Eighter -Practical Era-
22nder 〜頭文字イニシャルは何ですか B〜



#3
 唐突に天四斗あまよと工業に教育委員会が視察に訪れることとなった……と、言うわけで、邪魔者を徹底的に排除して悪
いところは何もないですよ……と言い張ろうとする斬子きりこ。果たして……
 まぁ、そんなこんなで視察の日、来たる
品辛斬子ぴんから・きりこ「いいか、お前ら、今日は教育委員会のあの女が視察に来る……くれぐれも変なことはしないようにな」
生徒一同「いや、誰もしませんよ」
 むしろ、教師たる斬子きりこが変なことをしないか問題だ……と内心思う一行であった
 ドギャギャギャギャギャギャッ
生徒一行「な、なんだぁ?」
 と、その時、凄まじいドライビングテクニックでグラウンドに車が走ってくる。
 お陰で道路とかグラウンドがタイヤのわだちと摩擦熱から生じた煙でちょっとばかし大変なことに……
斬子きりこ「来たか!」
生徒「って、アレがそうなんですか?」
 なんというか、教育委員会にはあるまじき感じがした
*「ふっ……」
 そして、車から降りてニヤリと微笑む彼女
生徒一同「って、ええええ〜〜〜!?」
 生徒一行が驚きの声を上げるのも無理はない……なぜならば、彼女は軍帽をかぶり、軍服をキッチリ着込んでお
り、お前は一体どこの帝国軍人だよ!と突っ込みたく様ないでたちだったのだ
斬子きりこ「アレが教育委員会の生ける伝説……GTRこと、風見原莉暗りおんだ!」
生徒一同「……」
 開いた口がふさがらないとは正しくこのことだった……

風見原莉暗りおん「私が風見原莉暗りおん……教育委員会の方から来たものだ!」
生徒一同(まるで詐欺師の常套句の様な……)
 内心そんなことを思ってしまう一行であった
莉暗りおん「む、そこの二つの席は?」
生徒一同(早速来た〜)
 早速楯木てすりぎ盾、杭木こうの席に誰もいないことを訝しむ莉暗りおん
樫木かしぎ堅「ええとですね、そこの二人は……ちょっと熱で……」
莉暗りおん「……そうか……何か問題があって休ませているというわけではないのだな?」
生徒一同(ッ!!)
 何、この人、エスパーか何か?と一行は冷や汗が止まらない……
莉暗りおん「じゃ、そこのメイド!」
櫟木樂いちい・らく「え?私ですか?」
 続いて不自然にメイド服を着てクラスで浮いているらくに焦点が当たる
莉暗りおん「お前はなんでメイド服なんて来てるんだ?」
らく「これが私の戦闘服です!……どこぞの果実やら迷宮、楽園に出てくる生徒の一人も一人制服ではなく、メイド
服だったので問題はないはずです!」
莉暗りおん「……なるほど、確かに……」
生徒一同「え?それで納得するの!?」
莉暗りおん「何だ?文句あるのか?」
生徒一同「いえ、滅相も……」
 ぶんぶんと首を振る一行。下手に刺激して場を荒立てるのはよくないと判断した結果だった

#4
斬子きりこ「……っ……」
 若干びくびくおどおどする生徒……とは裏腹にさっきから笑い声をこらえようと必死な斬子きりこ
生徒一行(さっきから一体あいつは何をやってるんだよ……)
莉暗りおん「……じゃ、次、そこの包帯ぐるぐる巻きの……」
椛木もみじ花「え?私?」
莉暗りおん「お前以外にだれがいるってんだ!」
 飜番飛ほつが・とばるもいるけど、流石に私です!とか飛んでこない。
※いや、別クラスなんだから飛んできたらおかしいでしょ!アンタ授業さぼってるのかって
莉暗りおん「なんだ、その包帯に眼帯は……はっ、まさか、イジメかっ!?」
生徒一行(しまった!問題になりそうなのまだいたよ……)
 思わず冷や汗が出る一行
花「いえ、これはケジメです」
莉暗りおん「……そうか……」
生徒一行「いやいやいやいや、何のケジメだよ!」
 それで納得するのは怪訝しいと思わず突っ込まざるを得ない一行であった。
斬子きりこ「ぶふっ、もう我慢できない……ひ〜〜、笑いが止められない……」
 と、教卓をバンバン叩きながら盛大に笑い出す斬子きりこ。だが、事態はどうみても笑いごとでは無い。と、いうか、
アンタがやらかしてどうするんだ!盛大に突っ込む一行
 そして、もう、お終いだ……教育委員会の生ける伝説に目をつけられた以上俺達の青春(もうすぐ卒業?なので
残り少ないけど)は灰色だ……と絶望する一行
 まぁ、そんな中でも、かんなだけは絶望してないですが……
莉暗りおん「しかし、あれほど生徒会長になるのを嫌がっていたお前が今や生徒会の顧問とは……人生何があるか分から
ないものだなぁ……」
 しみじみと、ぽつりと呟く莉暗りおん
生徒一同「え?」
 そして、その一言に絶望に打ちひしがれていた一行が思わず顔を上げる
花「……あの、二人は知り合いなんですか?」
斬子きりこ「何だ?言ってなかったか?私とコイツは同じ高校のクラスメイトだったんだ!」
生徒一同「って、ええええ〜〜〜〜!?」
 ついでに言うと、生徒会長をやっていたのもこいつだとサラっと言ってのける斬子きりこ
生徒一同「ちょっと待てぇ〜〜いッ!」
 突っ込まざるを得ない一行
堅「ってことはなんですか……」
生徒「もしかして、このクラスの生徒の人間模様を全て理解していた上で、ここにやってきたってことですか?」
斬子きりこ莉暗りおん「うむ。当然だ!」
生徒一同「いや、当然ってあのなぁ!」
 今までの茶番は一体何だったのか……一気に意気消沈する一行であった
斬子きりこ莉暗りおん「ドッキリ大成功〜」
 二人して教卓に隠していたプラカードを手にニヤニヤしだす始末であった
生徒一同「心臓に悪いにも程があるわぁッ!」

#5
 ちなみに、この学校に問題があるから視察というわけではなく、本当に斬子きりこが企画したドッキリだったからタチ
が悪い。
 アンタ本当に教育者かよ!そして、それに乗っかる莉暗りおんも教育委員会としてどうなのか……
生徒「ってかさ、盾と亢あの二人休まなくてもよかったんだよね……」
生徒一同「……」
 まぁ、そんなこんなで教育委員会からの視察(ではないけど……)は幕を閉じることとなった

生徒「そう言えば、GTRって何なんですか?」
莉暗りおん「フッ、『ゴッデス・ティーチャー・りおん』の略だ」
生徒一同「……」
 開いた口がふさがらない一行であった。


END

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