Eighter -Extra Voyage-
80ther 〜燃え上がる柏ハカ〜



#0
 千葉県柏市で今一番ホットなのが柏ハカである。
 そして、これは柏ハカに情熱を注ぐ馬鹿者……もとい若者のエド・はるみ
※エ『ド・はるみ』じゃなく、エ『ピソード』……Good!じゃなくNo〜!だよッ!

#1
 千葉県、柏市某所
 その日、柏市市長をはじめとした多くの役員がそこに集められた。
*「今日集まってもらったのは他でもない今後、柏市では柏ハカを全面的に押し出していこうと思う」
 そう切り出すのは柏市市長、泊沢羅駕(とまりざわ・らが)である。
一同「柏ハカを?!」
泊沢羅駕(とまりざわ・らが)「そうだ。そこで、柏ハカを全面的に押し出すためにはどうすればいいかを話し合うのがこの会議の目的
なのである」
*「なるほど……」
羅駕(らが)「では、早速意見を出してもらおうではないか。なぁに、どんな些細な意見でも構わん。これはいわゆるブレ
イクストーキングというやつだな」
一同「……ブレーンストーミングですかね?」
羅駕(らが)「ま、まぁ、そうとも言うな」
※そうとしかいいません!いや、大丈夫なのか?!
 ともかく、ブレーンストーミングは始まった。
羅駕(らが)「まずは防音性に優れた場所であることは必要不可欠であろう!」
*「防音性ですか?」
*「まぁ、確かに大声を出しますからね……」
*「しかし、野外で防音性と言われましても……」
羅駕(らが)「野外……野外か……なるほど、そういうのもアリなのか……」
一同(え!?室内を想定していたの!?)
 まぁ、確かに、室内で練習するのも必要かもしれない。例えば雨の日とか……と一行は考える。
羅駕(らが)「他には何かないかね?」
*「撮影するサービスってのはどうでしょうか?」
羅駕(らが)「撮影?!……ううむ、そういう趣味の人もいるかもしれんなぁ……」
一同(趣味て……)
 なんかこの市長ズれてんなぁ……と一行は思いつつ、会議は進む。
*「そして、撮影した動画は配信するというはどうでしょう?」
羅駕(らが)「待て待て、それはダメだろ!個人で楽しむのはいいが、さすがに不特定多数に配信するのはいかがなものか
と私は思うぞ……」
一同「はぁ、そういうもんですかねぇ……」
 撮影はOK、でも配信はNGと強く訴える羅駕(らが)。何がそこまで彼を突き動かすのか、それは誰にも分からない。

#2
*「市長!設備を充実させるのもいいですが、呼び込むための施策というのも必要ではないでしょうか?」
羅駕(らが)「呼び込むための施策……確かに、それも必要か……」
*「具体的にはCMとかですかね?」
*「いや、PR映像っていうのもアリなのでは!?」
*「いいや、HPに掲載するのは?」
羅駕(らが)「HPかぁ……しかし、誰のHPを使うんだ?」
一同「いや、柏市のHPですが?」
 個人のHPに乗せても誰も見ないでしょ〜がッ!と一同が盛大に心の中で突っ込んだ瞬間だった。
羅駕(らが)「なっ、市のHPがあるのかッ!」
 いや、ないってことはないでしょ……本当に何言ってんだ?コイツという視線が羅駕(らが)に突き刺さるが、当の本人
はカエルの面に水であった。
*(ってか、誰だよ、コイツを市長にしたの!)
*(俺が知るかよ!)
*(今からでも遅くないから市長を決め直した方がいいんじゃね?)
*(そうだな、今度はマトモな奴になればいいが……)
※と、いうか、羅駕(らが)は選挙で決まった市長なんだから柏市の総意がコレなんじゃねぇの?

 その後も会議は踊り……日が暮れるころ、漸く会議は終結を迎えることとなった。
羅駕(らが)「よし!では会議を終える!これで柏ハカを全面に押し出す政策が決まったな!あとは実行あるのみだ!」
一同「は、はぁ……それはよかったですねぇ……」
 やる気が漲る羅駕(らが)に対し、他のメンバーは疲労困憊と言った感じだ。
 さもありなん。ことあるごとにトンチンカンなことを言いだす羅駕(らが)に、突っ込んでいては身が持たないのは必定
なのだ。
 では、突っ込まなければいいのでは?という人もいるかもしれないが、突っ込まずにはいられない……と、いう
わけだったのだ。
一同(クソッ、本当に誰だよ!コイツを市長にしたのは!)
※いや、だから柏市の総意で決まったのが彼なんじゃないの?!
 だが、しかし、本当の悲劇はここから始まることをこの時誰も知らなかった。
 そもそも、会議の中でなんかズレてるなぁ……ということに疑問を持てばよかったのかもしれない……誰かがソ
レを正せばよかったかもしれない……だが、全ては手遅れだ。
 すべては遅きに失したのだ。

#3
*「なぁ、俺たちそろそろ付き合って三ヶ月だろ?だから、そろそろ……いいだろ?」
*「……う、うん……」
 そうして見つめあう二人はホテルへ足を運ぶ。
*「初体験は柏市で!柏市で初夜を迎えましょう!」
 そして、そんなナレーションで〆られる。
一同「なっ、なななな!?なんだこれぇ!」
 そう、これが羅駕(らが)が密かに撮影したPR映像であった。
*「ちょ、ちょっと待ってくれ!あれを見ろ!」
 そして、それだけではなかった。
 いつの間にか建設されていた建物がズラリと姿を表す。それらは全部ラブホテルであった。
*「ど、どういうことだ、これは!?」
羅駕(らが)「うんうん」
 と、そこへ満足気な顔をして羅駕(らが)が登場する
一同「市長、い、一体これはどういうことなんですか!?」
羅駕(らが)「何を慌てているんだ?」
*「いやいや……」
 市長こそ何を言っているんですか!と叫ばずにはいられない一同
*「あっ、あああっ!ああああっ!」
一同「ど、どうした!?」
*「『ハカ』ってそっち……」
 と、ここで一人が真実に気づく
 そう、市長が目指したのは柏ハカではない。柏破瓜だったのだ!
 こうして、大々的に宣伝されてしまった結果、柏氏で初体験を済ませるのが若者の間でステータスとなってしま
うことになるのだが、それはまた別の話である。


END

前の話へ  戻る  次の話へ