Eighter -Extra Voyage-
74ther 〜闇炎(やみほむら)の秘密に迫る A〜



#0
 島友近(ゆこん)、彼女は(かく)眼同盟の一員で噂によるとさる財閥の一人娘だという。
 彼女自身は小柄だが、その身の丈に似合わない不釣り合いな豪刀・闇炎(やみほむら)を事もなげに扱うバケモノでもある。
 そして、今回はそんな友近(ゆこん)の謎に迫るエリ・デルト
※エ『リ・デルト』じゃなく、エ『ピソード』……エストポリスシリーズ氷系最強魔法!?

#1
 天四斗(あまよと)、某所
島友近(ゆこん)「……今回も簡単でしたわね」
 とある仕事の帰り道にて、ぽつりとそんなことを漏らす友近(ゆこん)
伊達宗美(むねみ)「そういやぁ、友近(ゆこん)……アンタ、刀を抜くことは見たことあるけど、使った所を見たことがないな」
 まぁ、大体の場合は小柄な友近(ゆこん)が大柄な闇炎(やみほむら)を抜刀してウフフと殺気のこもった笑顔を放った段階で相手が降参
してしまうので使う機会がない……と言った方が正しいかもしれない。
 ただ、それなりに修羅場を潜った敵が相手であれば、その限りではない。
 それでも、友近(ゆこん)闇炎(やみほむら)で敵を斬るところを見たことがない……と宗美(むねみ)は常々思っていた。
 流石に飾りというわけでもあるまいし……だからこそ、宗美(むねみ)は余計に気になっていたのだ。
宗美(むねみ)「どうしてなんだ?」
友近(ゆこん)「それは、秘密ですわよ?」
宗美(むねみ)「どっかの謎の獣神官(プリースト)みたいなこと言わずに教えろよ〜」
友近(ゆこん)「女は秘密を着飾って美しくなるものなのよ?」
宗美(むねみ)「裏切りは女のアクセサリーとかそんなのいいから」
友近(ゆこん)「いや、誰もそこまでは言ってませんわよ?」
 なんかイマイチ会話がかみ合っていないような気がする。
 さておき、ここで引き下がるような宗美(むねみ)ではない。
宗美(むねみ)「なぁ、いいだろ?減るもんじゃないし……」
柳生兵子(へいこ)「長く話せばお腹が減ります」
宗美(むねみ)「うおう!?びっくりした」
 突如そこへひょっこりと現れる兵子(へいこ)宗美(むねみ)友近(ゆこん)も驚きを隠せずにいた。
 なんてことはない。(かく)眼同盟本部はもうすぐ目の前なので、出迎えに来たということだった。
友近(ゆこん)「はぁ……まぁ、いい機会ですし、話してあげてもよくってよ?」
宗美(むねみ)「おう!洗いざらい話してくれよな!」
 上から目線なのが気になるが、話してくれるのならば、好都合。
 と、いうわけで、(かく)眼同盟本部に戻って、みんなと合流したところで詳しく話を聞いてみることにする。

#2
 これは、まだ友近(ゆこん)が幼かったころの話……
※何歳のころかとは決して言わない。(うぉい!)
*「クッ、やはり、ダメか……」
 頭を抱える一人の男性。
 彼の名は友近(ゆこん)の父・島樽乃(そんだい)である。
 そんな彼の懊悩をよそに、無垢な表情ではてな?と首を傾げる幼女がいた。言うまでもないロリ友近(ゆこん)である。
※いや、幼い頃の友近(ゆこん)を『ロリ友近(ゆこん)』と表現するのはどうかと……樽乃(そんだい)「急がねばならないようだな……」
 決意を一つ胸に秘め、彼は娘とともにある場所へと向かう。

 京都府、金枝業物店
金切(しょう)「おや、あなたは……」
 そちらは娘さんですかね?と続ける(しょう)樽乃(そんだい)「まずはコレを!」
 ドカリとぶっきらぼうにジェラルミンケースを放り出す樽乃(そんだい)
(しょう)「これは……」
 訝しみつつも、ケースの中を確認する(しょう)(しょう)「なっ、これはッ!」
 その中には真っ二つにへし折られた刀が一本入っていた。
(しょう)「先日あなたにお渡しした灰炎(はいほむら)ではありませんか!?」
 一体何が!?
 この灰炎(はいほむら)豪覇殲桜剣(ごうはせんおうけん)ベルダ・ゼイドラなる西洋の重量兵器クラスの大剣を鍛え直して作り上げた傑作。
 それがこうも簡単に破壊されるなどと尋常なことではない。
樽乃(そんだい)「言っとくが私がやったのではないぞ?」
(しょう)「それはッ……第一、この刀はあなたの娘さんのために鍛えた……なっ、ま、まさかッ!?」
 そのまま驚きの表情を隠さず、思わず友近(ゆこん)を睨みつける。
友近(ゆこん)「ひっ」
 鬼気迫る表情に思わずロリ友近(ゆこん)は父親の後ろに隠れる。
(しょう)「信じられん……」
樽乃(そんだい)「それは、私も同じだ……」
 だが、娘は、灰炎(はいほむら)を一振りしただけで、この様よ……と、もはや笑うしかない樽乃(そんだい)であった。
(しょう)「……では、まさか、今日ここへ来たのは……」
樽乃(そんだい)「ああ、娘のためにもう一振り刀を打ってほしい」
(しょう)「……」
 即答しかねる(しょう)。
 それもそのはずだ。同じように刀を打っても、友近(ゆこん)の膂力の前では同じ結果となるだろう。
樽乃(そんだい)「それでもだ!」
 そして、樽乃(そんだい)はもう一つケースを放り投げる。
(しょう)「これは!?」
 そのケースの中にあったのは、これまた折れた一振りの刀。
 それは墨炎(すみほむら)……島左近(さこん)の愛刀であり、生涯ともにあった刀とかいいつつ、とある作品では呆気なく破壊された代
物である。
 これをベースに鍛え直してほしいというわけだ。


続

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