Eighter -Midnight Howling-
7ther 〜メダリストの愧死きし A〜



#0
 東京都、新宿で起こった婦女暴行事件……そこには場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ羅叉らさタブラの影が……
 そして、彼が次に眼を付けたのは事件の犯人の娘……
 かくて、総介ら一行は次なる凶行を阻止すべく、東京都へ向かったのであった……

#1
白拍子かんな「龍咬舞刃りゅうこうぶじんッ」
羅叉らさタブラ「……ふふん、蝕無戴漫しょくむたいまん」
 応龍おうりゅうに変幻する光の龍……しかし、タブラの繰りだす技の前にそれは無力
タブラ「勝ちに行くだって……」
 貴様の繰りだす技はこの通り、通じない……そんなことでよくも勝ちに行くなどと豪語できるものだ……とタブ
ラ……
かんな「……」
 だが、そんなタブラの挑発にも乗らず、かんなは静かに神滅超越者ラグナロクエクセルを構え直す。
かんな「鳳鸞舞刃ほうらんぶじん」
 ズドンッ
 平安をもたらす鳳凰を具現化し解き放つかんな
タブラ「無駄なことかもね……蝕無戴漫しょくむたいまんッ」
 しかし、やはりと言うべきか、平安をもたらす鳳凰もまた、タブラの繰りだす技の前に無力化される。
かんな「はっ」
タブラ「フン……」
 続いて間髪いれずに斬撃を繰りだすかんな……に応戦するタブラ
タブラ「技が通じないとわかったらもう、通常攻撃しかないかもね……」
 だが、人と場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツとの差は大きい……
 始めは攻勢だったかんなも次第に圧されていく
梓與鷹よたか「か、かんな……」
かみ総介「……」
 圧されつつあるかんなにハラハラする與鷹よたかと……それを冷ややかな視線で見る総介
與鷹よたか(……どういう……何かわけがあって苦戦を強いられているのか……)
 ……あるいは……苦戦しているように見せかけているのか……しかし、なぜ……
 ……考えられるとすれば……蝕無戴漫しょくむたいまんに対して強力なカウンターを仕掛けるためか……だが、一体どうやって…
…それは、かんなにしか分からない……

 ギンッ
 ギギンッ

 幾度、刃を交えてタブラはこんなことを考えていた……《キツネザルの使徒》……恐るるに足らず……最初から
蝕無戴漫しょくむたいまんを使っていれば……《キツネザルの使徒》を封じ込めていれば楽に斃せていた……
タブラ「……」
 ニヤリと狂気の笑みを浮かべるタブラ
タブラ「終わりかもね!《キツネザルの使徒》ッ」
 ガガガガガッ
 キュィ〜〜ンッ
 突然の猛攻……そして、神滅超越者ラグナロクエクセルを弾き飛ばす
與鷹よたか「かんな!」

#2
 まさか、かんなが神滅超越者ラグナロクエクセルを弾き飛ばされるなどと……予想だにしなかった與鷹よたか……
 ……しかし、そこは超運の持ち主、飛ばされた神滅超越者ラグナロクエクセルは、かんなのすぐ近くに突き刺さる
かんな「……満足しましたか?」
タブラ「何だと?」
 流石にその言葉にカチンときたタブラは怒りに任せて盲いた蘭学ブラインド・ダッチを振り降ろす
かんな「……」
 ギンッ
タブラ「なんっ……」
 しかし、その斬撃を神滅超越者ラグナロクエクセルをもって横に薙ぎ払うかんな。そのまま盲いた蘭学ブラインド・ダッチを弾き飛ばす
タブラ「しまっ」
かんな「麟廻舞刃りんねぶじん」
 更に続けざまに剣気によって麒麟を具現化しタブラに激突させる
タブラ「ぐぅうう……」
 麒麟の直撃を受け、吹き飛ばされるタブラ……しかし、奇しくも弾き飛ばされた盲いた蘭学ブラインド・ダッチの方へ吹き飛ばされ
ていたため、すかさず盲いた蘭学ブラインド・ダッチを手に取り蝕無戴漫しょくむたいまんで麒麟を無効化する
タブラ「ハァ……ハァ……」
 やってくれたな……とかんなを睨みつけるタブラ
総介(逆上させてその隙を突く……とある将軍が好きなスタイルだったな……)
タブラ「この僕の不意を突くとはやるじゃないか……だが、それもそこまでだ……今度はもうこのような失態は繰
り返さ……」
かんな「鳳鸞舞刃ほうらんぶじんッ」
タブラ「ぬんッ蝕無戴漫しょくむたいまん!」
 タブラが喋っている隙に攻撃を繰りだすかんな。
 なかなか意地悪な攻撃であるが、しかし、蝕無戴漫しょくむたいまんの前には無力
※いや、死合の最中喋り出す方が悪いんですけどね……
タブラ「言ったはずだ!不意打ちは二度も通じないかもねと!」
 そして、再び斬り結ぶかんなとタブラ……

與鷹よたか「総……」
 長引く死合を見守りつつ、與鷹よたかはタブラがそこまで強い存在なのか……と総介に聞いてみることに
総介「フン……敵を知り、己を知れば百戦危うからず……」
與鷹よたか「それは……?」
 敵の実力を見極め、己の力を客観的に判断して敵と戦えば、百戦したところで危機に陥るようなことはない……
という教訓だが……
総介(タブラはかんなの力を分析しつつ、攻撃を繰り出している……)
與鷹よたか(なっ)
総介(当然、かんなもそれに気付いている……)
 だから、なるべく力を温存して闘っているのさ……と総介が告げる。
與鷹よたか「……」
 確かに、先ほどから本気を出しているようには見えなかったが、まさか、そんな理由があったなんて……と與鷹よたか
は驚きを隠せない
※事実、かんなは茜瑙哭セドナ覚醒してないしね……(何?)
 ……そう考えるならば、先ほどのかんなの「満足しましたか?」という台詞は力を温存した状態でのデータは取
れましたか?という意味になる……
 全てはタブラの思い通りに進んでいる……と思わせておき、実はかんなの思い描いた通りに事が進んでいるとい
うことになる……
 かんな、恐るべし……

 ……かくて、死合は続く……


続

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