Eighter -Midnight Howling-
49ther 〜死を呼ぶハンカチ C〜



#5
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在が送り込んだ刺客、暗殺の七人(サイレントキル)!Eighter一行は退けることが出来るのか!?
 天四斗(あまよと)、某所
 與鷹(よたか)がロッソに襲われている頃、(おぼろ)(つかさ)もまた、同じく……
梔曹(くちなし・つかさ)「問答無用で襲ってくるとは……」
アランチョーネ・マルテディ「ターゲットに気づかれるなんざ、俺達もまだまだだな……」
ジャッロ・メルコレディ「言ってる場合かよ!」
雨水朧(うすい・おぼろ)「な、何なのよ、アンタら」
アランチョーネ「こうなったら名乗っておこう……俺はアランチョーネ。暗殺の七人(サイレントキル)の一人よ……貴様らを恨んで
いるガキからの依頼でね……」
(つかさ)暗殺の七人(サイレントキル)!?」
ジャッロ「同じく、俺はジャッロ……イタリア裏社会で俺達を知らない奴はモグリだぜ!」
(おぼろ)「いや、ここ日本なんですけど!」
 もっともな突っ込みである。
(つかさ)「と、言うかだな、俺達は子供に恨まれるような覚えなんてないが……」
(おぼろ)「そうよねぇ、子供を相手に麻雀で巻き上げた覚えなんてないしねぇ……」
※なぜ麻雀基準で考えるのか……
ジャッロ「フン、無駄話はここまでだ!」
 そういうとアランチョーネとジャッロは胸ポケットからそれぞれオレンジ色と黄色のハンカチを取り出す。
(つかさ)(何だ?)
アランチョーネ、ジャッロ「これは貴様に死を告げるハンカチ、虹女神の逆衣(アイリス・アンチクロス)!」
 シュバッ
 まるでハンカチをステッキに変える手品の如く、オレンジ色のハンカチはハルバードへ、黄色のハンカチは(いしゆみ)に
変化する。
(おぼろ)(つかさ)「なっ!?」
アランチョーネ、ジャッロ「天心流殺法、受けてみろ!」
 ハルバードを手に襲い掛かるアランチョーネ、(いしゆみ)から矢を放つジャッロ
(おぼろ)「ちょっ」
 ガンッ
 ガガァンッ
 (おぼろ)(つかさ)八咫鉾(やしむ)、ワルサーP-99で応戦。
(つかさ)「天心流殺法?」
 矢を迎撃しつつ近くの大木に身を隠す(つかさ)。
アランチョーネ「おうともよ!」
ジャッロ「天心流殺法……それはイタリアに古くから続く古武術!」
(おぼろ)「いや、どう考えても日本の古武術でしょうが!」
アランチョーネ「貴様は何も知らんようだな……南イタリア、レッジョ・ディ・カラブリアには遥か太古の昔から
天心流殺法が伝わっているということを!」
 いや、それ天心流派兵法(ひょうほう)のことですから、残念!
ジャッロ「喰らえ!天心流派殺法・胡坐(こざ)の射」
 叫ぶと同時にドカっと座り込み、(いしゆみ)を放つジャッロ
(つかさ)「なんだそりゃ!?」
 ガウンガウンッ
 驚きつつもワルサーP-99で矢を弾き飛ばす(つかさ)
ジャッロ「ふっ、優れた狩人とは座した状態からでも矢を射るのものだよ!」
(つかさ)(え〜!?)
 さる居合の達人は座した状態から抜刀する……なんてのは聞いたことあるけども……流石に弓じゃ違うだろ

#6
ジャッロ「落鳳暴矢(らくほうぼうし)!」
 ズゴゴゴゴゴゴゴッ
 座ったまま(いしゆみ)を上空に構えて大量の矢を撃つジャッロ
(つかさ)「嘘だろ!?」
 流石にあんなの一本一本銃弾で弾いていては弾切れ必至である。
(おぼろ)旋抉黎杭打刳撃(スクリュー・パイルドライバー)!」
 ぎゅごおおんっ
 だが、こちらには(おぼろ)という仲間がいる。彼女は抉りで生じた渦によって迫る矢を全て弾き飛ばす。
アランチョーネ「貰った!斧鰐百刑(ふがくひゃっけい)!」
 (おぼろ)八咫鉾(やしむ)をもってして降り注ぐ大量の矢を捌いている間は身動きが取れない。かといってアランチョーネに刃
を向ければジャッロの矢の餌食となってしまう。
 ガガガウゥンッ
アランチョーネ「な、何だと!?」
 (おぼろ)の首を一刀のもと薙ぎ払おうとしたハルバードは直後、謎の衝撃を受けて弾き飛ばされる。
 いや、謎でも何でもなく、銃弾による衝撃なのだが……
アランチョーネ「貴様!」
 ギリっと歯軋りしつつ(つかさ)を睨むアランチョーネ。
(つかさ)「もう貴様らの負けだ!」
 宣言と共にマガジンを入れ替える(つかさ)
アランチョーネ「大きく出たな……」
 さっきは不意打ちでハルバードが弾かれたが今度はそうはいかんぞ!とハルバードを構えなおすアランチョーネ
アランチョーネ「ぬぅうん!天心流派殺法奥義!爆斬撃斧(ばくざんげきふ)ゥッ!」
 ゴガアアッ
 ハルバードをぐるんぐるん振り回し、遠心力を加味した一刀両断を放つアランチョーネ
(つかさ)六芒の隷属(シックス・スレイヴ)!」
 ガウンガウンガウンガウンガウンガウンッ
 アランチョーネの影めがけて六芒星を描くように撃つ。
 ビタリッ
アランチョーネ「な、何ぃいい!?」
 その次の瞬間、アランチョーネの動きが封じられてしまう。
ジャッロ「影縛りか!?」
 だが、俺の方はそうはいかん!なぜならば、俺の動きを封じようとも、この(いしゆみ)は自動的に矢を放ち続けるからだ
と豪語するジャッロ
(つかさ)「いいや、アンタもここで終わりだよ」
 ガウンッ
 バチィインッ
ジャッロ「え!?」
 雨のように降り注ぐ矢が突如として途切れる。(つかさ)(いしゆみ)の弦を銃弾で切ったからだ。弦が切れてしまえば弓は最早
役立たずである。
(おぼろ)「まとめて吹き飛べぇ!墓石黎杭打刳撃(ツームストン・パイルドライバー)!」
 この機を逃す(おぼろ)ではない。アランチョーネを突くと同時に持ち上げてジャッロに叩き付ける
アランチョーネ「う、うごおおお!?」
ジャッロ「ちょ、ちょっと待って……」
 ズドゴオオンンッ
(おぼろ)「一丁和了(アガ)り!」
 暗殺の七人(サイレントキル)、残り四人……


続

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