Eighter -Scarlet Nocturne-
8ther 〜海底霊廟の影花嫁 B〜



#3
カイゼルグ・N・ショー(こいつ……)
 女だと思ってなめてかかると痛い目を見る……そのことを今更だが十分理解したカイゼルグであった
出音(でおん)・グロウシュベル「ハッ!葬弔刃(そうちょうじん)!」
 ガンッ
 出音(でおん)の攻撃はそれで終わりではなかった。続けて袈裟斬り。
出音(でおん)蛇噛貫(じゃばみぬき)!」
 ズズンッ
 更に二連続の刺突
カイゼルグ「くおっ?!」
 しかし、カイゼルグも、出音(でおん)の技を受けるほど馬鹿ではない。バク転の要領で回避しつつ、体勢を立て直すとす
かさず攻めに転ずる
カイゼルグ「煌烈の鉄刃(アイゼン・フォンケル)!」
 カカッ
出音(でおん)「うぐっ!?」
 閃光で目晦ましをすると同時に十字に切り裂くカイゼルグ。しかし、出音(でおん)もカイゼルグの斬撃を食らうほど馬鹿
ではない
出音(でおん)刃拳反(はけんがえし)!」
 ズガンッ
カイゼルグ「チッ、厄介な……」
 視覚を封じられた程度で後れを取るようでは彗天八極剣(すいてんはっきょくけん)の名折れである。
出音(でおん)「そろそろ終わらせる!」
 閃光から回復した出音(でおん)はカイゼルグを睨みつけながらそう叫ぶ。
カイゼルグ「ハッ!それはこっちのセリフだ!燃える獣王の鉱刃(エルツ・ブレナン・ルーヴァ)!」
 叫ぶと同時にハルバードをぶん投げるカイゼルグ。それは鋼で武装した獅子となり出音(でおん)に迫る。
出音(でおん)彗天八極剣(すいてんはっきょくけん)、壱の秘剣!陽明閃刃破(ようめいせんじんは)!」
 ザザムッ
 しかし、出音(でおん)は目にも止まらぬ速さで刃を煌めかせ、迫る獅子をX字に切り裂く。
カイゼルグ「なん!?」
 驚いている場合ではない。とカイゼルグは懐から魔形刀(マナヒョンド)を取り出し召喚呪術、ストロンティを唱えて再びハルバ
ードを作り上げる。
 更に念を入れてもう一本ハルバードを作り近くの地面に突き刺す。
カイゼルグ「飛行せし鋼鉄の豹刃(シュタール・フリーガン・パンター)!」
 再びハルバードを投げつける。するとそれは鋼鉄でできた豹となりて出音(でおん)に迫る
出音(でおん)「甘いッ!彗天八極剣(すいてんはっきょくけん)、弐の秘剣!陰精瞬天破(いんせいしゅんてんは)!」
 ドズンッ
 出音(でおん)は迫る鋼の豹に敢えて飛び込むと同時にV字に切り裂く
カイゼルグ「チッ、やる……」
出音(でおん)「まだだッ!彗天八極剣(すいてんはっきょくけん)、参の秘剣!真人切月破(しんじんせつげつは)!」
 ズッ、ドゴオンッ
 カイゼルグが地面に突き刺したハルバードを抜き構えるが、しかし、出音(でおん)の方が早い。横薙ぎ一閃がハルバード
を弾き飛ばし、そして一刀両断
カイゼルグ「ぐおおあ!?」

#4
上総介「フッ、どうやら終わったようだな……」
梓與鷹(よたか)(いや、俺たちは何もしてないがな……)
 梶太郎(かぢだろう)はアレフを下し、出音(でおん)はカイゼルグを下した。しかし、これで全てが終わったわけではない。
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「ヘッ!てめぇもなかなかやるじゃねぇか!」
出音(でおん)「……そういうアンタはなんか辛勝って感じだな……」
梶太郎(かぢだろう)「ハッ!双虎拳(そうこけん)にとってこれしき、掠り傷にもならんわ!」
 いや、だから、それ双虎拳(そうこけん)関係なくない?
カイゼルグ「ぐっ……お、おのれ……」
アレフ・サンドクロック「ど、どうします!?カイゼルグ様……」
カイゼルグ「あぁ?!てめぇ、喧嘩売ってんのか!」
アレフ「ですよね、すいません……」
 いや、今のはどう考えても八つ当たり。
カイゼルグ(チッ、ヴァルカナを手に入れることもできずに撤退せざるを得ないなどと……)
 しかし、この場で頑張らなければならないという道理もない。これ以上の無様はノース光輪結社の威光を地に落
とす愚行ですらある。
 ならば、ここのヴァルカナは一旦奴らに任せて退くというのも手だ。
カイゼルグ「いいだろう、ここは貴様らに預ける」
梶太郎(かぢだろう)「何だって?」
 カカッ
一同「うぐお!?」
 カイゼルグ、アレフ、閃光と共に消ゆ。転移のアーティファクト、再々の黄門(リレミト)を使って帰還したのだ。

*「ウオオオオオオッ」
與鷹(よたか)「で、またこうなるのかよ……」
 再び億を目指すと、また半魚人が襲い掛かってくる。
梶太郎(かぢだろう)「ヘッ、なんたら無双だと思えばこれもまた一興よ!」
與鷹(よたか)「お前は気楽でいいよな……」
 あきれてものも言えない與鷹(よたか)であった。
*「下がりなさい」
與鷹(よたか)「な、なんだ!?」
 と、その時、突如謎の声が響き、半魚人の動きが止まる。
総介「フッ、さしずめここの主の登場と言ったところだろう……」
梶太郎(かぢだろう)「主ぃ!?」
與鷹(よたか)「誰だよ、それは!?」
 この海底霊廟の主……それは、根布照須(ねふてす)一家に関りがあるのだろうか!?
※いや、それ以外にはないだろ……

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