Eighter -Practical Era-
7ther 〜世にも希薄な彼女 A〜



#0
 片方と付き合いが良くなるともう片方との付き合いは悪くなる……!?
 そして……それを忘れてしまうと……?
 今回はそんな漢の末路を綴った物語……

#1
 天四斗あまよと、某ゲーセン
楸木ひさぎ秋「よぉし!今日こそあの商品をゲットするわよ……」
 と、UFOキャッチャーの前で意気込む夏
榎木えのき夏「秋……あなた、もうあの商品に2000円くらいつぎ込んでいるのよ、そろそろ諦めたら……」
秋「うん……でも、最近、諦めたら負けかな……って思っているのよ……」
柊木冬「じゃあさ……店員さんに頼んで……」
秋「それは駄目……あくまで自分の力を信じたいの!」
一同「……ああ……そう……」
 と、春夏秋冬の面々が呆れて秋を見ている中……そのゲーセンの別のフロアでそれは起こった……
・
・・
・・・
*「……お前最近付き合い悪いぞ……」
 レーシングゲームの座席に座り、ハンドルを操作しながら……なぜか体も一緒に傾けて漢がポツリと漏らす
 ……ちなみに、漢の名前は吃口乞どもぐち・こう
 ヴオオオオ〜〜〜〜〜ンッ
吃口乞どもぐち・こう「は!?何言ってんだ!?お前……俺は毎日お前とゲームしてるじゃねえか、これのどこが付き合い悪いっ
てんだ!?」
 同じくレーシングゲームでこちらもハンドルを操作しながら体を傾けつつ叫び返す漢。
 ……こちらは吹口欠ふきぐち・かけると言う。
 しかも、ご丁寧に宿題まで写させてやってんだぜ!と付け加える
吹口欠ふきぐち・かける「……お前……本気でそんなこと言っているのか!?」
 キキィ〜〜〜
 ブレーキを踏みつつ、かけるは叫ぶ
こう「大体、学校でも放課後でも……お前らと一緒にいるじゃねぇか……これ以上どうしろと……」
かける「……そうか……分からないのか……折角俺が……いや、いい、てめぇを殺す!」
 ガウンッ
 と、一気にスーパーチャージャーを踏みぬき勝負に出るかける……
 バッ
こうのいた座席の画面にYOU LOSE、かけるの方にはYOU WINの表示が出たかと思うと2人はそのまま座席から降り対峙
こう「……やるってのか!?……だったら、やってみやがれってんだ!!」
 格ゲーのキャラみたいに小刻みに動きだすこう
かけるこう「はあああ!!!」
 かくて、そのまま2人は乱闘騒ぎを巻き起こす……
 その時、その場に居合わせた人は2人の上空に何やらHPのゲージが見え、突如READY FIGHT!!の文字が浮かんで見
えたと言う……
こう「おらああ!!」
かける「何のぉおお!!」
 ドガガガガガッ
 そのまま両者は互いのHPゲージを削りつつ、必殺技のためのゲージをためていく……
 正しく、リアル格ゲーだ……
こう秘流ひとうりゅう天流兇烙斬あまながれきょうらくざんかける秘流ひとうりゅう灰忠且E刃ばいうえんさつじん」
 ズドバキャアアアッ
 ……そして、勝負は一瞬でついた……
こう「がふぁああ!?」
かける「……許せ……こう……」
 ズドダダンッ
 その場にくずおれるこう……
 ……このやたら蹴る、殴るなどの暴行を加えたすぐにカっとなる少年の犯行は……その場に居合わせた留学生の
レオナルド・M・ブンドル氏の通報により幕引きとなった……
 後に、『ドクーガ事件』として世間に語り継がれる出来事である。
※いや、確かにドクーガの3幹部がコソっと文章に登場しましたが……

#2
 翌日
天四斗あまよと天四斗あまよと工業、3-J
品辛斬子ぴんから・きりこ「あ〜〜、昨日、天四斗あまよとの某ゲーセンで暴動があったらしいが……巻き込まれた愚
か者はいないだろうな……」
一同「いや、『愚か者』って表現はどうかと思います……」
秋「へぇ〜〜、そんなことあったんだ……」
 とUFOキャッチャーで手に入れたぬいぐるみを机の上に置きつつ秋が叫ぶ
椿木春「秋ちゃん……私達が居たゲーセンの出来事だよ……」
秋「へ!?そうなの?」
一同「……」
 なかなかの大物だ……と一行は思う……
斬子きりこ「あ〜〜〜、くれぐれもゲーセン仲間だから……ってな理由で学校をさぼってお見舞いに行かないこと」
一同「行きませんよ!!」
斬子きりこ「ちなみに、先生はこれからお見舞いに行かなくてはならないんだが、誰か代わりに行ってくれないか」
一同「それこそ何でですか!?」
 ……ちなみに、余談だが、その怪我をして病院送りになった少年というのは天四斗あまよと工業建築科の生徒で、生徒会
のメンバーでもある。また、更に余談だが、斬子きりこは生徒会の顧問も務めている。
楠木南「……先生、面倒くさがらずにちゃんとお見舞いに行ってくださいよ……」
斬子きりこ「……はぁ、仕方がない……じゃあ、気が進まないが……」
 と、そのまま教室を後にしようとするが、突如立ち止まり……
斬子きりこ「そうだ、秋……」
秋「はい……」
斬子きりこ「そのぬいぐるみ、お土産代わりにしようと思うんだが、譲っては……」
秋「あげませんよ!!」
 バッとぬいぐるみを抱きかかえる秋
一同「お土産位自分で買おうよ……」
 そもそも、男へのお土産にぬいぐるみなんて……特殊な趣味の人じゃない限りうけないと思うんだが……と一行


続

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