Eighter -Practical Era-
2nder 〜世界で一番硬い… B〜



#3
 ある日、天四斗あまよと工業で起きた大事件……高校生にして女社長、保科ほしな泉のもつあるものが盗まれた……!?
一同「盗まれた……って!?」
 ざわつきだす一行
品辛斬子ぴんから・きりこ「はいはい、落ち着けみんな……」
生徒「で、何を盗まれたんですか!?」
 ガタ〜〜〜ンッ
成小路金厭なりのこうじ・かねあき「フッ……この俺も罪な漢だぜ……まさか……保科ほしな泉のハートを盗んでしまうとはな……」
一同「……」
 突如席を立ち、何の前触れもなく横行おうぎょうにしゃしゃり出る金厭かねあき
一同「南……ちょっとアイツを黙らせて……」
楠木南「うん、分かった……」
 ボキベキッ
 指を鳴らしながら金厭かねあきの前に立ちふさがる南
金厭かねあき「ちょ……ちょっと……今のは冗談……」
南「冗談は笑えないと冗談と言わないのよ……と、言うわけで……楠木流処世術……亡霊蹴屠ぼうれいしゅうと金厭かねあき「ヒッ……ヒィ〜〜〜!!!SPッ!SP〜〜〜!!!」
天四斗あまよと工業に金厭かねあきの断末魔が虚しくこだまする……
・
・・
・・・
 金厭かねあきが南の手により鉄拳制裁されているのはおいといて……(さり気なく酷いな……)話を進める一行
生徒「任せないッ!こんな時こそ、春夏秋冬の出番よ!!」
 ドドンッとそこへ参上する4人の女……
生徒「しゅ、春夏秋冬……!?」
生徒「何!?知っているのか!?」
生徒「ああ、結成されたものの、その行動内容は謎に包まれているという謎の女グループ」
 と、何かノリノリで解説を行う生徒が数人……
 ……ちなみに、そんな春夏秋冬のメンバーは椿木春、榎木えのき夏、楸木ひさぎ秋、柊木冬の4人。
 かくて、捜査は始まった……
椿木春「じゃあ、早速質問させてもらうわね……」
泉「……はぁ……」
春「まず、盗まれたものは何!?」
泉「CCN……正式名称は『Cubic Carbon Nitride』……」
一同「……はい!?」
 しかし、予想の斜め上を行く解答で一同は唖然……一体、それは何なの!?とぽかんとする一行
白拍子かんな「……日本語だと……確か『立方晶窒化炭素りっぽうしょうちっかたんそ』……だったような……」
泉「そう、それ、別名ふわふ……いや、なんでもないわ……」
 ボソっと呟きつつ言い淀む泉。
※まぁ、『保科ほしな』、『泉』、『立方晶窒化炭素りっぽうしょうちっかたんそ』、『ふわふわ』っていえば分かる人にはピンとくるものですから
 ねぇ……
榎木えのき夏「まぁ、いいわ……じゃあ、次だけど……盗まれたと分かったらなぜ真っ先にここに来たの?」
泉「それは……」
生徒「ま、まさか……犯人は……この中にいる!?」
一同「な……なんだってぇ!?」
 1人の生徒の熱き叫びにより、MMRのようなノリで一同驚愕!

#4
南「……いやいや、普通に考えてかんなの超運が目当てでしょ……」
一同「ああ……」
 ……そして、盛り上がっている中、簡単に水を差す南……これには一同も納得せざるを得ないのであった
楸木ひさぎ秋「あれ?南、成金の粛清はもう終わったの?」
金厭かねあき「まだ続けてほしいんかいっ!?」
 流石にこれ以上粛清されてたまるか!と渾身の突っ込み……
金厭かねあき「……で、だ、話は聞かせてもらったぞ!」
一同「……いや、何もアンタだけに言っていたわけじゃないけど……」
金厭かねあき「だが、恐れるな……我が成小路財閥の力をもってすれば、一発解決!」
 ササっと懐から小切手を取り出す金厭かねあき
柊木冬「……何でもかんでも金で解決しないから……」
生徒「と、いうか、防犯カメラとかつけてなかったの?」
 と、ここで素朴な疑問が……
泉「あるには……ある……」
 と、言うわけで早速防犯カメラの観賞会を行う一行
 ガタンッ
詞野ことばの綾「ちょっと待ってよ!!」
しかし、流れてきた映像に席を立って驚愕の叫びを漏らす綾
夏「……まさか……知り合い!?」
綾「……知り合いと、言うか……彼……」
 そこに映っていたのは……目候魚成めこう・うおなり……まさか、彼が泥棒だったなんて……とガックリとする……
 のかと思いきや、そうではなく……
綾「じゃ、まさか……これは……」
 薬指にはめている指輪を見ながら彼女は叫ぶ
かんな「……うん、それが立方晶窒化炭素りっぽうしょうちっかたんそ……だね」
綾「……騙したわね!!」
 早速携帯で彼を呼び出す綾……そして、激しい口論が始まった……
綾「……ちょっと、どういうことなの!?私はこんなものが欲しかったわけじゃないんだけど!?」
目候魚成めこう・うおなり「……何を言う……お前が世界で一番硬い物質をあしらった指輪が欲しいと言いだすから俺は頑張って
立方晶窒化炭素りっぽうしょうちっかたんそのホワイトゴールドリングをだな……」
綾「なっ!?プラチナかと思えば更にホワイトゴールドだなんて、どこまで私を馬鹿にすれば気が済むのよ!」
 と、言うか私が欲しかったのは『世界で一番硬い"宝石いし"』であって『世界で一番硬い"物質"』じゃない
わよ!と激しく抗議
綾「……もういい、別れましょう……」
 ガンッと指輪を机の上におき、去って行く綾
魚成うおなり「あ、待て……まだ話は……」
 かくて、綾と魚成うおなりは破局することとなった……いや、立方晶窒化炭素りっぽうしょうちっかたんそをあしらった指輪なんて貰って嬉しい人な
んていないわけで……(実はかんなはちょっと興味を持っていたようだが……)
 ……何はともかく、立方晶窒化炭素りっぽうしょうちっかたんそは戻ってきたので……これにて事件は終幕となったのであった……


END

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