Eighter -Extra Voyage-
16ther 〜狐と狸の殺し(化か)合い B〜



#3
 日本各地で日本刀が相次いで盗まれ、破壊される事件が発生し……犯人の次なる得物は狐王(こおう)……かも!?
 ……そんなタレコミがあったのだが、狐王(こおう)は歴史の墓場にあり、安心のはずだったのだが……犯人は異世界へま
で……
 歴史の墓場、インセンディオ城
兵士「あろえ様……奴は……奴は……城の地下へ……」
百鬼あろえ「……」
 門番らしき兵士がクッ……不覚……と熱く語りだす
梓與鷹(よたか)「やっぱり……」
あろえ「と、とにかく……急ぎましょ……」
 たたたっ
 そのまま一行は狐王(こおう)が祭られている城の地下へと急ぐ
※Q:あれ!?虹雷牙(こうらいが)が祭られていた時は選ばれた人間しか入れない感じだったのに……今は誰でも入れるの?
 A:虹雷牙(こうらいが)がそこに保管されてないので大丈夫なのです……と、いうことにしておきます(うぉい!)
 ダンッ
與鷹(よたか)「そこまでだッ!!」
館森誠吾「……」
 一行が地下へやってくると……狐王(こおう)の前に漢が1人……邪悪な靄を携えてそこにいる
鏑重衛門影征(かぶら・しげえもん・かげまさ)(素晴らしい……これこそ……我らが求めしもの……)
あろえ「私の狐王(こおう)に何をしようって言うのよ」
 ダッ
 あろえが一足飛びに襲いかかる……
誠吾「……この刀を……全てを切り裂く……研ぎ澄まされた究極の一振りのために捧げる」
 スカッ
あろえ「……なっ!?」
 虹雷牙(こうらいが)を上段に構え、そのまま一気に振り下ろしたのだが……その場に誠吾は居らず……
 ヴンッ
誠吾「クククク……」
 與鷹(よたか)の背後に誠吾
與鷹(よたか)「なっ!?速い……あろえ!!」
 辛うじて確認できたが……並の足の運びでここまで移動できない……と與鷹(よたか)……奴は、誰の魂をその身に定着さ
せたんだ!?と考えつつも、あろえに注意を促す
あろえ「え!?……あ……」
 ダダッ
 すぐさま、誠吾を追いかけるあろえ……しかし、與鷹(よたか)の背後にあるものは出口……誠吾はそのまま逃げ去ってし
まう
あろえ「ま……待ちなさい!!」
兵士「あろえ様……我ら、猛る炎の騎士団(プロミネンスナイツ)も加勢いたします!!」
あろえ「あ〜〜、もう、なんでもいいから……早く!」
一同「イエッサ〜〜〜!!」
 ドドドドドドッ
 かくて、誠吾を追っかける……追跡劇が始まった……

 で、1人取り残された與鷹(よたか)は……
白拍子かんな「彼の名前は館森誠吾……定着した魂は……鏑重衛門影征(かぶら・しげえもん・かげまさ)……です」
與鷹(よたか)「……なるほど……だから、究極の一振りを作る……などと言っていたのか……」
 契約の指輪でかんなと通信し、情報入手。

#4
 インセンディオ、某所
兵士「いたぞ!!あそこだ!!!」
兵士「あろえ様ッ!!」
 ドタバタドタバタッ
重衛門(しげえもん)(魔刃鍛造……開始……)
 ズオオオオオッ

 空間に浮かぶ闇の球体……それに手を突っ込む誠吾……なんとなく聖剣○ブラックスミスを彷彿させる光景が広
がり……
重衛門(しげえもん)(完成……)
誠吾「これが……狸王(りおう)だ!」
 スラアッ
 ダダムッ
 誠吾が狸王(りおう)を完成させた丁度その時、一行も、その場に辿り着く
あろえ「館森誠吾!!とうとう年貢の納め時よ!」
 ビッ
 虹雷牙(こうらいが)を突き付けてあろえが咆える
誠吾「……見よ……これが、究極の一振り……狸王(りおう)の切れ味だ!」
 ヒュッ
 そのまま狐王(こおう)の刃を叩き斬ろうとする誠吾
あろえ「させないんだからッ!」
 ガギンッ
重衛門(しげえもん)(な……にぃ!?)
 間に割って入り、虹雷牙(こうらいが)狸王(りおう)を受けるあろえ
 ピキッ
誠吾「馬鹿なッ!?」
 そして、狸王(りおう)に小さな亀裂が入る
重衛門(しげえもん)(まさか……その刀は……天国(あまくに)の作だとでもいうのか!?)
あろえ「ともかく、狐王(こおう)は返してもらうわ!」
 バッ
 狐王(こおう)を奪い取ったあろえはそのまま納刀し、猛る炎の騎士団(プロミネンスナイツ)に投げ渡す
兵士「うおおおおっ!あろえ様が投げ渡してくださった宝刀……命に変えてでも死守しろぉお!!」
一同「おおおああっ!」
 ドドドッ
 まるで結婚式のブーケを取りあう行き遅れ気味な女性のように狐王(こおう)を奪い合う猛る炎の騎士団(プロミネンスナイツ)。
誠吾「……フ……フフフ……ハハハハハ!!」
あろえ「何がおかしいってのよ!?」
重衛門(しげえもん)(次なる得物は……決まった……)
誠吾「今日は何と()い日よ……究極の一振りに捧げる得物が立て続けに見つかるなどと……」
あろえ「残念ながら、あなたの探求はここで終わりッ!」
 ブンッ
 スカッ
あろえ「なっ!?」
 だが、先ほどと同じように至近距離からの斬撃をあっさりと回避して背後を取る誠吾
誠吾「俺の鍛錬の贄となれッ!」
 ぐおっ
 逆手で構えた狸王(りおう)があろえを狙う……
あろえ「くっ……噪天(そうてん)」
 カアアアッ
 光が誠吾の眼を眩ます……怯んだすきに距離を置き、体勢を直すあろえ
誠吾「ただの眼晦ましごときで……」
 ザザッ
 誠吾も怯んだとはいえ、それも一瞬のこと……すぐさま狸王(りおう)を構え直し、体勢を立て直す……
あろえ、誠吾「……」
 そのまま睨みあう両者……そして、それを見守るは猛る炎の騎士団(プロミネンスナイツ)……果たして、この死合……一体どうなるの
か!?
※……あれ!?與鷹(よたか)はそういえば、どうしてるんでしょうかね?

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