Eighter -Extra Voyage-
55ther 〜新型車空を行く! A〜



#0
 車が空を飛ぶのはもう、夢物語ではないかもしれない!?
 空を飛ぶ車の実用化に向けて、日々、開発を行う熱き男たちの物語……と、行たいところだが、残念ながらそう
ではなく……
 と、とりあえず、空飛ぶ車に関するエビル・S
※エ『ビル・S』じゃなく、エ『ピソード』……クロスボーン・バンガードの偵察用量産MS?

#1
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
 ある日、與鷹(よたか)がニュースサイトを何気なく見ていると、そこには空飛ぶ車の開発に関する記事が書かれていた。
 と、その時、そこへ一人の漢が殴り込んでくる
※いや、殴り込んでは着てないけど……
西塚秋晴(しゅうせい)「フッ、久しぶりだな、諸君!」
一同「アンタは!?」
 忘れもしない、いつだったか青色LEDの開発に触発されて役立たないガラクタLEDを無数に持ち込んできた自称天
才発明家だ。
梓與鷹(よたか)「えぇと、何の用ですか……」
 明らかに嫌そうな顔をしつつ與鷹(よたか)が訪ねる。
 失礼極まりない態度ではあるが、さして気にしてない様子の秋晴(しゅうせい)であった
 寛大なんだか、どうでもいいのか……多分後者だ。
秋晴(しゅうせい)「時代は空なのだよ!」
與鷹(よたか)「は、はぁ……」
 いきなりそんなことを言われても何の事かわからない一行
秋晴(しゅうせい)「いつまでも『陸A海-空-宇-』ではダメだ!これからは『陸A海-空A宇-』が標準であるべきだ!」
 どうでもいいけど、なんでスパ□ボ基準で話すんだ?
百鬼あろえ「つまり、どういうことですか?」
秋晴(しゅうせい)「ふっ、これだから凡百は困る」
あろえ(こいつムカつく!)
與鷹(よたか)(お、抑えて、堪えて……)
 ヤレヤレといった仕草の秋晴(しゅうせい)に、キれかかるあろえ、そこをなんとか抑え込む與鷹(よたか)であった。
秋晴(しゅうせい)「ならば、答えてしんぜよう。車だ!」
あろえ「は、はぁ……」
與鷹(よたか)「車……ですか……」
 奇しくも與鷹(よたか)は先ほどまで空を飛ぶ車の開発に関する記事をニュースサイトで見ていたため、ピンと来た。
 今度はソレに触発されて、またとんでもないものを作って来たんだろうな……と
秋晴(しゅうせい)「ここでは狭いから外に来てくれ」
あろえ「狭くて悪かったですね!」
與鷹(よたか)「おいおい……」
 カチンと来るあろえを再び宥めにかかる與鷹(よたか)であった。

 さておき、一行が外へ出ると、そこには車が三台止まっていた。
※ここまで持ってきたんかい……
一同「……」
 そして、一行がまず目にしたのが奇妙奇天烈な一台。
 他の車との差は一目瞭然のその車には、ドラ〇もんに出てくる秘密道具の一つ、タケ〇プターを馬鹿デカくして
取りつけられていた。

#2
秋晴(しゅうせい)「ほほう、まずそれを見るとはなかなかお目が高いな。こいつは発明No.38826、トベルンデス」
一同「飛べるんです……?!」
 まるでインスタントカメラみたいなネーミングだった。
秋晴(しゅうせい)「空を、自由に〜飛ぉ〜びたいなっ♪と言われて真っ先に思いつくのがこの形状ってことで作ってみたのがコ
レだ!」
 いや、なんで歌うんだよ……
與鷹(よたか)「いや……確かに、その……」
 だが、これは見るからに失敗作というしかない。そもそもヘリコプターを思い出してほしいが、プロペラ一本で
空を飛ぶことはまず不可能だ。
あろえ「ってか、これ、トンネルくぐれないでしょ……」
 そして、見るからに失敗作であることの第二の突っ込みどころがそこだ。
秋晴(しゅうせい)「フッ、そこが素人の考えの浅はかさよ……なぜ、空を飛べるのに地上のトンネルを進まなくてはならないの
か?」
一同「……」
あろえ「ってか、この車、本当に運転できるんですか?」
 もっともな疑問を投げかける
秋晴(しゅうせい)「無論だとも!」
 そう豪語して辺りをきょろきょろを見渡す秋晴(しゅうせい)秋晴(しゅうせい)「おい、助手、出番だぞ!」
*「あ、はい……」
 バカっと車のトランクが開いたと思ったら中から女性が出てきた。
 ってか、なんでそんなところに居たの?!ってか、どうやって中からドア開けたの!?とか疑問が尽きないが、
そんなことは彼女の姿を見た瞬間に吹き飛んだ。
 なぜから、彼女はバニーガールのコスプレの上に白衣、更にどこからどう見ても首輪としか思えないチョーカー
という謎の恰好をしていたからだ。
秋晴(しゅうせい)「紹介しよう、彼女は私の助手、嘘言(うそいえ)うさぎ君だ!」
一同「嘘だと言ってよ、(バーニィ)……」
 思わず突っ込んでしまうほどに、それ、偽名だろ!って思う名前だった。
秋晴(しゅうせい)「早速トベルンデスを動かしてくれたまえ」
嘘言(うそいえ)うさぎ「あ、はい……」
あろえ「あなたは運転しないんですね……」
秋晴(しゅうせい)「フッ、何を隠そう私はペーパードライバーでね。もうすぐゴールド免許になるから、こんなところで事故る
わけにはいかんのだ!」
一同「あ、そうですか……」
 謎の理由だった。
うさぎ「ええと、ではいきますよ……まずこうして車の上のプロペラを回すことにより宙を浮きます」
 バラバラバラバラバラバラッ
うさぎ「車体が回転しそうになったところですぐさまプロペラを逆回転させ、車が落下しそうになったらすぐさま
回転を戻します。これを繰り返すことでブレなく宙を浮くことが可能となります。ね、簡単でしょ?」
一同「……」
 それは、右足を前に出して右足が沈む前に左足を前に出して、左足が沈む前に右足を前に出して……を繰り返せ
ば水上を歩けますよと言っているようなものだった。


続

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