Eighter -Practical Era-
8ther 〜残された試し書き C〜



#5
 王治部おうじぶ邸で起きた事件……現場に残された謎の試し書きは……何を示すのか!?
警官「せめてこれが何を示しているのかわかればなぁ……」
 血文字の試し書きの写真を見ながら警官が言う
生徒「おい、そこの推理小説オタク。お前、何か分かんね?」
 バッと警官から証拠の写真を奪い、生徒に託す
警官「あ、ちょ……」
生徒「……フッフッフ、任せなさい、何せこの俺こそ、天四斗あまよとの逆コナンと呼ばれた漢だ!」
 くいっ
 眼鏡を指で直しつつ彼は堂々と宣言する
一同「逆……コナン……!?」
※つまり、『体は子供、頭脳は大人』ではなく、『体は大人、頭脳は子供』という絵にかいたようなダメ人間
生徒「おうともよ、将来は迷短亭湖南めいたんてい・こなんとして活躍する漢、樫木かしぎ堅……その活躍を刮目してみよ!」
一同「……」
 どこの落語家だ……と思う一行であった……
 ともかく、彼は颯爽と試し書きを見て黙考する
一同「……」
 そのまま一同が固唾をのんで見守る中……堅は口を開く
樫木かしぎ堅「フッ……」
降來戸ぶらいどミナヅキ「まさか!?もうすでに分かったと言うのか!?」
堅「じっちゃんのナニとかけまして、謎は全て……謎のまま!」
一同「……」
 コイツ、何がしたんだ!?と一同はあきれ果てるのであった……
・
・・
・・・
ミナヅキ「クッ……やはり、事件は迷宮入りとなってしまうのか……王治部おうじぶ氏も草葉の陰で泣いているな」
警官「だから、勝手に殺さないでくださいよ、降來戸ぶらいど警部……」
品辛斬子ぴんから・きりこ「フム……誰かこの中に本を食べちゃうくらいに愛してるようなそんな奴はいないか!?」
楸木ひさぎ秋「先生……まさか……」
斬子きりこ「ああ、ちょっと数秒でもいいから時間を止めて、その間に何か犯人の手掛かりになる何かを掴めないか、と
思ってな……」
秋「"文学少女"じゃなく時載り/時砕きの方ですか!」
堅「……おいおい、迷短亭湖南めいたんてい・こなんとなる俺を差し置いて話を進めるとはどういう了見だい!?」
一同「いや、アンタ使えないし……」
堅「フッ……さっきのが俺の実力だと思ったか!?」
一同「なっ!?」
 ザワっと騒ぎ出す一行……
堅「いいか、このクラスには運の女神ことかんながいるんだ……彼女に聞けば一発で解決よ!」
楠木南「結局自分の力じゃないのね!」
 ここにきて、かんなに丸投げかよ!と、一行は再び呆れるのであった……

#6
ミナヅキ「なるほど……この学校に運の女神がいるとは僥倖……英語で言うならchorjoチョージョー」
警官「いや、降來戸ぶらいど警部、チョージョーって中国とかそっちの言葉なんじゃ!?」
 細かいことはどうでもいいんだ!と降來戸ぶらいど警部……そのままダイイングメッセージ(くどいようだが、王治部おうじぶ真
は死んでいないため厳密には"ダイイング"メッセージではない)を託す
白拍子かんな「……」
 それをみたかんなは……
かんな「ローマ字の筆記体で犯人の名前を残そうとして、途中で気絶してしまったからこんな試し書きみたくなっ
たんです。つまり、ここに書かれているのはl、e、t、iのいずれかということです」
警官「筆記体……?」
生徒「ちょ、ちょっと待て……lとeは分かるとして……何故iとtが……」
秋「いや、サラサラっと先に書いた後に『-』と『・』を付けることにすれば……iとtもありえるってことなんじゃ
ないかな……」
 警官の突っ込みにさり気なく返してみる秋
・
・・
・・・
かんな「大きい円が続いていることから大きい円はlではないことが分かります。そうすると、小さい円はeになる
ことが分かります」
 そして、かんなの超運による解答が始まる……
警官「……なるほど……ローマ字でlが続くことは……まぁ、あり得ると言えばあり得るが……苗字に『っ』なん
てありえないからな……」
警官「……あれ!?……ってことは……大きな円はiかtってことで……と、いうことは……」
堅「現実はいつもひとつ逃避ッ!……つまり、『iiie iiii』から『ttte tttt』までの何通りかの組合せからロー
マ字で正しくなるような組み合わせを探せってことだな!」
 だから、そこまでは誰でも分かるっての……と一同……
かんな「……ちなみに、答えを言うと……itie itii……となります」
 そして早速そうあたりで考えてみようとか馬鹿なことを考えている堅をよそにかんなが超運で答えをアッサリと
暴露
警官「いちえ……いちい……!?」
 それは……まさか……と思っているとらくが叫ぶ
櫟木樂いちい・らく「……父です……」
 でも、なぜ……父が!?その場にくずおれるらく
ミナヅキ「おし!これにて事件は8割方解決だ……あとは櫟木一重いちい・いちえを逮捕すれば万事うまくいく!」
警官「降來戸ぶらいど警部!!」
 そんな娘がいる目の前で何を叫んでいるんですか!?と警官が抗議
 そのまま警官一行は天四斗あまよと工業を後にするのであった……
斬子きりこ「やれやれ、騒がしい一行だったな……」
一同「……」
 そういえば、なぜに、ローマ字、筆記体であんなメッセージを残したんでしょうか……普通に漢字で書けばもっ
と早く解決したのに……などと突っ込んではいけない。


続

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