Eighter -Noble Gathering-
40ther 〜離した剣鬼を屠れ C〜



#5
裏の世界を勝手に抜けだした萌……これは裏の世界に対する重大な背信行為……ではあるが、しかし、裏の世界
で無敵と称されていた百井銀牙が刺客に出向いても斃せなかったことで一旦萌の件は保留になっていた……
しかし……今、再び……
河上沢斗たくと「うん……もし、孤高の剣鬼が武器を失ったら、東斗陽拳に分があるだろう……」
先ほどのけいの問いかけに答える沢斗たくと
元石美鈴ウォンソ・メイリン「じゃア、東斗陽拳の方ガ強イのカ?」
沢斗たくと「まさか……第一、孤高の剣鬼が武器を破壊されるだなんて失態を犯すとは思えないね」
突込魁とつこみ・かい「そもそも、拳法家も手足を寸断されてしまえば同じだと思うんだが……」
そして、かいも会話に参加しだす
沢斗たくと「あ、やっぱり?……俺もそう思ったんだよね……」
結局、死合ってのは勝ちたいという執念の強い方が勝つんだよね……と呟く沢斗たくと美鈴メイリン「……それハ……」
沢斗たくと「うん、どんなに追い詰められても、負けない……という揺るがない信念を持つ相手は、傍から見れば
 明らかにこちらが勝っているように見えても、既に敗北しているようなものだよ……」
人を殺すということは……『人を殺さない』というコトに敗北したものが行う行為なのさ……と沢斗たくとが呟く。
一同「……」
沢斗たくとの発言により、しんみりとしてしまう一行
沢斗たくと「まぁ、そんなことよりも、見学に行こうぜ」
天然蛍あましか・けい「うん、そうだね、東京都なんてあんまり来たことがないし」
かい「そういう意味の見学じゃないッ!」
かいの突っ込みと共にけいの脳天に一撃が叩き込まれる。
第一、東京都にあまり来たことがないなんてのは嘘だろ!とかいの突っ込みが冴えわたるのであった……

一方……

天四斗あまよと、修羅の門
冥時みょうじ萌「……」
最近の萌はとくに何をするでもなく、修羅の門にて夕陽を眺めていた
庵刷いおずりケン「夕陽を眺めるなら修羅の門ではなく、羅生門だ」
萌「!!!!」
突如背後から声……咄嗟に振り向くと、そこにケンはいた
萌(コイツ……)
今まで、自分の背後をとった連中など皆無だった萌にとって、こうもあっさりと自分の背後をとったケンに驚き
を隠せずにいた
ケン「……はじめまして、孤高の剣鬼……俺は東斗陽拳の庵刷いおずりケン……」
萌「……東斗陽拳?……知らんな……」
ケン「貴様……」
まるで修羅○国に攻め込んだケンシ□ウの気分を味わい激怒するケン
ケン「まぁ、いい……孤高の剣鬼……貴様は今日、死ぬのだ」
咄嗟に両手を上げて構えるケン
萌「……裏の世界からの刺客……と、言うわけか……最近は音沙汰がなかったか遂に諦めたかと思ったが、そう
 でもなかったようだな……」
言いつつ、萌も片手二刀の四刀流で応戦する

#6
ケン「ふざけるなよ!孤高の剣鬼!……あまり私を過小評価するな……」
私が斃したいのは魔眼と真・四刀流の貴様だ!と咆えるケン
萌「……そうか……ならば、後悔するなよ……錬魔操剣!」
魔眼の力を開封し、2つの刀を両手とは別に操り真・四刀流になる萌
ケン「後悔!?……そんな心はもう棄てたッ!」
別にそんな心を棄てる必要はないはずなのに、そんなことを叫びつつ、ケンは一足飛びにかかる
萌「四刃光臨しじんこうりんッ」
バシュアアアッ
光の刃が4つ、ケン目掛けて襲いかかる
ケン「甘いッ光手無影こうしゅむえい」
バシュアアッ
萌「何?」
ケンの手刀によって生み出された光の刃が触れるものを殲滅する萌の剣閃を掻き消す
ケン「どうした?……先ほどの技は東斗陽拳のほんの小手調べに過ぎんぞ」
そのままケンは一気に萌の間合いを浸食する
ケン「光手叉塵こうしゅさじん」
ズシャアアッ
光の刃を両手に纏いつつそのままX字に斬撃を放つケン
殺った!……かに思えたが、しかし、そこに萌の姿は無かった
萌「……なるほど、これが東斗陽拳か……」
そして、背後より声がする
咄嗟に転移衝てんいしょうにて空間を転移したのだ
ケン「フン、それで、私の背後をとったつもりか……甘いわ!」
ギュルンッ
次の瞬間、萌の背後にケンが出現
萌「……なるほど、久しぶりに骨のある相手のようだな……」
最近は裏の世界から放たれた刺客の数も減った上に、力のない刺客ばかりであり、萌も手加減をしていたのだ
……しかし、今、相手になっているケンは別格。
だから、萌は気を引き締める
ケン「今更本気を出した所でもう遅い……光手無影こうしゅむえいッ」
バババババッ
手刀によって生み出された空気の刃が萌を襲う
萌「殺眼剣鎖さつがんけんさッ!」
殺気によって空気の刃を止め、掻き消して見せる萌
ケン「何と!」
殺眼剣鎖さつがんけんさとは元々相手の動きを殺気によって封じる技ではあるが、しかし、人だけではなく、モノにまで効果が
及ぶとは……
萌「絶氷突槍ぜっひょうとっそう」
バキバキバキバキバキッ
そして、追い打ち。
地面から氷の刃が飛び出し、ケンを貫きにかかる
ケン「光脚無影こうきゃくむえいッ」
ガガガガガガガッ
右脚のみ……光の刃を帯びた蹴りにて飛び出す氷の刃を撃ち砕くケン
ケン「温い……貴様の力はこの程度か?……だとすればがっかりだ……20年……言葉にすれば短いが……20年
 あれば、裏の世界も落ちぶれるに十分というわけか……」
それは、暗に自分が裏の世界で最強であると言っているに等しい……
もし、ここに銀牙がいたら怒りのあまり、襲いかかってくることもあっただろう……
まぁ、そんなことはさておいて……小手調べもここで終了……
ここからが真の死合の始まりだ……


END

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