Eighter -Noble Gathering-
28ther 〜千の偽名を纏って A〜



#0
ある歌、本は『千の風になって』、ある高みを目指した死神は『千の刃となって』消えた……
そして、今回の事件は……『千の……』

#1
……事件の発端は今から2年前……
東京都、品川、某マンション
警官「中川警部、ガイ者は金令木友幸きんれい・きゆさ(39)……鰯の味醂干しをこよなく愛する自称『干物女』、
 通称『ニート』だそうです」
※おい、何だ!?それ!?……と、いうか、物理的(?)に干物女なんですね。
中川邦武ほうむ「フム……包丁による胸の一刺し……これが直接の死因か……」
とあるマンションにて発見された女性の遺体……それが全ての始まり……
警官「中川警部、調べによりますと、彼女の特技は亀甲縛りとのことです」
邦武ほうむ「ふぅむ、『紐の女』か……」
警官「また、恋人の日虎一人に尽くし、お金を貢いでいたそうです」
邦武ほうむ「つまり、『ヒモの女』……と、言うわけか……」
※おい……同じようなネタを何度も続けない!
たたっ
警官「中川警部、聞き込みの結果なのですが、どうも、アヤしい人物を見かけた……などの情報は得られません
 でした……」
と、そこへ更に聞き込みを行ってきた警官がやってきて、報告をする。
邦武ほうむ「クッ、最早迷宮入りか!」
警官一同「それは早すぎる!!」
まだ捜査が始まったばかりなのに突如迷宮入りを宣言する中川警部……そんなんだから総介に無能と呼ばれる
のである。
邦武ほうむ「……まぁ、いずれ迷宮入りになることはさておいて、まずは、彼女の友好関係を洗え!」
一同(迷宮入りになることを前提に捜査を進めるのはどうなんですか!?中川警部……)
やる気あるのかなぁ……といくら無能警官とはいえ、中川警部のその発言に疑問を抱く一行であった……
警官「……しかし、中川警部、彼女は!ノットE・E・Tですからねぇ……親くらいしか……知っている人は
 いないんじゃないでしょうか?」
※ニートをヘンな言い方で表現しないッ!そこの警官……
邦武ほうむ「ふむぅ……」

そして、案の定親の他に彼女について知っている人はほぼいないようであり、事件は難航かと思われた……
警官「中川警部、ガイ者の持っていた携帯に残っていたデータなのですが……」
邦武ほうむ「ん?どうした!?」
警官「……それが、見てください……これ……」
邦武ほうむ「んむ!?」
『昨日は恵里香、一昨日は幸、今日は薫……明日は……誰かな!?』
『今日は友香だった……そろそろ終わりかもね……』
『明日は百合奈だと言っていた……まだまだいけるらしい……』
『今度はキャサリンだって……いくらなんでもそれはどうかと思う……』
邦武ほうむ「……こ……れは!?」
彼女の携帯の日記には……そのように次々と色々な女性の名前が綴られていた……

#2
警官「ニートでありながらこれほどの交友関係があったなどとは……侮れんな……ニート……」
警官「そういえば、俺の親友の自称自宅警備員も、ネットの世界で結構大量の友好関係を築いていまして……
 先日も通常ではまず入手不可能な商品を入手したって自慢してました……」
警官「……やはり……ニート、侮るべからず……だな……」
※何を言っている、この警官……侮っていいってば……
……だがしかし……コレほどまでの友好関係に恵まれていながら……捜査は難航した……
警官「……中川警部……」
邦武ほうむ「進展は……あったか!?」
警官「いえ……全く……」
警官「そもそもこの日記……下の名前は出てきますが、上の名前が出てきていることは少ないですし……」
邦武ほうむ「ま、女同士の友情なんてそんなもんよ……」
※本当ですか!?警官さん……
……ちなみに、彼女の学生時代の友達にも問い合わせてみたり……勿論、日記に残されていた名前の人に
何か心当たりが無いかと尋ねてみたのだが……やはり、何の進展も無かった……
もし、ここに総介がいれば、真理の断片の見せる未来によりたちどころに犯人と日記の謎が解けたのだが……
歴史にifもしを語るのは愚か者のすることで……
警官「くそっ……一体どうなっているんだ!?……」

そして、何の進展も得られないまま、事件は2年の歳月を経た……
東京都、池袋おるくべき、某レストラン
店員「畑中様、畑中様はいらっしゃいますか?……畑中様、一名様……いらっしゃいませんか?……では、
 大谷様、大谷様一名様は……只野様一名様は……?」
昼時とあって少し混雑しているレストラン……しかし……お客様の名前を読んでも一向に誰も名乗り出ない
店員「て、店長……またですよ……」
店長「……うむ、ここ最近、待ち人リストに書かれるお客様は盛大にいるのだが、実際に読んで入ってくる
 お客様は1/5……いや。1/10か!?」
店員「店長……」
店長「かといって、個人様お断りにするわけにもいかんだろう……」
店長「くぅっ……筆跡は……違っているような気もするし……ナゼだ!?」
……その時、このヘンな事件と2年前との事件とが繋がっているということを……誰一人として知る由も
無かった……


続

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