Eighter -Noble Gathering-
35ther 〜過住攻太郎の受難 A〜
#0
過住(攻太郎……古くから陰轟留牡鴉(封印を任されて来た一族『過住(家』の現代当主……彼は一族の凄絶な
潰し合いにより遺産を全て受け取ったというオイしい位置にある人物で、先々代の言いつけで牡鴉(を封印すべく
立ち上がったのだが……かんなに悉(く先を越されてしまったのであった……
今回はそんな攻太郎に纏わる受難の物語
#1
天四斗(、某所
過住(攻太郎「……いやぁ……牡鴉(封印の時は……実に最悪のタイミングで登場し期を逸してしまった……だが、
今回は違う……いや……もはや牡鴉(なんて存在しないってことは分かっているんだけど……」
天を仰ぐ攻太郎
攻太郎「……だけど、どうしてもやらなければならないことがあるんだ!!」
攻太郎のこの決断が……彼に災難を呼び寄せることなど今は誰も知らなかった……
数日後……
天四斗(、Eighter本部
攻太郎はEighter本部を訪れていた。
某敢(「依頼……でござるか!?」
現れたる攻太郎に対し敢(がそう呟く。
攻太郎「ん?……ああ、別にそんなモンじゃないんだが……」
梓與鷹(「あ、アンタは……紅の墓標で出会った……」
奥にいた與鷹(が驚きの表情を見せながら呟く
……そう、確か、陰轟留牡鴉(との最終決戦時、攻太郎は突如、紅の墓標に出現した……
しかし、タイミングが悪く、陰轟留牡鴉(はかんなが斃した後というか、攻太郎は牡鴉(の今わの際にやってきたの
だ……
そして、攻太郎は一体どうやって歴史の墓場へやってこられたのか……また、どうやって歴史の墓場から現実世界
へ戻れたのか……それは誰もが疑問に思う出来事であった……
攻太郎「おう、そんなこともあったなっと……」
敢(「……して、依頼でなければいかなる用でここに来たのでござるか!?」
そんな中、敢(がしからば、何用で?と問いかけてくる。
攻太郎「うむ、ちょっと野暮用でござる……って移っちまったじゃねぇか!ござる口調!」
敢(「それは拙者のせいではござらん」
與鷹(「あ〜〜〜、話が見えない……とりあえず入り口で立ち話ってのも……依頼者が来たとき邪魔だし……
話なら奥で……」
攻太郎「う……むぅ……そうかぁ……そうだよな……」
攻太郎(え!?ってか、俺、邪魔者扱い!?)
※依頼でもないのにやってきた時点で邪魔者決定です。
なんだか釈然としないものの、いつまでも出入り口に陣取って話をするわけにもいかず、攻太郎は與鷹(に従い
Eighter本部の奥へと入って行く。
與鷹(「で、何だ?」
攻太郎を奥の部屋に通した後、與鷹(が話を切り出す。
攻太郎「……まぁ、偉く個人的なことかもしれんが……かんな……っているか!?」
與鷹(「いや、あいにく出払っていてね……直に帰ってくるとは思うが……それが!?」
攻太郎「……俺の家系は代々牡鴉(を封印してきた……ってのはもう知ってるよな?」
與鷹(「……え?……あ、ああ……そんなことも言ってたっけか?」
あんまり覚えていない一行であった
#2
攻太郎「……だが、しかし……おまえらに……かんなに先を越された……」
いや、別に怨んでいるわけではないんだぞ……と付け加える攻太郎
敢(「……それで、かんな殿に死合を挑もうとでも!?……無意味でござるな……陰轟留牡鴉(を斃したかんな殿を
お主が斃したところで何になるでござるか!?」
攻太郎「……ああ、分かっている……分かっているんだ……だが……どうしてもかんなと……」
白拍子かんな「……無謀ですね……攻太郎さん……」
一同「うわおう!?」
と、そこへ唐突にかんな出現……
あまりに突然出現し、話しかけてきたものだから一行もビックリ仰天
與鷹(「……ところで、かんな……依頼の方は?」
とりあえず、攻太郎を放置して、かんなの依頼の結果を聞く與鷹(
かんな「はい……」
ちなみに、かんなはとある屋敷で起こる怪現象に対して原因を究明してほしいとの依頼があり、出向いていた
のだ……
その怪現象に関してはいずれ語られるかもしれないが、今回は割愛させていただく。
攻太郎「あ〜〜、話を戻していいか?」
與鷹(「ああ、すまんすまん、依頼の後は報告を聞くようにしているんでね……」
作業報告は絶対に……それはEighterの中のルールだ。
攻太郎「さてと……かんなも戻ってきたことだし……本題に入るぜ」
そして、一呼吸置いてから攻太郎はこう叫ぶ
攻太郎「俺と付き合ってくれ!」
一同「はい?」
あれ?かんなをぶっ斃して牡鴉(を勝手に斃してくれたウサを晴らすのかと思いきや、いきなり告白になって驚愕
する一行。
そんな中、お前にかんなはやらん!といった雰囲気で與鷹(が睨みをきかせる。
攻太郎「待て待て、勘違いするな……俺はだな、かんなと牡鴉(の件に関してケリをつけさせてくれ……と……」
與鷹(「なんだ、紛らわしい」
かんな「……どうしても、必要なんですか?」
攻太郎「当たり前だ!この件にケリを付けない限り、俺は一歩だって前に進めない!」
かといって後ろにも進まないけどね、と付け足す攻太郎
そのままかんなと睨みあう
與鷹(「かんな……」
どうするんだ?と告げようとすると、かんなが口を開く
かんな「……そうですか、そこまで言うのならば……仕方がありませんね……ですが、ここでは無理なので、
場所を変えましょう」
攻太郎「おうともよ!」
かんなと攻太郎の死合……この死合こそが攻太郎の受難の始まりだったのである……
続
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