Eighter -Practical Era-
53rder 〜スポーツの電子化 C〜



#5
 格闘ゲームの中でもどっちが強いのか、いざ尋常に勝負!と、いうわけで始まった天四斗(あまよと)工業の二大武闘派によ
るエキシビジョンマッチ。
※こういうのってエキシビションマッチって言うんですかね?(知るかッ、ちゃんと調べてからにしろッ!)
 こんなこともあろうかと思って二人をモデルに格ゲーのキャラクターを作っておきました。とでも言わんばかり
の展開。
 それは、まさしく、要らぬ気づかい、というヤツである。
 天四斗(あまよと)のDr.キリコとGTRがタッグを組めばこんなことになるのはわかっていたのではないかって人もいるだろう
 だが、現実は非情である。
※どこが?!
 と、ともかく、バトルは開催された!
 でん、でん、でけでけでん、でん、でん、でけでけでん、でんっでんっで〜〜れ〜〜♪
 てけてけてけてけ……で〜〜れ〜〜れっ、て〜〜れ〜、れっ、て〜〜れっ、て〜〜れっれ〜〜♪
 で〜〜れっれれ〜〜れれれ〜〜♪てけてけてけてけ、てけてけてけてけ……
一同「さっきとBGM違ッ」
 それは、さっきのロボットアニメの中で主人公とか師匠が究極奥義を繰り出す的な感じのBGMだった。
品辛斬子(ぴんから・きりこ)、風見原莉暗(りおん)「何を言うか、決勝戦には決勝戦にに相応しいBGMというものがあるんだよ」
一同「いや、別に勝ち残ってきてこれが決勝ってことでもないでしょ……」
 呆れてものも言えない一行であった。
 そんなことはさておき、死合の最中にいる二人は……
榎木(えのき)夏「さぁ、私とファイトしようよ!……って何言わせるのよ!」
 実は結構乗り気なのでは?って思うくらいの夏。
楠木南「だったら……流派、楠木流が最終奥義……ってやっぱ今のなし!」
 さらに言うと南も結構ノリノリなのでは!?

 ともかく、死合は始まった……
 開始直後は不慣れなせいもあってお互いパンチ、キックが空を切っていたのだが、しばらくすると攻撃が当たる
ようになっていく。
夏「なるほどね……」
南「コツはつかんだわ……」
樫木堅(かしぎ・けん)「いよいよ始まるぞ……」
 ここからが真の死合の始まりである!
夏、南「はああっ!」
 ダダダッ
 互いにダッシュして距離を詰めてからの、パンチ、キック
一同「って、ちょっと待てぇい!」
 唐突に中止を告げられ、二人は不満でいっぱいだ。

#6
夏「何なのよ、もう」
南「せっかくのチャンスだったのに」
一同「お前ら、リアルでファイトすんなよ」
夏、南「え?!」
 気が付けば、リアルファイトに発展していた。
 モーショントレースシステム……プレイヤーの動きをそのままゲームに反映するというのであれば、この結果は
当然といえる……のか!?本当にそうか!?
 単なる筐体の欠陥じゃないのか?
斬子(きりこ)「まぁまぁ、格ゲーではまれにリアルファイトに発展することもあるだろう」
莉暗(りおん)「だから、何の不思議もないってことだな」
 教師二人は勝手に納得して頷きあっているがそんなことで納得できるわけはない
一同「リアルファイトに発展する経緯が全然違ぇよッ!」
斬子(きりこ)「あ〜、わかった、わかった。もう、この際だからゲームと現実世界、両方で死合えば問題ないだろ」
一同「大ありですよ!」
 いや、全然わかってないから!
 ……と、思っているのは観客のみだった。
夏、南「なるほど、一度の死合で二度勝てる……いいかもしれない!」
 いや、よくないでしょうに!
※ちなみにゲームでは勝てて、現実では負けるってことは、きっとない。多分ない。おそらくない。
南「そうと決まれば、本気を出さなければいけないようね……」
夏「何?出し惜しみしてたっていうの?……余裕じゃないの……」
 だとしてもッ!最後に勝つのは私!と言わんばかりに二人はパンチ、キックを繰り出す。
 夏がパンチを繰り出せば、南がそれをガードし、南がキックを繰り出せば、夏がそれをガードする
 まさしく一進一退の鬼気迫る死合が展開されていた。
 そして、溜まっていく必殺技ゲージ。

榛木秦(はしばみ・しん)「そろそろ双方、必殺技ゲージがMAXまでたまるぞ……」
 ゴクリと固唾をのんで見守る一行。
 そして、ついに必殺技ゲージはMAXまで溜まった!
夏、南「これでトドメよ!」
 カカッ
 両雄、一気に必殺技ゲージを消費して奥義を繰り出す!
一同「なっ、これはぁッ!」
 その時、突如、スクリーンがブラックアウトし、ERRORの文字が表示される。
 さらに必殺技を繰り出そうとした二人も途中で停止してなんだかおかしな彫像みたいな感じになっていた。
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「あ、そういえば必殺技設定してないや……」
 ポンと手をたたきながら、二人が呟く。
一同「え〜〜!?」

#7
斬子(きりこ)「と、いうわけで第一回目の授業はこれにて閉幕」
夏、南「いやいやいや、不完全燃焼感がハンパないんですけど……」
 その後、どうにかこうにか筐体から脱出することに成功した夏と南は不満度MAXで教師二人に言い寄る。
 しかし、悲しきかな、天四斗(あまよと)のDr.キリコとGTRのタッグにとってはどこ吹く風……蛙の面に水とはこのことであ
る。
莉暗(りおん)「よし、授業時間ももう終わりだ!」
一同「うそん!?」
 確かに、気が付けば、もう授業時間が終わる頃だった。
斬子(きりこ)「まぁ、必殺技とかはいつか実装しておくから気長に待っていてくれ」
一同「だったら永遠に封印しておけよ、このキャラ!」
 そして、今度こそ本当にまっとうな理由でリアルファイトに展開しかけたのだが、それはまた別の話である。
※いや、リアルファイトに展開しないのが正しい姿なんですが……


END

前の話へ 戻る 次の話へ