#0
……これはとある男の顛末を綴ったファイルである……その男……死期を悟り……世界の中心で……
しかし、そこに感動的展開など何一つ存在しなかった……そう、何一つ……

#1
東京都、鰐口総合病院・一室
医師「……残念ですが……もはや手遅れですね……」
＊「そ……そんな……ウチの息子が！？」
突如として告げられたその言葉に、一行は困惑……
医師「……もはや治す手立てがありません……」
＊「頼みます！！先生……どうにか息子を……治してください！！」
医師「……しかし……ですな……」
……問題の患者の名前は日足（ひだり）孝一……そして……親と医者との会話は……本来聞こえることは
無いはずいだった……
しかし……病室では……
日足（ひだり）孝一「……手遅れ……だと！？ハハハハ……治す手立てが……無いだって！？」
＊「……そんなこと……無いです……」
彼に付きっ切りでいる女性は江楠曾子（えだん・そうこ）と言う。
孝一「……いや……俺は分かるさ……もう……俺はダメなんだ……長く……ないんだ……」
顔を手で覆いながら話す孝一
江楠曾子（えだん・そうこ）「……でも……」
孝一「……だっけど……」
曾子（そうこ）「はい？」
孝一「……こんな場所で死ぬなんてウンザリだ……」
曾子（そうこ）「……そうですよね……出ましょう……こんな場所……」
余命幾許もないのならば……余生を無駄に過ごすよりも、充実した日々を送る……そう決めた孝一は曾子（そうこ）と
共に死出の旅に出ることにしたのであった……
ガシャンッ
ドタバタッ
ガタッ
医師「……何だ？騒がしいな……ここは病院だぞ……」
バムッ
そこへ勢いよく駆けつける看護婦が1人
医師「どうした！？患者の容体が悪化した……のか！？」
看護婦「た、大変です！先生！！223号室の患者さんが……」
医師「何ぃ！？」
＊「それって……」
それは言わずもがな、この者たちの家族……すなわち、孝一……話を聞いた限りでは脱走した……と言う
医師「脱走……！？」
看護婦「……はい、ベッドの上にこんな置手紙が……」
＊「貸してみろ！」
バッ
と手紙を奪い去る両親……そこには……
『余命幾許も無いってことはもう分かった……だから……俺は度に出る……俺はこんな場所で死ぬなんて
　ウンザリなんだよ……　日足（ひだり）孝一』
と書かれていた……
グシャッ
＊「くそっ！！なんてこった……先生……」
手紙を握りつぶし、医師を見る父親……
医師「先ほどの話を……聞かれていた……！？」
看護婦「……先生……」
医師「……だとしたら……なんて早とちりなんだ！！」

#2
かくて、病院側は総力を結集して孝一の捜索に乗り出したのだが……肝心の孝一はどこにも見当たらなかった
……
＊「……そもそも、入院させたのが間違いだったのでは……？」
医師「……ううむ……いや、しかし……」
……彼は一体どんな病気に罹っているというのか……いや、そもそも病気などではないのか！？
……だとしたら、何故彼は入院していたのか……あらゆる疑問はひとまずおいといて、家族の一行は捜索を
Eighterに依頼することにしたのであった……
・
・・
・・・
天四斗（あまよと）、Eighter本部
梓與鷹（よたか）「……病室から突如失踪した患者を探し出してほしい……？」
医師「ええ、そうなんですよ……ちょっと手違いが起きてしまって……患者が1人逃げ出してしまったん
　ですよ……」
※家族だけじゃなく、医者も来ておりますが、病院の方はどうするんですかね？
百鬼あろえ「いやいや、逃げ出すって……あのね……」
＊「おそらく、別室で会話していた内容を聞いて……勘違いした……んだと……」
與鷹（よたか）「勘違い……？それは……どういう……？」
医師「うむ、彼は、自分の余命が幾許もないと勘違いして病院から失踪した……と思われます」
置手紙にもそう記されていましたし……と語る医師
あろえ「……でも、実際は違う……と？」
＊「……そもそも、孝一は……重病なんかじゃあない……」
ちょっとアレだが……などと気まずそうに語る父親……
あろえ「じゃ、どういう……？」
医師「……はい……実はですね……」
かくて、ことの一部始終を語る医師
一同「は……なにぃいい！！！？」
その真実に、一行は驚きを隠せない
あろえ「ええええええ〜〜〜〜〜！！！！？そんな……えええええ！！！！？」
あろえはあろえでオーバーリアクションに驚く。
医師「いや、そこまで驚くことですか！？」
あろえ「いや、驚きますよ……これは……」
・
・・
・・・
と、言うわけで、依頼により、孝一を探すことになったEighter一行。
白拍子かんな「……」
與鷹（よたか）「どうした？かんな？」
かんな「いえ、ちょっとだけ気になることが……」
與鷹（よたか）「うん？」
……孝一は今どこにいるのか！？……そして勘違いとは一体！？また、かんなの言う、『気になる点』とは
一体……


続