Eighter -Midnight Howling-
30ther 〜闇影(やみ)ニ堕ツル深淵(アビス) D〜



#7
 一行の前に立ちはだかるのはオルタナチスXゲーヴォニリッヒのツートップ、黄金の王、白銀の王……ではなく
て金色のファルコ、白銀のミッシュ……でもなくて、金光のファルケ、銀光のアイングリフである。
 対するはかなり、かれん。かなり VS ファルケはかなりが優勢、かれん VS アイングリフはアイングリフが優勢
……果たして……
アイングリフ「よっと」
白拍子かれん「ちょっ」
 ふわりふわりと舞うようにかれんを翻弄し、軽々とかれんを吹き飛ばすアイングリフ
かれん「ぐえっ?!」
 どかっ、ぐりぐりぐりっ
 吹っ飛ばされたところに今度はかなりのヒールが背中に直撃
かれん「痛い、痛い、痛い!」
白拍子かなり「オ〜〜〜ッホッホッホッホ!無様ねぇ、かれん!アイングリフは強いからあなたの手に負えないっ
て言ったのに忠告を無視するからこういう結果になるのよ」
かれん「いや、一ッ言も言ってないでしょうが!」
 確かに、一言もそんなことは言ってない。
かなり「運で察知できると……あっ」
 と、そこで途端に可哀想な目でかれんを見るかなり。
かなり「そうね、かれん……あなたはもう……」
 空を見上げて目を潤ませるかなり
かれん「ちょっと、勝手に人を殺さないで!」
ファルケ「で、寸劇は終わったのか?」
かなり「あとちょっとだけ続くわ!」
かれん「続かないから!」
アイングリフ「まぁ、いいよ、死合の最中のちょっとした息抜きってことで」
 足をぶらぶらさせながら、番傘を担いで休憩しだすアイングリフ
ファルケ「アイン!」
かなり「で、どうするの?かれん?土下座して私にあの二人の相手をさせてくださいって言ったらジイさんの相手
をさせてあげるけど」
梓與鷹(よたか)(そ、それって、ジイさんの相手『も』って意味なんじゃあ?)
かれん「くっ、わかっ……って嫌よ!それ、私が二人の相手するってことじゃないの!」
かなり「チッ、少しは頭が回るようね」
 親指の爪を噛みながら忌々しげに呟くかなり。
かれん「いやいやいや、今の快く引き受けるってどんだけ馬鹿なのよ!」
かなり「あらん?どMなアナタには前から後ろから刺されるプレイがお好みじゃないのかしらん?」
かれん「だから、私はどMじゃないしッ!」
 ……前から後ろから刺されるプレイってのは別にいいのか……?
ラウ・ラ・ボディーヒ「あの二人はいつもああなのか?」
白拍子かんな「すいません、姉さんたちが……」
かなり「ほら〜、アンタのせいでかんなが申し訳なさそうにしてるじゃない」
かれん「いや、私が悪いわけじゃないでしょ、今の!」

#8
ファルケ「見るに堪えんな……」
アイングリフ「中将、やっちゃうの?」
ファルケ「当然、我らの任務はヒトラーの遺志を継ぐことにあり」
アイングリフ「まぁ、そうだね……そうなんだよね……」
 はぁ……と何やら乗り気ではないアイングリフ。
 しかし、オルタナチスのために敵は排除せねばならない。
ファルケ「ボルトチェンジ」
 爪を立てて振り下ろすとともに雷光が走る
アイングリフ「コスモパワー」
 番傘を銃のように構えてバァンと撃つ仕草をすると銀色の球体が打ち出される
與鷹(よたか)「おい、二人とも」
かなり「ほいっと」
かれん「ちょ、姉さん」
 バリバリバリッ
かれん「ぎゃぴ〜」
 かなりがかれんを突き飛ばす。すると丁度そこへ雷光が走り感電するかれん。
 一方かなりは真殺影刃を大鎌の形に変形させて銀色の球体をサラっと斬り飛ばしていた
アイングリフ「あ〜らら、交代するの?」
かなり「ええ、一方的に勝負が決まるのも面白くないでしょ?」
アイングリフ「まぁ、僕はどっちが相手でもいいんだけどね……」
ファルケ「フン、儂の相手はそこで痺れとる小娘になるというわけか」
かれん「ってか、いきなり何すんのよ!」
 かなりに突っかかろうとして、後が怖いと本能的に悟ったかれんは、その場でくるっと方向転換してファルケを
睨み付ける。
ファルケ「小娘……文句は儂を斃してからにせい!」
かれん「五月蠅いわね!とっととぶっ殺してやるから覚悟しなさい!」
 キィンッ
 最初からクライマックス!かれんは奠夷瑪(ディーヴァ)覚醒し予兆共鳴者(オーメンレゾナンス)をファルケに突きつける
ファルケ「む、この氣は……」
 かれんの代わり様に瞠目するファルケ
アイングリフ「では、僕たちも始めましょうか」
 番傘を担いでアイングリフが言う
かなり「ええ、かなりに逆らいしものには"死"を……楽に死ねるとは思わないことね!」
 かなりもかなりで女王禍(ジョーカー)覚醒し、アイングリフに大鎌を突きつける。

ファルケ「ボルテッカー!」
アイングリフ「ラスターパージ!」
 ファルケが拳を地面に叩き付けると地割れが巻き起こり、そこを伝って雷がかれんに走る。
 アイングリフが番傘を振り下ろすとその傘の部分がまるで脱皮したかのようにかなりめがけて飛んでいく
かれん「冽沍極舞刃(れつごきょくぶじん)!」
かなり「三途河魂渡(しょうずかたまわたし)!」
 かれんは冷気の刃で地割れと電撃の原子運動を止めて凍り付かせる。
 かなりは三回連続斬撃を繰り出し迫る傘を切り刻む

#9
與鷹(よたか)「互角……か?」
ラウ「確かに、さっきのこれはどう見ても一方的な死合……という流れではなさそうだが……」
ファルケ「なるほど」
アイングリフ「へぇ……これはまた……」
かれん(確かに、このジイさん相手ならば……)
かなり「さぁ、死狂イましょう〜〜」
一同「いやいやいやいや!」
 そんなのアンタだけだから……
 と、ともかく、この死合、仕切り直しで続く!


END

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