Eighter -Midnight Howling-
33rder 〜線上に立つ赤き辜(シン・レッド・ライン) B〜



#3
 激突!森メメント VS かんな。
 メメントは冥王の心臓による力の底上げを行っているため、かんなは劣勢に……
森メメント「なんだと……である!?」
 応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍、平安を(もたら)す火の鳥、信義を貫く麒麟、吉兆を左右する霊龜(れいき)……一個ずつであったならば
白い衝撃波二つと赤い剣閃三つのコンビネーションの狩血憎麟(しゅちにくりん)で圧倒出来ただろう。
 だが、四大奥義一斉解放……これにはひとたまりもない
メメント「ぐ、ぐあああああ!!」
 しゃがみ込んだり、上体を逸らしたり程度では回避などできない。飛び退っても今からでは僅かながら間に合わ
ない。
 で、あれば、もはや餌食となるしかない
※いや、僅かだろうがなんだろうが、飛び退ればダメージはその分和らげるのでは?與鷹(よたか)「やった……のか!?」
(かみ)総介「……」
 與鷹(よたか)の声に対し、険しい表情を返す総介。
※まぁ、あれだ『やったか!』なんていう状況ではまだ勝負がついていないというのが常だ
メメント「ククク……クククククク……」
 羅神無綺(らじんきむ)流、四大奥義……それを受けて満身創痍でありながらも、メメントはまだ立っていた。
 ギラギラと眼を輝かせて、ニタリと笑みを浮かべて……
與鷹(よたか)「なっ、なんてヤツだ……」
 シュウウウ〜
與鷹(よたか)「な、何ぃ!?」
 しかも、冥王の心臓からのエネルギー供給により、傷がみるみる修復されていく。
メメント「少しはやるみたいだね……でも、所詮、そこが人間(パーツ)風情の限界なのである!」
白拍子かんな「くっ」
 どんな攻撃をくらわせても、修復されてしまうのでは元も子もない……
メメント「終わりだよ!人間(パーツ)が!である!狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
 四大奥義一斉解放であろうが、叩き潰せばいいだけのこと
 今度は白い衝撃波四つに赤い剣閃五つのコンビネーション
かんな「そうですね、終わりにしましょうか……龍鳳麟龜(りゅうほうりんき)!」
 カカッ
 再び応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍、平安を(もたら)す火の鳥、信義を貫く麒麟、吉兆を左右する霊龜(れいき)の四つを同時に一斉解放
メメント「無駄であるッ!」
 その言葉が示す通り、四霊は全て砕かれる。
 ボッ
メメント「な、んだ……であるっ?!」
 そのとき、青き刃が走る。
 メメントにとって誤算だったのは白い衝撃波四つに赤い剣閃五つのコンビネーションで龍鳳麟龜(りゅうほうりんき)を相殺にしか持
ち込めなかった点にある。
 先ほどあえて喰らってみて、このコンビネーションならば次は必ず打ち破り、更にかんなに手傷を負わせるに至
るだろうと考えていたのだ。

#4
 しかし、その目論見は外れた。いや、外されてしまったというのが正しい。
 そして、かんなの切り札は龍鳳麟龜(りゅうほうりんき)ではなかった。最初からメメントの技を相殺するためにそれを放ち、そして
今、かんなは間合いを詰め、メメントの剣の間合いの外から斬撃を見舞ったのだ。
 ズバッ
メメント「え?」
 そのとき、メメントは自分の身に何が起こったのかわからなかった。
 気が付いたときにはメメントはかんなの振るった神滅超越者(ラグナロクエクセル)により左上から袈裟斬りを喰らわされていた。
かんな「慢心は最大の敵ですよ?」
 いかに冥王の心臓からエネルギー供給を受けているとはいえ、斬撃を喰らっている最中に修復なんてできない。
メメント「がっ、ガアアアアアアッ!」
 神滅超越者(ラグナロクエクセル)の間合いと後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)の間合いとでは、確かに神滅超越者(ラグナロクエクセル)の方が広い。
 しかし、それでも、後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)ギリギリ外の間合いから神滅超越者(ラグナロクエクセル)を振るったとしても、直撃を受けるには
至らない。
メメント「人間(パーツ)風情がッであるッ!」
 ギリっと歯軋りし、左右の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)をクロスさせてザックリと自身を斬り刳る神滅超越者(ラグナロクエクセル)を受け止めて圧
し返す。
山咲(やまざき)桜「通常の刀ならば、この結果にはならなかった……」
 そう、神滅超越者(ラグナロクエクセル)の刃が伸びていた……通常の三尺程度から、五尺程に……
 それは神滅超越者(ラグナロクエクセル)がオーラソードの類であったからこそできる芸当。
 だからこそ、後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)の間合いの外からの斬撃がメメントをザックリと斬り刳っていたのだ。
メメント「《キツネザルの使徒》がッ!……である!」
 ビキビキッ
 斬撃を喰らっている最中であるからして、メメントがかんなに競り勝つことは難しい。(力が入らないから)
 更に、後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)には(ヒビ)が入っていく。
 そして、遂に左右の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)が砕かれ、そのまま切り飛ばされたメメントは背後の机に激突するのであっ
た。
メメント「ガハッ」
與鷹(よたか)「今度こそ、やったか!」
 あ、それやってないフラグ……
メメント「《キツネザルの使徒》……」
総介「フッ、今日は逃げないんだな……」
與鷹(よたか)(はっ、そういえば……)
 確かに、いつもならばここで更に上位存在がストップをかけ、メメントらは撤退をする流れだ……
 しかし、今回はそうなっていない。
 その理由は至極簡単、上位存在の命により、今回敗北することは許されないからだ。
 と、なれば、このまま勝負はつくのか!?


続

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