Eighter -Midnight Howling-
6ther 〜メダリストの慙愧ざんき B〜



#3
 東京都、新宿で起こった婦女暴行事件……
 この事件にも場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツが関与しているのか?

 天四斗あまよと、Eighter本部
かみ総介「……狂言號人くること・ごうとが婦女暴行の現行犯で逮捕された……」
梓與鷹よたか「なっ?それは本当なのか?総……」
山咲桜「警部が嘘をつくことはあり得ません」
與鷹よたか「……」
 いや、そんな(嘘を絶対付かない)人間なんていませんよ……桜は総介を妄信しているのでは……
 ……と、まぁ、そんなことは置いといて、話を進める総介
與鷹よたか「……しかし、驚いたな……」
枳篤からたち・あつし「ま、奴も一人の男だったってことだ……」
 と、会話に割り込んでくるのはあつしである。
與鷹よたか「あのなぁ、あつし……」
 俺はそんなことに驚いていたんじゃないんだよ……と與鷹よたか……そして、こう告げる
與鷹よたか「……號人ごうとには高校生の娘がいるんだが……」
 その娘、優佳というのだが、これが、號人ごうとを凌駕する物理法則を無視した攻撃を得意とする存在で號人ごうとは娘に頭
があがらないそうだ……
 そして、娘と同じ年ごろの女性に対しても恐怖を抱いているのだと言う……
総介「……やはり……か……」
あつし「いや、やはりって……何だ?」
桜「……先に誘ったのは彼女の方である……」
 ……女性の方は、仲間グループからハブられそうになっており、……再び仲間として見てもらうにはは援助交際
をしろとの仰せがあったとか……
 ……しかし、実際に援助交際をする……わけではない、ホテルに誘って写真を撮り、それを元に金をゆする……
所謂オヤジ狩りを行うことが本当の目的だった……
桜「……ですが、彼女は脅すことをせず、一夜を過ごしてしまったのです……」
あつし「……」
 これは、號人ごうとが有無を言わさず暴行に走ったため、脅す暇もなかったということではない。
 ……なぜか最後までいってしまったのだ……
総介「……そして、それだけではない……その女子グループの首魁に事情聴取をしたところ、奇妙なことを口走っ
た……」
與鷹よたか「奇妙なこと?」
 ああ、と、総介はここで一旦回想を行う

 東京都、警視庁、取調室での出来事

能生摂雫夢となむ「ん〜〜〜、ん〜〜、ん〜〜ん、ん〜〜〜」
 一種の犯罪者たる警官に目隠し、猿轡の上、手足をガムテープで縛られた彼女は、必死に私が何をしたって言う
のよ……と訴えていた……
総介「……」
 ……とりあえず、まずは彼女の緊縛をほどく総介
総介「……さて、話して貰おうか」
摂雫夢となむ「……どこよ!ここ?」
総介「警視庁だ」
摂雫夢となむ「ウソよ!警官が善良なJK女子高生を拉致監禁するなんて聞いたことないわ!JK常考!」
総介「……」
 だが、哀しいかな、それは現実なのである……
※いや、本当に哀しいけどね……

#4
総介「傾木蝶音かぶき・てふねを知っているな?」
摂雫夢となむ「……それが、何?」
 とりあえず、彼女を落ちつかせて、(彼女の『善良な女子高生』という点についても突っ込みたい気持ちを抑え
つつ)早速本題に入る総介
総介「彼女は、とある男性に暴行を受け、現在病院にいる」
摂雫夢となむ「……そ、そう……」
総介「……お前が彼女に援助交際をするように仕向けたんだろう」
摂雫夢となむ「し、知らないわ!私はそんなことッ」
総介「とぼけても無駄だ!」
 ダムっと机を強く叩き叫ぶ総介。
 そんな総介の気迫に押され、彼女はぽつぽつと自白する……
摂雫夢となむ「だって、仕方がないじゃない……私は……私は……あ、あれ?……私、どうしてあんなことを……」
 そして、急に頭を抱えて懺悔しだす摂雫夢となむ
総介(……何だ?これは……)
 その錯乱の様は異常だった……
摂雫夢となむ「違う……わたしはこんなこと望んじゃいなかった……どうして……どうして……どうして……?」
 その後も自問自答を繰り返す彼女……
 ……そして……
摂雫夢となむ「……そ、そうよ、こうなったのも全てはあのガキんちょ……あいつのせいよ……あいつが……あいつが…
…あれ?……私、あいつに何をされた……の?」

 ……と、ここで回想は終わる
あつし「単なる出まかせじゃないのか?」
 総介の回想を聞いて真っ先に意見するのはあつしである
桜「当初、警部もそう思っていました……」
総介「だが、そうも言っていられなくなった……」
 そうして、総介は懐から一枚の紙を取り出す
総介「こいつが、彼女が言っていた近所のガキんちょだそうだ……」
 バンと机の上にそのモンタージュを置く総介
與鷹よたか「総……こいつは……」
 ……それは、忘れもしない、人の姿をした場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ……羅叉らさタブラそのものであった……
総介「そういうことだ……彼女はコイツに唆された可能性が高い……」
 そして、更にそこから蝶音てふねを唆し……號人ごうとも唆され、今回の事件が起こった……
與鷹よたか「……なるほどな……」
 だからこそ、総介は今、ここにいる……
あつし「ってことは、レムリアでその場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツの詳細を調べてほしいってことなのか」
與鷹よたか「いや、それは無理なんだ……」
あつし「え?どうして……」
桜「場違いな白き遺物ポジティヴ・オーパーツの最高峰たるレムリアでは場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツを特定するのは難しいんです」
あつし「……あ、そうなの?」
與鷹よたか「ああ……」
 ……それは例えるならば、インターネットで単語一つで検索を行い、ヒットした情報群の中から自分の本当に欲
しい情報を探し出すようなもの……
あつし「……」
 そりゃ、無理だな……と思うあつし……
 と、そんな折、総介が口を開く
総介「……そこでだ……ひとつ頼みたいことがあるんだが……」
 ……総介はEighterに……いや、かんなとレムリアに一体何を頼むと言うのか……


続

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