Eighter -Midnight Howling-
12ther 〜とある黒遺の強奪レイダー B〜



#3
 ある日、東京都で起こった殺人事件……ホトケは『俺も、想像力が足らなかったのか……』と断末魔を残し、死
亡し、犯人を追っていた警官もまた、同様に『俺も、想像力が足らなかったのか……』と残して殉職した……
 一体、この事件、どうなっているのか?

 天四斗あまよと、Eighter本部
梓與鷹よたか「蹴り……いや、その後銃撃されている……?」
 総介が取りだした写真を見ながら與鷹よたかが首をかしげつつ答える
 靴跡と銃痕……しかし、何か妙な気がした……何が妙なのかが分からないため、こうやって與鷹よたかは首を傾げてい
るわけなのだが……
梔曹くちなし・つかさ「蹴りの後に銃撃を喰らったんなら銃弾の衝撃で靴跡は飛ぶんじゃないかと思うんだが……」
與鷹よたか「ああ、そういうことか……じゃあ、銃撃の後、蹴り飛ばされたのか?」
山咲やまざき桜「いえ、違います。これは銃撃と蹴り……それを同時に喰らったものです」
與鷹よたか「え?同時?」
つかさ「ああ、片方から蹴り、後ろから銃撃……ってそんな馬鹿な!」
 銃撃と蹴りを同時に繰り出す様を思い浮かべて即座に否定するつかさ。
 それもそうである。仮に前方から蹴り、後方から銃撃を同時に仕掛けたとあれば、ホトケは死ぬだろうが、前方
の襲撃者の足もタダでは済まない……
 まぁ、靴に鉄板でも仕込んでいるのなら話は別だが……そうなると、今度は銃弾が貫通しないはずである
 いや、貫通するのだが、鉄板に圧し戻されて体内に残るはずである。だが、写真では貫通しきっており、銃弾は
見当たらなかったのだ……
 ……そもそも、銃弾は蹴りが繰り出された方向から体内に侵入した……と分析されている。故に、前後から蹴り
と銃撃を浴びせたためこんなことになったとは考えにくい
かみ総介「厚底ブーツの厚底部分に銃を仕込み、ケリと同時に銃撃を行った……これが真相だ」
 ならば、一体どういうことなのか……と考えていると、それを察知したかのように総介が真相を告げる
與鷹よたか「……無茶するなぁ……」
 確かにそれならば蹴りと銃撃……同時に実施可能である
 ……ちなみに、足に火器を仕込み、片足上げて銃撃を行うってなロボットは存在するのだが……まさか人間でそ
れを実施するなどと……誰も想像できなかった
総介「次にコレだ……」
 続いて総介は犯人を追っている最中に殉職した警官の写真を見せる
総介「コイツはその大木につりさげられていた刃物が落下して……それに串刺しにされて死亡したそうだ」
與鷹よたか「待てよ、総……」
 最初期っぽい感じのアクションゲームで上空から振ってくる刃物を左右に動いて回避するってなものがある……
それのリアル版を不謹慎にも想像してしまい、いやいや、そんな馬鹿な……と即座に首を左右に振って考えを否定
する與鷹よたかであった。

#4
総介「ああ、こんなトラップを前もって仕掛けておくなどと、不可能だ……いや、現実的に無理だと言っているわ
けではない」
與鷹よたか「分かっている……追手がここを通るかどうかすら分からないのに……だろ?」
 総介の言いたいことを與鷹よたかが纏める
 相手がここを通って自分を追ってくるだろうという確信がなければこんな場所にトラップを仕掛ける意味がない
のだ。
 ……いや、そもそも、自分を追ってくる相手ではないものがここを通りがかったらどうするつもりだったのか?
 一人殺すことも二人殺すことも同じだと考えているのか……いや、そうではないだろう……
 ならば、追ってきた存在を確認してからここにトラップを仕掛けたのか……しかし、それでは追い付かれて逮捕
されてしまう……
 だからこそ、ここにトラップを仕掛けることは不可能だと総介は言ったのだ……
総介「そういうことだ。話が速くて助かる……」
 やれやれ、無能警官どももこれ位は頭を働かせてほしいものだが……と総介の悩みは尽きない。
桜「だから、警部はこの事件は何らかの異能……あるいは……」
與鷹よたか場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツが絡んでいる……と?」
総介「ああ、そう睨んでいる……」
與鷹よたか「やれやれ……ついこの間タブラやメメントを撃退したと思ったらもうか……」
総介「フン、ここで追撃を緩めるほど奴らも馬鹿ではないということだろう……」
つかさ「……いや、それってこっちが窮地に追い込まれている場合の話じゃなくて?」
 思わず突っ込みを入れるつかさであった。
與鷹よたか「……で、総、俺達への依頼ってのはレムリアを使って場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツの情報を検索し、かんなの神がかり
的な運でそのヒットした情報群からアタリを探してほしいってことか?」
総介「ちがう、そうじゃない……」
 首を横に振りながら、総介が語る
総介「奴らの狙いはレムリアを使う一行……つまり、お前達だ……」
桜「だから、ここでジっとしているよりは、出向いた方が出合う確率は高い……と、いうことです」
與鷹よたか「なるほどな……」
白拍子かんな「では、早速出向きましょう」
與鷹よたか「おっし、善は急げと言うしな……」
総介「フッ」
 ……善かどうかは知らんがな……と心の中で呟く総介。
 そんなことはともかくとして、Eighter一行は事件の元凶たる場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツを探すべく、出陣するのであっ
た

 東京都、某所
総介「見つけたぞ!」
 そして、かんなの超運をもってすれば狙いの場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツと出合うことはわけはない……
 それはかんなにしてみれば宝くじをバラで買う際、一等の番号から順に引き当てて買っていくことよりも容易い
出来事である
 ……果たして、目の前の存在……それが持つ……いや、それを操る場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツとは……


続

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