Eighter -Grand Harmonise-
12ther 〜無双傾奇かぶき者の裔冑えいちゅう A〜



#0
ここは羅将門……修羅の門と対をなす天四斗あまよとの夕陽の名所……いや、『名所』というより『迷所』か……
ま、まぁ、そんなことは今はどうでもよく……そんな場所に彼女はいた……
これは……そんな『彼女』の物語……

#1
天四斗あまよと、羅将門
ギャリィンッ
*「うはあ!!?」
とある女性に襲いかかる漢……だが、弾き飛ばされる刀……
チキッ
*「……これから夕焼けを眺めるんですので、邪魔しないでくださいね……」
そして、微笑みつつも刀を突き付け、漢を退ける女性
*「あ、ああ、分かった……俺が……悪かった……」
流石に戦意を喪失した漢はすごすごと引き下がり、彼女は後ろを振り向き、夕日を眺める……のだが……
*「って、待てぇい!!お前……『盲目の松』だろうが!!眼の見えないお前がどうやって夕日を眺めるん
 だぁ!!!」
ズドムッ
*「へがはっ!!?」
渾身の突っ込みが炸裂するとともに、『盲目の松』の渾身の一撃が漢を吹き飛ばす。
*「眼ではなく、他の何かで感じること……」
……言い遅れたが、彼女の名前は前田松子しょうこ……かつて戦国時代に『天下一の傾奇かぶき者』と呼ばれた漢……
前田慶次の子孫である。
前田松子しょうこ「今日の夕焼けは何点かな……?」
再び静かになった羅将門で、松子しょうこは1人佇むのであった……
鮮血で〜染まったような空で〜なんだかHappy & Sa〜〜d♪(怖ッ)
※1/2……の替え歌。
・
・・
・・・
松子しょうこが暫く夕焼けを眺めていると……そこへ、何かの依頼の帰り道か、はたまた散歩だったのか……
いずれにせよ、いさむが通りかかる
某敢それがし・いさむ「む……?」
羅将門の中にて夕日を見る松子しょうこを見つけるいさむ
いさむ(このような危険な場所で……何をしているでござるか!?)
……夕日のせいか、松子しょうこは赤く輝いて見えた……いや、それは違う。彼女の服装は美しい夕焼けに負けない
ほどの赤い輝きを持っていた……
いさむ「お主……ここは羅将門……極めて危険な場所でござるよ」
とりあえず、忠告に参上するいさむ……
松子しょうこ「……分かっていますよ……この羅将門は修羅の門と対をなす場所……管理人は紗魏雪兎の弟たる
 紗魏黒兎……」
振り向かずに松子しょうこは答える。
※ってか、管理人とかいたんですね……(どうでもいい呟き……)
いさむ「そこまで知っているなら、尚更……」
と、いさむが言いかけた時、松子しょうこが喋りだす。
松子しょうこ「ここは天四斗あまよとで一番綺麗な夕焼けが見られる場所なんですよ……一緒にどうですか?……心が
 洗われますよ。……『真なる剣聖』の某敢それがし・いさむさん……」
いさむ「お主……拙者のことを!?」
振り向かずして自分のことを見抜く彼女にいさむは驚きを隠せない……
いさむ「しかし、拙者は剣聖と言うにはまだ遠く及ばないでござるよ……」
チキッ
一応明星幻爪に手をかけながら、いさむが答える
松子しょうこ「……そんなに自分を卑下することはないですよ……」
そんなに警戒しなくてもいいのに〜〜〜と松子しょうこ……しかし、いさむは未だ沈黙していたりする
松子しょうこ「……ああ、そういえば、まだ名乗ってませんでしたね……私は前田松子しょうこ……『盲目の松』……
 と言えばわかりやすいのかな?」
振り向きつつ松子しょうこいさむに自己紹介を行う

#2
いさむ「盲目の松……ならば、お主が……あの……」
松子しょうこ「ええ」
聞いたことがあった……自ら光を閉ざし、強さを求めた……女侍がいると……そして、彼女は戦国時代、
天下一の傾奇かぶき者として名を馳せた前田慶次の子孫である……と……
いさむ(心眼の剣客……『盲目の松』……でござるか……この御仁が……あの傾奇かぶき者、前田慶次の血を継ぐ
 もの……)
確かに、ド派手で、ド迫力な傾いた着物を着込んでいる松子しょうこ
松子しょうこ「『真なる剣聖』さん……ここで出会ったのも何かの縁です。お手合わせ願えますか?」
すっ
かくて、愛刀、千寿院村正に手をかける松子しょうこ
いさむ「……しかし、拙者は……」
女、子供を斬ることは出来ぬ……といさむ……
そんな躊躇ういさむ松子しょうこの表情が険しくなる
松子しょうこ「……私は侍。『天下一の傾奇かぶき者』・前田慶次郎利益としますの末裔。……そして、穀蔵院こくぞういん一刀流を今に伝える
 もの……」
シャッ
愛刀、千寿院村正を抜刀しながら叫ぶ松子しょうこ
松子しょうこ「私は女である前に侍……甘く見ないでください」
スラッ
その一喝を受け、死合を受理……抜刀するいさむ
いさむ「……承知した……某敢それがし・いさむ……参る!」
ダガッ
ズギャガインッ
一足飛びにかかる両雄。
松子しょうこ「だあああ!!」
ズムウッ
いさむ「ぬぅ……ぐ!?」
女とは思えない膂力の前に押されるいさむ
いさむ穀蔵院こくぞういん一刀流……太刀行きの速さとそこに込められた力だけが勝負を決する戦場の剣……心眼により
 相手を捕捉し、命中精度を上げているでござるか……)
さり気なく状況を分析するいさむ
松子しょうこ「はああ!!」
いさむ「ぬうん!」
ガギイッ
迫る刃を受け、そのまま組み合う両雄。
いさむ松子しょうこ「ぬうううう!」
ギリギリギリギリギリ……
いさむの心眼 VS 松子しょうこの心眼……2人の死合はどう展開する!?


続

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