Eighter -Chaos Desorder-
17ther 〜異世界漂流幻想譚 B〜



#3
枳篤からたち・あつし「……む……う!?」
*「おお、目覚めたアルか!?」
あつし「ななっ!?」
あつしが目覚めると……黄色い鎧に身を包んだ兵士に取り囲まれていた……
兵士「ごきげんようアル……新領主様……」
あつし「へ!?……俺……のことか!?」
兵士「左様アル」
他に誰もいないので、当然と言えば当然なのだが、一応確認してみるあつし
あつし「……こ、ここは……どこだ!?」
兵士「ふむ、ここは八大帝国、雷がトゥルーノ、アル……」
そして、あつしの疑問に答えてくれるアルアル星人。
一同「そして、我らはそのトゥルーノの治安を守る騎士団……鋼鉄霹靂騎士団ガンティーピィリィクィースィツァンアルよ!」
あつし「……ああ、分かった……」
いいから、まずその『アル』をやめろ!似非エセ中国人……と叫びたくなってきたあつし……
あつし「……それで……」
兵士「うむ……」
アルアル言う兵士……それにイライラしつつ我慢しながら言葉を聞いてみるあつし……ここは雷の帝国、
トゥルーノ……この国の民は語尾に『アル』をつける種族らしい……
あつし「……で、俺は、とりあえず、ここを出たいわけなのだが……」
兵士「うむ、困ったアル……」
兵士「まずは領主の城へ行き、正当な後継者になってもらわないとダメでアル」
あつし「……正統……な!?」
兵士「そうアル……その指のルミナスリング……それは選ばれしものしか身に纏うことができないアイテム
 アル……」
兵士「そして、そのルミナスリングを身につけたものは領主城の地下へ行き……」
あつし「待った……その話……本当に領主にならないとダメなものなのか!?」
唐突に話を区切るあつし、そして、素朴な疑問をぶつけてみる。
兵士「そうアル……領主にならない場合、この国から出ることはできないアル」
兵士「……いや、出来ないということはないアルが……」
……現実世界に戻ることは難しいだろうアル……と騎士団は口をそろえて語りだす
あつし「……じゃあ……仕方ないア……」
あつし(あっぶねぇ……俺まで語尾に『アル』をつけるところだった……トゥルーノ……恐るべし!)
すんでのところでヘンな語尾が付くのを回避するあつしであった……
あつし「領主の城ってのはどこにあるんだ!?」
兵士「うむ、案内するアルよ……ついてくるアル……」
そして、1人の兵士が案内役を買って出る……

#4
兵士「この先に……領主様の証があるアル」
あつし「あ……そう……」
兵士「汝にエレク・ト・リカル様のご加護があらんことを……アル」
地下への入り口の前で立ち止まる兵士
あつし「……じゃ、行ってくる……」
兵士「気をつけるアルよ……」
あつし「魔物でも出るって……」
バチッ
あつし「ぐはっ!!?」
突如静電気で痺れるあつし
兵士「ここは雷の帝国アル……電気には気をつけるアル……」
あつし「そ……そういう……ことかいっ!!」
・
・・
・・・
あつし「……くっそ……雷の国……か……」
ビリビリっと痺れつつも先を進むと……
エレク・ト・リカル(トゥルーノを継ぎし者よ……我が元へ来るのだ……)
あつし「ぬなな!?頭の中に声が!?……こ、これも生態電流でも応用してるのか!?」
……そんなわけはないのだが、とりあえずそう思ってしまうあつし
エレク(我が元へ……来るのだ……トゥルーノの後継者よ……)
あつし「言われなくとも行ってやるから……」
バチィイッ
あつし「んぎゃああ!!?」
最後の最後で今までにない電流をくらうあつし……
ゴロゴロゴロッ
ドタンッ
そのまま転げ落ちると……目の前に祭壇……そして、そこに突き刺さる2本の双剣
あつし「こいつは……」
エレク(そいつは炎天刃、E天刃びょうてんじん……トゥルーノの領主の証である……)
あつし「……つまり、これを引っこ抜けばいいんだな……」
ばばっ
ピタリッ……
柄を握ろうとして、寸前で止めるあつし
あつし(……まさか……ここでもビリビリしないだろうな……)
※その前に『雷』の帝国なのに、領主の証は『炎』と『水』なのかよ!という突っ込みは無しですか!?
エレク(どうした!?トゥルーノを継ぎし者よ……何を躊躇う……お前が真にトゥルーノを後継するに値する
 ものならば……その双剣は……容易く抜けるであろう……)
あつし「……ふぅ……」
大きく深呼吸をし、覚悟を決めたあつしは……
ぐぐっ
そのまま双剣を引っこ抜く
エレク(汝……新たなるトゥルーノの後継者なり……)
ビシャイ〜〜〜ンッ
あつし「最後の最後で結局コレかよ!」
でもって、双剣に雷が落ちるのだが……
あつし「……あれ!?」
全く感電しないあつし……
……ともかく、電気の耐性を手に入れたらしいあつしはそのまま城の外へと足を運ぶ
兵士「おお……その双剣は……」
兵士「流石はトゥルーノの後継者アル!」
アルアルと、騎士団がどよめきだす
あつし「……で……だな……ここから現実世界に戻るにはどうしたらいいんだ!?」
兵士「……そうだったアル……」
兵士「新領主様……また、トゥルーノへ来てくださいアル」
兵士「手厚く歓迎いたすアルよ……」
あつし「いや、いいから……」
一同「……」
とりあえず、あつしも帰還の目処が立った……!?


続

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