん)「いや、メキシコに吹く熱風だから!」
※しかもサンタ・コスってなんのコスプレだよ……
 さておき、今回もまた、ノース光輪結社やら有嗎幇(ユーマハン)が来ているはず。
 できるならば遭遇したくはないのだが……そういうわけにもいかないんだろうなぁ……と與鷹(よたか)出音(でおん)は考えてい
た。そして、それは真実となる。
與鷹(よたか)「まぁ、こんなところにいても仕方あるまい……」
出音(でおん)「だな、とっとと行くか」
梶太郎(かぢだろう)「おうよ!まずは腹ごしらえ!」
與鷹(よたか)「いや、観光に来てるわけじゃねぇんだぞ!」
梶太郎(かぢだろう)「何を言う!腹が減っては(気が立って)戦しかできぬって言うだろ!」
與鷹(よたか)出音(でおん)「言わないから!」
 だが、『腹が減っては(気が立って)戦しかできぬ』とは言いえて妙かもしれない。
※いや、どうでもいいし……

#7
 さておき、これまたかんながレムリアで得た情報から、與鷹(よたか)ら一行はサンタ・アナ大神殿へと繋がる通路を降り
て地下を目指す。
出音(でおん)「見えて来た……アレか!?」
 暫く通路を進むと、その先に目的の遺跡が姿を現す。
與鷹(よたか)「これが、サンタ・アナ大神殿……か……」
 テスココ湖の南方には火山の噴火によって滅亡したという円形の都市、クィクィルコがあるが、それと似たよう
な遺跡がそこにあった。
 そして、壁にはアステカの遺跡で見かけるようなジャガー戦士、イーグル戦士の絵が描かれていた。
與鷹(よたか)「考古学者なら、歴史的発見とか喜ぶところだが……」
出音(でおん)「まぁ、ヴァルカナを回収した後で公表でも何でも好きにすればいいだろ……」
 早速行くぜ!……と意気込むと同時に、ふとある考えが頭を過ぎる
梶太郎(かぢだろう)「おい、今回は弾幕系の罠とかないよな?」
出音(でおん)「流石に、無いと思う……思いたい……」
與鷹(よたか)「まぁ、アステカの遺跡に弾幕系の罠は流石にないと思うが……用心するに越したことはないか……」
 気を引き締めて、遺跡の中へ突入する一行であった。


END

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