#0
　大剣丹(おおつるぎ・たん)曰く冥時(みょうじ)千之助は元石飛関(ウォンソ・フェイガン)に斃されたという……
　……では、一体、どうして、千之助は飛関(フェイガン)と死合うことになったのか……今回はそんな経緯を綴ったエピブラス
ト
※エピ『ブラスト』じゃなく、エピ『ソード』だからッ！！ってかシルエットですか！？

#1
　……事は……今より10年ほど前に遡る……
　天四斗(あまよと)、冥時(みょうじ)家
＊「何？！……日本を……去るじゃと！？」
　息子、千之助の言葉を繰り返すは、冥時(みょうじ)家の当主……冥時志明(みょうじ・しめい)
冥時(みょうじ)千之助「……ああ、もう、この日本に俺に勝てるヤツぁいねぇ……」
冥時志明(みょうじ・しめい)「お前、本気で言っているのか！？」
千之助「当たり前よ……」
　井戸の中の蛙発言に驚きを隠せない志明(しめい)であるが、当の本人は自分が最強であると信じて疑わない様子だ。
志明(しめい)「……」
千之助「癒(いゆ)の奴も、もういねぇ……だったら、俺をこの家に縛り付ける理由なんてのは無いハズだ……」
　冥時癒(みょうじ・いゆ)とは無論のことながら、千之助の妻であり、萌と萎の母親である。（既に故人）
※そして千之助の発言からも分かる通り、彼は婿入り婚で冥時(みょうじ)家にやってきた人物だ。
＊「考え直していただけませんか？」
　説得を試みだしたのは癒(いゆ)の姉、冥時病(みょうじ・やみ)である。
※癒し、病み、萌え、萎え……この四人凄いネーミングだな……
千之助「嫌だね！」
　それに、俺はこう見えて妹萌えでな、癒(いゆ)の姉である貴様の指図なんてまっぴらごめんだ！とか言い出す千之助。
　……なんでこのタイミングでそんなカミングアウトしちゃったの！？
冥時病(みょうじ・やみ)「……だったら私の屍を超えて行ってもらおうか！」
　ついイラっときて思わずそう啖呵を切る病(やみ)であった。
志明(しめい)「待たんか！」
　今にも襲い掛からんとする病(やみ)を止める志明(しめい)。
志明(しめい)「最後に一つだけ聞くぞ……冥時(みょうじ)の家を出る……そういうのだな？」
千之助「おうよ！」
志明(しめい)「……そうか……ならば……好きにするがいい……」
　最早是非もない。二度と冥時(みょうじ)の家の敷居をまたぐではない！と言い捨てる志明(しめい)
志明(しめい)「だが、覚えておけ……千之助……お前の剣腕は確かにずば抜けている……しかし、それ故に……お前はその
力により身を滅ぼすであろう……」
千之助「フン……下らんな……」
　ザッ
志明(しめい)「……愚か者が……」
　千之助の姿が見えなくなってから志明(しめい)はぽつりと呟く……

　中国、河南省
　若くして元屠歳殺(げんとさいさつ)流を極めた（と本人は勝手に思い込んでいる）千之助は単身大陸へと渡っていた……特に何か
理由や目的があったわけではなく、ただ、何の気もなく、中国へと渡っていたのである……
　ザバシュアッ
＊「うごおおおああ！？」
千之助「……何だ！？他愛無い……中国拳法やら剣術というのも所詮はこの程度か……」
　そして、そこで、千之助は毎日のように、強者を求めては死合い、屠っていた……
千之助「……やはり……ここにも、元屠歳殺(げんとさいさつ)流に敵う相手などいないか……」

#2
　一週間もたたないうちに、中国での興味を無くした千之助は、次なる修羅の地を求めて、中国を去ろうとしたの
だが……そこに、声をかける漢が一人
＊「待たれい！！」
千之助「ああ！？」
＊「お前……よほど自分の腕に自信があるようだな……」
　……ちなみに、言わずもがな、千之助に話しかけてきたこの漢こそが元石飛関(ウォンソ・フェイガン)である
千之助「当たり前だろ……でなきゃこんなところまで来ねぇ……」
元石飛関(ウォンソ・フェイガン)「ならば、我が相手となろう……」
　我が名は元石飛関(ウォンソ・フェイガン)……と名乗りを上げる飛関(フェイガン)
千之助「ほぉう！？お前が……！？」
　チャキッ
　現れたる挑戦者に対して嬉々として左右の刀を構えなおす千之助。
　……これは元屠歳殺(げんとさいさつ)流、双屠(そうと)の陣である
※単なる二刀流じゃん！って言わないで……
千之助「……どうした！？……武器を取れよ……」
　しかし、いくら待てど暮らせど、武器を手に取らない飛関(フェイガン)……見たところ徒手空拳と言うわけでもなさそうなの
で怪訝に思っている千之助
飛関(フェイガン)「……」
　そして……飛関(フェイガン)が持ち出したるは柄のみの剣であった……
千之助「……笑わせる……これは遊びじゃないんだ……」
　一笑に付したその時、飛関(フェイガン)が呟く
飛関(フェイガン)「……達到道路了的極限的武人不有武器(道を極めた武人は武器を持たない)……擁有自己殺气変成也中止千鈞的鋼鉄的刃(己の持つ殺気が千鈞の鋼をも断つ刃となる)……我が師の教えだ……」
千之助「……」
※ちなみに飛関(フェイガン)の中国語は……正しいのか未検証です。違っていたら教えてね。（をい……）
飛関(フェイガン)「花朗美刃(ファランメイレン)を受けてみよ！」
　ゴギャギンッ
　一気に間合いを侵食し、闘気の刃を持つ偃月刀こと花朗美刃(ファランメイレン)で打ち込む飛関(フェイガン)
千之助「ご……ぐ！！？」
　ギリギリギリギリッ……
千之助「チッ……」
千之助（やるじゃねぇか……だがっ……）
　バチュインッ
　花朗美刃(ファランメイレン)を捌いて距離を取る
　ダダンッ
千之助「面白い……貴様が相手なら……全力で戦ってもよさそうだな……」
　ズオッ
　邪気を放ちつつ、片手で二本ずつ刀を構える四屠(しと)の陣を取る
飛関(フェイガン)「……蒼月殺術(そうげつさいじゅつ)……降臨衝(こうりんしょう)！」
　ゴウンッ
　ジャンプと共に一気に斬りおろしを決めかかる飛関(フェイガン)
千之助「ハッ！転移衝(てんいしょう)」
　ヴオムッ
　空間転移で飛関(フェイガン)の背後を狙う千之助
飛関(フェイガン)「ぬぅ！？」
千之助「貰った！！」
　ガギンッ
　だが、振り向きもせず、花朗美刃(ファランメイレン)を持ち変えただけで4本の刀を受ける飛関(フェイガン)
千之助「な……にぃ！？」
飛関(フェイガン)「我が殺気は攻防一体が真骨頂……お前には破れんよ……」
　ババッ
千之助「ぬ……ぬぅ……」
　再び距離を取る千之助……
　……はたして、彼に勝機はあるのか……


続