Eighter -Extra Voyage-
42nder 〜勝負師(ギャンブラー)と探偵業と C〜



#5
 ホテル四季で起こった殺人事件……そこに居合わせた玄人(バイニン)御水駈王流(みみずく・おうる)は探偵を(かた)って殺人現場へと踏み込む。
 かくて、王流(おうる)の新たなる博打への道は……開かれる……?
警官「探偵!?」
愛神核羅(かくら)「はい、私は助手で〜〜す」
 突然そんなことを言われ、驚きを隠せない警官……しかし、探偵ならあるいは……などと考えたこの警官はその
まま2人を部屋の中に招き入れることに……
 ガチャッ
警官「あまり荒らさないで下さいね」
御水駈王流(みみずく・おうる)核羅(かくら)(ちょろいちょろい)
※この警官、この2人が犯人だったり……とか、そんなことを考えないのですね……これだから総介あたりに無能
 警官などと言われるのだが……それは置いておく
王流(おうる)「さてと……」
 そして、件の金庫を前に、王流(おうる)は呟く……
王流(おうる)「……殺された男の名前って……誰だったっけ?」
核羅(かくら)「ん〜〜っと……會野(おの)……隆夫だったような……」
 首をかしげつつ核羅(かくら)が言う
王流(おうる)「……そうか……おのたかお……っと……」
 そのまま王流(おうる)は携帯を取り出しメールを打ち出す
王流(おうる)「……ふぅん……」
 ニヤリ……とする王流(おうる)
核羅(かくら)「どうしたの!?」
王流(おうる)「よし、行くぞ」
 ガッ
 と、金庫を持って部屋から出る
警官「あ、ちょっと待て……君……」
王流(おうる)「1階のロビーだ……」
警官「は!?……」
王流(おうる)「犯人が……わかったんだよ!」
警官「え……えええ!!?」
 唐突な宣言……それに警官はびっくりして大声を出すしか出来なかった……

 天四斗(あまよと)、ホテル四季、1Fロビー
志摩椅埴亜(いじえ)「お!?何だ?お前等?部屋の警備はどうした!?……その男女は!?」
警官「志摩警部……こちら、探偵さん……どうやら犯人が分かったって……」
一同「何いぃ!?」
 その発言に、ロビーに居合わせた一行も驚き、大声を出す
小池康雄「ほ、本当に……分かったってのか!?」
 適当なことを言っていると承知しないぞ!とやけに食らいつく康雄……その反応に野次馬もやっぱりホモだ!な
どと騒ぎ立てるのだが……この際無視しておこう
王流(おうる)「ああ、何もかも、全てな……全てはこの金庫の中にある……」
 どど〜〜んと金庫を皆の前に提示する王流(おうる)
康雄「ハハハ……何言ってる、アンタ……その金庫はヤツ以外にあける方法を知らないんだよ……」
王流(おうる)「隆夫氏は自分が一番だと思っていた……そうだろ?」
藤堂冨二「あ、ああ……」
王流(おうる)「……やはりな……自分以外何も信じていない……そんな漢だったってわけだ……」
康雄「それが……何だってんだ!?」
 今はそんなことを話している場合では……ないだろう?と康雄

#6
核羅(かくら)「……だったら、金庫の暗証番号も当然自分の名前……」
冨二「おいおい、表示部分は7SEGLEDだぞ!つまり、数字以外は表示できないってことだ!」
椅埴亜(いじえ)「……また随分マニアックな指摘を……」
 志摩警部もポツリと漏らす
王流(おうる)「そこで携帯だ……」
一同「携帯!?」
 と今度は携帯を取り出し見せる王流(おうる)
核羅(かくら)「数字の隣にアルファベットがあるでしょ?」
警官「ああ……ってまさか!?」
王流(おうる)「おう、『おのたかお』……つまり、66682526」
 ピポパポパッ
 そう言いながら暗証番号を入力していく……
康雄「や……やめッ」
 ガチャッ
一同「な、何と!!!」
 友との遺言を守りたいがために康雄が叫ぶ……が、しかし、暗証番号はそれで正しく、金庫は開く
康雄「てめぇ!何勝手に開けてやがんだ!!!」
王流(おうる)「その怒りはおかしいぞ……『もし暗証番号が間違っていて、中身が消失してしまったら、どう責任をとって
くれるんだ?』と言うべきだ……」
康雄「そ……それは……」
警官「……た、確かに……」
王流(おうる)「つまり、アンタは、この中のモノを公表したくなかった……いや、消滅させてほしかった……ってワケだよ
……」
 がぱっ
 そのまま金庫を開け、中身をみなみ見せる
警官「なっ!?これは……!?」
 それは……血のついたナイフ……
王流(おうる)「見ての通り凶器のナイフだ……隆夫を殺した凶器……」
冨二「なっ!?なんで……そんなものが!?」
王流(おうる)「簡単な道理だ……犯人がここに隠したんだよ……隆夫以外パスワードをしらない金庫……無理に開ければ中
身が爆破する……絶対に安全な場所としてな……」
警官「……じゃ……犯人は……」
核羅(かくら)「この金庫を持っていた……っていう康雄さん」
康雄「ち……違う……」
王流(おうる)「いや、アンタが犯人だ……彼女を隆夫に奪われたって言っていた……動機は十分だ……」
冨二「な……にぃ!?」
 別れたんじゃ、無かったのか!?と今更そこに驚く冨二……
 ……かくて、殺人罪で小池康雄は逮捕された……

椅埴亜(いじえ)「いや、お見事ですな……探偵さ……あれ!?……おい、探偵とその助手は!?」
警官「へ!?」
 気が付けば……王流(おうる)核羅(かくら)はその場にいなかった……

#7
王流(おうる)「犯人を当てるってのはロン牌当てるより面白ぇな……おっし!決めたぜ!俺は探偵になる!犯人を当てるっ
てぇのは博打よりもギャンブルだぜ」
核羅(かくら)「私も私も」
王流(おうる)「OK」
 ……こうして不純な動機から王流(おうる)玄人(バイニン)から探偵へと転身したのであった……以後、彼は運と力とオヒキの力を
借りて玄人(バイニン)の鉄則に従い数々の事件を解いたというが、それはまた別の話である。


END

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