Eighter -Noble Gathering-
54ther 〜けいは黄昏に夢想う B〜



#3
けい、藤次の前に成す術もなく敗れ去る……かに思えたが、しかし、ここに完全復活……更に新たなる武器も手に
反撃の狼煙を上げる!
夏木藤次「な、何をした!?貴様!」
天然蛍あましか・けい「え?何って……ただ斬撃を放っただけだけど……あ、斬撃っていうのは……」
藤次「ンなこったぁ分かってる!俺が聞きたいのはそんなことじゃねぇよ!」
つい熱くなる藤次……まぁ、勝手に使っていたとはいえ、けいの持つ最大最終奥義がこうも簡単に破られるなどと
想ってもみなかったからだ……
けい「……え〜〜っと」
そのまま首を傾げるけい……その後、あ、うん!と頷き、再び藤次を見る
けい「もう、新しい武器も手に入ったし、その刀要らないからあげるね……ってなわけで、帰っていい?」
藤次「いいわけねぇだろ!」
貴様、俺を馬鹿にしているのか!?と藤次、キれ、ズガンと炎を纏った炎双刃で地面をたたきつける
突込魁とつこみ・かい(……)
まぁ、確かに、キれたくもなるよね……とかい、藤次の心中を察す。
藤次「てめぇはとっとと無にでも帰りやがれ!」
けい「え〜、やだよ……」
ガギンッ
一足飛びにかかり、斬撃を見舞う藤次……だが、それを軽く受けるけい
藤次「チッ……」
けいはもともと特定の型にとらわれない無形の剣の使い手……
呼び醒ます記憶の籠手サモン・メモリアルけいの剣の動きを手に入れた藤次だが、しかし、けいのように無形の剣を振るうことは
出来なかった……
けいの使ってきた技術を記憶として読みだしロードできても、それを自分の肉体に上書きストアできないからだ……
まぁ、仮にできたとしても……けいはその日の……その時々の気分によって縦横無尽に剣を振るう漢……
故にその太刀筋は本人ですら予測できない……故に、対応することなど不可能……というか、
馬鹿げている……
藤次「なめるなぁ!!!」
ガガガガガッ
怒りと共に猛攻を繰り出す藤次……しかし、それをこともなげに受けるけい
けい「ねぇ、もう、帰って寝たいんだけど……」
藤次「永遠に寝てろ!虚熔滅炎陣きょゆうめつえんじん!」
ゴガッ
至近距離からの大技……自分自身にもダメージを喰らうかもしれないが、この際そんなこと構ってられなかった
……とにかく、けいをぶち殺す!藤次には最早、それしなかない……
藤次「……え?」
思わず間抜けな声をあげてしまう藤次
かい「へ?」
つられてかいも間抜けな声を上げる……
確かに藤次は至近距離からけい目掛けてほむら一刀流・究極奥義を見舞った……しかし、発動しなかったのだ
藤次「な……馬鹿な!?」
い、一体何が!?……いや、しかし、発動しなかったわけではなかった……既に藤次は先ほど、何が起こった
のか分かっていた……しかし、認めたくはなかったのだ……

#4
ほむら一刀流・究極奥義……その炎が、熱量が、けいに吸収されたなどと……
けい「もう、いいよね?……君では永遠に俺に勝てないよ……」
藤次「……う、五月蠅い!!」
ゴゴゴゴゴゴッ
なおもけいの熱気が増していく……そして、その炎のに魅かれるように、藤次の纏っていた炎が吸い寄せられて
行く
藤次「な……何!?」
藤次(……何だ!?コレ……何だ!?コレは……馬鹿な……そんな馬鹿な……なぜ……)
既に、勝負はついていた……と言っても過言では無かった……最早、この死合、けいが勝つ事は火を見るより明らか
である。
……いや、『火』を見て明らかに分かる事実だけど……
藤次「……死ね!死ね!死ねぇええ!!けいぃいいいッ!!!炎水之極えんすいのきわみ!」
けい炎水之極えんすいのきわみ!」
ズドガッ
両者互いにほむら一刀流・最終奥義を放つ……それらは激突し、そして、対消滅を起こす
藤次「フ……ハハハ……ハハハ……けい……やはり、貴様はここで死ね!」
いかにけいが強くなろうとも、ほむら一刀流・最終奥義の前では無力……最後の頼みの綱はまだ俺にある……と藤次は
勝利を確信する
かい(……違う……それは……間違いだ……)
しかし、かいはそれが藤次の思いこみであることを見抜いていた……
なぜなら、藤次は火龍双刃かりゅうそうじん炎黒鎧爪えんこくがいそうにて力を増幅したうえで最終奥義を放っている……だが、けいは……新たな
武器を手に入れただけでそれに立ち向かっているのだ……
けい「……流石、ほむら一刀流・最終奥義……ここまでの力があるなんてわ、びっくり……だね」
『わ、びっくり』の部分は棒読みなので、驚いている風には全然見えないけい……
藤次「ククククク……けい……死ぬなら今のうちだぞ」
けい「いや、まだ、死にたくないから遠慮するね……」
すっ
そして、けいは真・炎双刃を天に掲げる
けい「もう、それいらないからあげるって言ったのに、しつこく付きまとってきて鬱陶しいから壊すね」
藤次「請われるのは貴様の方よ!うおおおおお!!!死ね!炎水之極えんすいのきわみけい炎水之極えんすいのきわみ夢刃冽火むじんれっか」
ドンッ
迫る水の龍、炎の鳥に対して、水と炎を螺旋の様に絡めて巨大な刃にして全てを薙ぎ払うけい
ピキッ
藤次「なっ!?」
そして、それを受けた炎双刃……さらに呼び醒ます記憶の籠手サモン・メモリアルひびが入る
けい「さようなら、君のことは……俺が忘れるまで忘れないよ」
※それは、けいが言えば、すなわち覚えないということと同義である
藤次「がああああ!!!」
藤次、炎に包まれ、ここに、勝敗は決す……

#5
炎水之極えんすいのきわみ夢刃冽火むじんれっか……それは最終奥義を超える真・最終奥義……いや、神・最終奥義……
けい「ふぁ〜〜、いっぱい動いたら疲れちゃった……帰って寝よ……」
そしてけいは何事も無かったかのように踵を返し帰って行く
かい「って待ちなさい!私を置いていくなぁ!!」
そして、いつもの如く、かいの突っ込みが冴えわたる……
けいかい……この2人は今日もいつも通りだった……


END

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