Eighter -Midnight Howling-
15ther 〜とある剣客の剣厄ソードカラミティ B〜



#3
 殺し合いゲームに巻き込まれたいさむ……だが、それを超運で察知したかんなは事態を収束せんと動きだす……果た
して……
雁過斗光木がんかと・こうぼく「貴様……」
雁過斗影木がんかと・えいぼく「何者?」
 それに対し、その男……かみ総介は胸ポケットから警察手帳を取り出して宣言する
かみ総介「警察だ!」
光木こうぼく「警察……だと?」
総介「そうだ……貴様のような奴専門のな……」
 そのまま総介は二人の背後を睨みつける
影木えいぼく「おい、貴様、どこを見て……」
*「はぁ……まさかこうも早く看破されるとは……」
 と、その時、二人の背後から声が
光木こうぼく「なっ?」
影木えいぼく「こいつ……」
 自分たち以外誰もいないと思っていた二人は驚愕に眼を剥く
総介「お前たちの言うところの『《キツネザルの使徒》を甘く見過ぎた』結果だ!」
光木こうぼく「貴様……」
影木えいぼく「何だ!?」
*「あ〜〜、もう、五月蠅い……アンタらは黙ってて……」
光木こうぼく影木えいぼく「がっ……うぐっ……」
 バタンッ
 ガタンッ
 そのまま二人を物理的に黙らせる場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ……
山咲やまざき桜「警部……あれが、今回の事件の首謀者……」
総介「場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ……人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー……」
桜「その能力は蠱毒こどくを精製する」
総介「フン、人間をベースにした蠱毒こどく……だがな……」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「分かっているなら話は早い……あの孤島は蠱毒こどくの器……殺し合い、最後に残ったものが蠱毒こどくとな
る……ふふふ……殺し続けないと出られない……」
総介「だが、殺し続ければ殺されたものを吸収し蠱毒こどくとして生まれ変わってしまう」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「分かっているじゃないか……」
総介「だが、黒幕たる貴様を殺せば全ては終わる……」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「出来るかな?……フフフ……」
 そういって人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカーは地面に伏す雁過斗がんかとを一瞥する……
 そのまま二人を真っ二つに両断し、それぞれ、右半身、左半身を喰らうと残った左半身、右半身をくっつける
 ……するとどうだろう……死亡していたはずのそれがむくりと起き上がる……
光木こうぼく「おおう……これは……」
影木えいぼく「我らがひとつに……」
二人「ククク……素晴らしい!すばらしいぞ!」
 双子の半身……彼らはこの時、一つになったのだ……蠱毒こどくとして……
 そして、故に彼らは……雁過斗光影がんかと・こうえいを名乗りだす……
総介「ふぅ……それが俺の相手か……」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「そうだよ……そして、僕は僕の蠱毒こどくを完成させる」
 ズダンッ
総介「させると思うか?」
 総介の放った藍后の刄ブルーエンプレス人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカーの近くの壁に突き刺さる
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「……ふふふ……まさか、一度に二人を相手にするというのか?」
総介「まさか……貴様の造った蠱毒こどくなど桜で十分だ……」

#4
桜「はい、お任せください、警部」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「あはははは……なんて滑稽なんだ……そんな人間の女に……」
 ズドゴガアッ
雁過斗光影がんかと・こうえい「ぐごはああっ」
 だが、次の瞬間、桜の掌底で弾き飛ばされる光影こうえいを見て、人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカーは考えを改めざるを得なくなる
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「何だと?」
 ゴキリと腕を鳴らし、桜の眼が怪しく光る
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「貴様は……一体……」
総介「余所見をしている暇があるのか?……余裕だな……」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「クッ」
 蒼王の刃ブルーロード人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカーの頬をかすめる
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「おのれ、人間パーツ風情が……」
総介「そんな風に侮っているからこんなことになるんだ……」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「チイイッ……」
 桜を戦力としてカウントしていなかった人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカーにしてみればこの展開は誤算以外の何ものでもない……
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー(しかし、何だ?あの変容……まるでスイッチが切り替わったかのような……)
 先ほどとはまるで別人……しかも、自分が生み出した蠱毒こどくと互角……いや、それ以上に渡り合っている
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー(有り得ない……)
総介「また余所見か……随分と余裕だな……臠蒼極連れんそうごくりん人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「くそっ……これが《キツネザルの使徒》か……」
 瞬時に繰り出される九回の斬撃を辛うじて回避して距離を取る人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー
総介「……やはりな……」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「あ?」
総介「貴様はどうやら個人で動いているようだな……」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「はぁ?」
総介「フン、分からないならいい……どうせ貴様はここでぶち壊される……」
人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカー「面白い!やってみろってんだ!」
 咆えると同時に飛び掛かる人蠱中の天造器ダンタリアン・メーカーを軽くあしらう総介……
 総介の言う、個人で動いているというのは、タブラ、メメントらの様に更に上位の場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツの指示によ
り動いているのではない……という意味である
 いわば、こいつは『はぐれ場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ』とか『はみ出し場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ』という感じなのだ……
光影こうえい「貴様には……必ず裁きのいかずちを落としてやる!」
桜「貴方如きには無理です」
光影こうえい「ほざけぇえ!正義の左、自由の右ッ」
 両手を天に掲げてそのまま一気に振り下ろす光影こうえい
桜「だから、無駄と言いました」
 ズドンッ
 しかし、桜のカウンターが光影こうえいを吹き飛ばす
光影こうえい「ぐ……ぐぅうう……」
桜「……そろそろ幕にしましょう……」
光影こうえい「貴様の死をもってしてなぁ!」
 そして、飛び掛かる光影こうえい……この死合……あとどれだけ続くのか?
※どっちが勝つのか……じゃないんですね……

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