Eighter -Midnight Howling-
6ther 〜メダリストの慙愧ざんき A〜



#0
 昔の栄光も、今や散り……いや、塵……
 おごる平家に光る平家、同じ平家ならエキセントリック・スーパーライジング☆サンという言葉もありま
して(いや、ねぇよ……)
 ……ともかく、これはそんな栄光を手にしたものの末路を描いたもの……だといいけど……
※何?この投げやりな感じ……

#1
 とある場所にて……
*「……まだ直らないんすか……」
 メメントのことをぽつりと聞きだす謎の少年……
※『治る』じゃなく、『直る』なのは別に誤字でもなんでもなく、対象が生物ではなく、場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツだから
 です
*「思ったより深手らしいね……」
*「そうか……じゃあ、アレ、僕に貸して貰えると嬉しいかもね」
 そして、そこにタブラが口を挟む
*「……アレってどれかしら?」
羅叉らさタブラ「アレはアレ……かもね」
 使われない道具に価値なんてない……とタブラ
*「……だ、そうだが、どうなんすか……」
 どうする?と少女に向かって少年は尋ねる
*「……まぁ、いいんじゃないかしら……」
タブラ「……じゃあ……行ってくるかもね」
 ニヤリと微笑むと、タブラはその場から立ち去って行く……

 ……と、こんなやりとりがあったのが数日前である……

 東京都、新宿某所、宿泊施設・夢島遊戯
警官「中川警部……こちらが通報を行った傾木蝶音かぶき・てふねでして……」
 布団にくるまってガクガク震える少女を見ながら警官が言う
中川邦武ほうむ「……で、あっちが婦女暴行の現行犯、狂言號人くること・ごうとか……」
 どこかで聞いたことがある名前だな……などと中川警部が考え込んでいると、突如、警官が叫びだす
警官「あ〜〜〜ッ」
一同「うおっ……びっくりした……」
邦武ほうむ「どうしたんだ、スネ……じゃなかった……ええと、何だ?一体?」
警官「狂言號人くること・ごうと……数年前のオリンピック、柔道無差別級男子の金メダリストじゃないですか……九州看護
福祉大の教授ですよ」
警官「そ、そう言えば、聞いたことがあるぞ……九州にその人ありと謳われた柔道界のバケモノ……そいつは、
まるで格ゲーのように物理法則を無視した技を駆使して華麗に相手から一本を取るという……」
※物理法則を無視した技で華麗に勝ちを取るなんてのは想像できないな……
警官「……話をまとめるとですね、狂言くること氏は街で見かけた傾木かぶき氏に寝技を教えてやるとラブホへ誘い込み……」
警官「休憩から一泊に延長しようと電話を駆けた際、傾木かぶき氏の悲鳴が聞こえたことから通報を行ったそうです」
邦武ほうむ「……そうか……」
狂言號人くること・ごうと「納得できない。合意の上だった……」
 怒りに満ち満ちながら、終始そんなことを呟く號人ごうと……
邦武ほうむ「ふん、とにかく、話は署で聞かせてもらおう……」
警官「……覚悟しておけ!アンタがどんな性癖でどんなプレイを要求したのか、事細かに語ってもらうからな!」
警官一同「いや、そこは根掘り葉掘り聞かなくていいから……」
警官「え〜、そんな困りますよ……」
警官一同「なぜ困る?」
 アンタ、猥談が聞きたいだけだろ!と一同の盛大な突っ込みが入るのであった……

#2
 東京都、警視庁
警官「中川警部……」
邦武ほうむ「どうした?……」
 警官が一人、驚きの表情で駆けつけてくる
警官「それがですね……傾木かぶき氏は学校の女子グループからハブられそうになっていた……と、いうことが分かりま
して……」
邦武ほうむ「で?」
警官「……それで、起死回生の手立てとして提示された条件が援助交際だったと……」
邦武ほうむ「何ぃ?」
警官「ってことは狂言くること氏の『合意の上だった』という証言は正しかったということなんですね!」
警官一同「……」
 いや、今そこに食いつくところでは無いから……と一行の冷たい視線が警官に突き刺さる
邦武ほうむ「おし、じゃ、早速その女に話を」
警官「フッ、中川警部……こんなこともあろうかと、問題の彼女は既に取調室に拉致監禁してあります」
警官一行「なんでだ!」
警官「無論、黒服にサングラスをかけさせ、クロロホルムで眠らせて覆面パトカーに圧し込み、警視庁まで届けて
貰いました」
邦武ほうむ「馬鹿野郎!それじゃあどこからどう見ても本当に拉致監禁の融解じゃないか!」
警官「いやぁ、一度やってみたかったんですよね……女子高生を拉致監禁って……」
警官「中川警部……こいつ、逮捕しましょう……」
邦武ほうむ「……ああ、そうだな……」

 ……と、そんな馬鹿なことはおいといて、中川警部は女子高生を拉致監禁するのが夢だったとかいうふざけた警
官を逮捕、書類送検し、意気揚々と拉致監禁してある……という取調室へ入る

邦武ほうむ「……」
 バタムッ
 だが、しかし、中川警部はその取調室のドアを開いた瞬間、閉じて回れ右を行う……
 それもそのはずである、取調室の中にはかみ警部がいたのだ……
邦武ほうむ(な、なんでかみ警部があんなところに?)
 特に何も疾しいことはないのだが、しかし、かみ警部が何を言い出すか分かったものじゃない……攫わぬ神……い
や、障らぬ神に祟りなし……と、そそくさと逃げ去ろうとしたのだが……
かみ総介「何か用があったんじゃないのか?」
 背後からかみ警部の声……更に前方からは桜
邦武ほうむ「……いや、あの……その、かみ警部……」
総介「フン、まぁ、いい……彼女を家に帰してやれ!」
邦武ほうむ「へ?」
総介「聞こえなかったのか?」
邦武ほうむ「あ……いえ……は、はい、分かりました……」
 ビシィっと敬礼を行い、中川警部は取調室に監禁されていた女子高生、能生摂雫夢となむさんを自宅まで送
り届けることとなった……
※ちなみに、彼女、女子高生を拉致監禁するのが夢とかいうふざけた警官に目隠しと猿轡をされ、さらに手足をガ
 ムテープでぐるぐる巻きの状態にされて取調室の中にいたそうです……
総介「……山咲やまざき、行くぞ……」
山咲やまざき桜「はい、警部……」
 ……そして、総介は桜と共に警視庁を後にする……
 行き先は無論、Eighter本部である……
 と、言うことは、この事件にも場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツが関与しているとでも言うのだろうか……


続

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